第57話 魔族マロンを暗殺しに行った

深夜、魔族マロンの屋敷裏。


ペロの両親と村の人達の復讐。


猫の王国の国王側近の魔族マロンを殺す為、やって来た。


俺とペロの2人。

エリとハルカとドラムとダルは連れて来なかった。


どう考えても、暗殺だよ。

隠密が得意な2人で来た。


ペロは俺の影に沈む。


俺は気配を消す。

魔抜けで魔力が無いので、俺の事は魔力探知では認識出来ない。


何か魔法を使うと探知に引っかかるが、俺が使うのは『気』だから全く気にせず行動出来る。


『気』は魔力偏重社会の天敵かもね。


魔力探知の魔道具が至る所にあるが、動作しないのだ。


余裕で屋敷裏の壁を超え屋敷の庭を音を立てず駆け抜ける。


跳躍し屋根の上へ飛び乗る。


空歩のブーツは優秀だ。

屋根に足が着く寸前に浮遊で屋根に足をつけないから音も出ない。


あ!

空歩のブーツも魔石起動なので魔力使用か?

しまった・・・。


何も反応は無さそうだ。


ほっ、屋根の上には、魔力探知の魔道具が無かったみたいで良かったよ。


屋根の上に静かに足をつける。


2階のベランダに降りると、窓ガラスを切り窓の鍵を開ける。

窓を開けて屋敷に入る。


・・・。


マロンは屋敷に居なかった。


気配探知で確認したので間違い無い。


何処に行った?

しょうが無いので宿に帰った。


次の日ペロに水晶型通信の魔道具を持たせて王城に侵入して貰い、マロンを見張り動向を探る事にした。


マロンが屋敷にいなかった事は、シャルさんに報告しておいた。


ーーーーーーーーーーーーーーーー

俺とドラムとダルは森に来ていた。


魔抜けのダルが『気』を使える様にする訓練の為だ。


「気功って聞いた事ある?」


「聞いた事は有るような気もするけど、ダルはよく分からないなー。」


「俺も習った訳では無いので、イメージだけなんだけど。ゲームでMPとHPって有るじゃない?」


「そんなのあったねー。」


「実際はどうなのかは知らんけど、俺の中ではMPを使うのが魔法、HPを使うのが気功って言うイメージなんだよ。」


「えー、使い切ったら死ぬじゃん。」


「そうだよ。だから他から吸収しながら使うんだ。物に気は無い。動植物や魔物、あとは人間、亜人等の生きとし生けるものに気がある。」


「イキトシイケルモノ?」


「全ての生き物って言う言葉さ。

で、少なくなったら周りの動植物からHPを貰う。」


「ふへ?」

ダルは良く分かって無いな。


「まず気を感じてみようか。」


俺はダルの手を取って気を流す。


「どうだ?何か感じるかい?」


「優しく温かい何かが身体に流れてくるよー。」


「それが『気』だ。

今度は、『気』を吸い取るよ。」


続いて生命力吸収ライフドレインを弱くゆっくり行う。


「あ!何かが流れ出て行くー。」


「じゃあ、吸収を止めるので、自分で今流れた何かを脚に集めるイメージをしてみて。」


「うん。おー。脚がほんわか温まった感じー。」


「その状態で軽く走ってみよう。」


「おー。速く走れるよー。」


「良かった。それが気を使う感覚さ。今のは魔法の脚力強化と同じだ。」


「やったー。

私も強くなれるんだね!」

ダルアは嬉しさでちょっと涙目だ。


「第1歩は成功だね。後は練習あるのみだ。速く流れを動かせる様にする事と、より繊細に動かせる様に自己練習してね。それで、レベルが上がれば戦える様になるだろう。」


「わーい。これで普通の人と同じになれた気がするよー。有難う。」

ダルアが俺に抱きついて来たので、頭を撫で撫でする。

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