第12話

「じいさんや、5人目の花婿候補は来ませんね」

「ちゃんと、来るって言ったのかい?ばあさん」

「ええ、糸電話で連絡がありました」

電話のないこの時代、糸電話という言葉は、なかったと思います。


「時代考証が、いいかげんなんだから、無視していいだろう。ばあさん」

「そうですね。それが基本法則ですね」


その通り、時代考証にこだわりすぎたら、面白い話は出来ません。


「ところで、もしかして、お兄さんじゃないよね?」

かぐやひめが、ももたろうに尋ねます。


「兄妹で、結婚出来るか・・・」

「お兄さんは、私を女性として、どう思いますか?」

「友達としては、好きになれると思う」

「女性としては?」

「ノーサンキュー」


兄妹の喧嘩がはじまりました。

滅多にありませんが、たまにあると、すごいです。


おじいさんと、おばあさんは、知っているので、追いついています。

ドルちゃん、ゴリちゃん、クラちゃんは、止めに入りますが、すぐに悟ったようです。


「もしかして?みんなの中にいるの?」

1匹と、一頭と、一羽に尋ねます。


「僕たちは、人間ではないので、かぐやひめに、求婚は出来ません」

最もです。


でも、最後のひとりは、まだ来ません。


「♪まだかな、まだかな、学研のおばさん、まだかな~」

「お姉ちゃんでしょ?」


昭和のギャグは、この時代も、令和の時代も、通じません。


でも、早くしないと時間切れで、かぐやひめはしばらく独身です。

早くしないと、この時代では、大年増になります。


「年増、年増って、うるさいよ。ナレーション」

失礼しました・・・


かぐやひめに、怒られました。

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