第2話 マイクロバス
スーパーマーケットの前にマイクロバスが止まった。
車椅子に乗ってきた年寄りたちが家族からはなれて乗り込む。
バスには誠ケ丘病院・通所介護サービスと書いてある。
紫川の土手沿いにできた施設で老人ホームとリハビリ部門からなる。
家族向け案内に一日のスケジュールが絵図面のように描いてある。
お迎え 九時30分 開始 健康チェック
十時00分 ラジオ体操、創作活動、入浴、機能訓練
十一時30分 リハビリ体操
十二時00分 昼食
十三時30分 レクリエーション(歌・カラオケ・ゲーム)
十四時40分 おやつ・休憩
十五時00分 終了 お送り
職員たちが老人たちのあとから乗り込む。高校を卒業したばかりのような男女の若者もいる。婦長さんタイプの看護師が介護スタッフたちに小声で伝えた、
『富永店⦅スーパー⦆の前から四人のかたが乗られます。ここはデイサービスに来られる ひとたちが多いですから、粗相がないよう気をつけてください』と。
『ご家族の方はもうさがられてよろしいです』というのが聞こえた。
送ってきた家族たちは車椅子をたたんで、バスから離れて外に立つ。
『それでは、おじいちゃん、おばあちゃん、行ってらっしゃい』外から呼びかける。元気に笑顔を返すお年寄りもいればまったく反応しない年寄りもいる。
昭男さんは片側に寄って道をあけた。
(デイサービス)
老人介護の一環として、歩けたり日常生活に問題なければ、決まった時間、
朝と夕方に送迎する介護サービス。在宅の要支援・要介護高齢者に通所で各種サービスを提供することで、高齢者の健全で安定した在宅生活を助長し、社会的孤立感の解消、心身機能維持・向上なども図るという。さらに家族の身体的・精神的負担の軽減を図ろうとする。
介護スタッフのひとりが昭男さんの顔をみとがめて、あら、という表情をした。
婦長さんはそのスタッフに、今日はいいのと言う表情で車の扉を閉めさせた。
若い看護士が手を振るのが見えたが、昭男さんにはおぼえがなかった。
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