第6話いざ奥地へ
その朝は綺麗に晴れ渡っていた。
空は雲一つなく、辺りは雪が太陽光を反射し、キラキラと光っている。
そんな銀世界に2人と1頭の影がある。
3つの影は山頂を、更にはその奥地を目指し、どんどん進んで行く。
「でも、2人とも本当に良いの?一緒に花を探すなんて。」
少女の声が響く、昨日とは違い彼女の顔は生気に満ちている。すっかり元気になった様子だった。
「良いんだよ!1人より2人、2人より3人で探した方が、早く見つかるかも知れないし!一緒に頑張ろう!」
銀色の髪を靡かせながら、メルが元気に答える。
「2人と1頭だけどな。」
キャプテンが小さく呟く。
メルは少女と花を探す事を選んだのだ。
始めは迷惑では?と拒んでいた少女だが、昨日の様に遭難されては困る、と言うメルの意見に負け、皆で行く事にした。
3人は歩き続ける。
一切ペースを乱さずに歩き続ける少女を見て、キャプテンは感心した様に言う。
「昨日はあんな調子だったから、大丈夫なのかと思ったけど、君本当は結構強いんだな。」
息を切らした様子もなく、少女は答える。
「私、山育ちなんだ! こう見えても体力には自信があるの。でないと、1人でこんな所に来ようとしないよ。」
「確かにそうだな。それに比べメルは、」
少女とキャプテンは後ろを振り返る。その後では、遅れながら、息を切らして歩いてくるメルが居た。
「おーい、メル!大丈夫かー!」
キャプテンが呼びかけるが、余裕が無いのか、返事が無い。
「大丈夫かな?少し休憩した方が良いかな?」
オロオロとする少女を横目に、キャプテンは言う。
「大丈夫さ。一応メルも山を越えて反対側から来たんだ。」
「そうだったね。でもよく越えられたね、この山。今のメル、とてもツラそうだから、
ちょっと信じられない。」
そう言う少女を見て、キャプテンはニヤっと笑いながら言う。
「俺が担いで来たからな、自分で歩いては到底無理だっただろうな。まぁ、行ける所までは、頑張って貰うさ。」
少女がえっ? とキャプテンの方を見ると同時に、ドサっという音が聞こえた。
どうやらメルが倒れた様だ。
「メルー!!!」
慌てて少女が駆け寄って行く。
昨日とは逆だな、とキャプテンは声を響かせながら笑っていた。
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