第113話 北高祭2日目 対戦、始まる

 □ 親衛隊 × 親衛隊 (突発的対戦カード)


「覆面調査員じゃなくてもスマホをいじってるヤツは絶対にいる。しかし確認してる時間は無いからスマホを弄ってるヤツは覆面調査員とみなす、この方針で行こう」

「っしゃ~」


 泉ちゃん親衛隊が方針を打ち出したが、みこさん親衛隊は反発した。


「それは乱暴だ。みこさんはそんなやり方を望んでない。確認は必要だ」

「そうだそうだ!」


 いきなり泉ちゃん親衛隊とみこさん親衛隊の意見が衝突した。


泉ちゃん親衛隊モブA

〔今後の方向性が合わなくなりました〕

泉ちゃん親衛隊モブB

〔別々の道を歩みます〕

みこさん親衛隊モブA

〔こいつらとは組めません〕

みこさん親衛隊モブB

〔校内探索活動は休止します〕


「コイツらいきなり内乱が起きるとは、なにやってんだあぁぁ」


 グループメッセージを見て地団駄じだんだを踏む剣谷つるぎだにさん。


 □ 親衛隊 × 生徒会


 生徒会執行部はスマホでメッセージのやり取りをしている親衛隊の姿を見逃さなかった。


「そこの男子っ、携帯は使用禁止だ」

「は?携帯使用許可証を持ってますけど何か?」

「見せてください」


 許可証を確認し、ヒソヒソと話す生徒会執行部。


「おい、これは…」

「うん、会長に報告だ」


執行部モブA

〔宮前先生の印のある携帯使用許可証を所持する者を確保〕


生徒会長

〔直ちに生徒会室に連行せよ〕


「なにすんだよっ、離せよ、俺が何したって言うんだよっ」


みこさん親衛隊モブB

〔泉ちゃん親衛隊モブAが生徒会に連行されましたっ〕


「捕まっただと、なにやってんだあぁぁ」


 グループメッセージを見て再び地団駄を踏む剣谷さん。


 待機中のみこさん親衛隊に向かって「生徒会室に討ち入りするぞっ」と言ったが、みこさん親衛隊は泉ちゃん親衛隊を助けに行く気はさらさら無いようだ。それにまだ剣谷さんが校内を彷徨うろつける時間じゃない。


「可哀想な親衛隊モブAさん…あなたの死は決して無駄にはしないです」


 お嬢は「そんな事より練習しなきゃ」という顔をして面倒くさそうに言ったけど、親衛隊モブAさんは死んで無いからね。


 そのとき宮子から同好会のメッセージグループにメッセージが来た。


宮子

〔剣谷さんは大したこと無いね〕

〔策士、策におぼれるだね~〕


美咲

〔宮子のほうがよっぽど策士だよね〕


 現在の勝敗表

 親衛隊△×△親衛隊

 親衛隊●×○生徒会


 それよりも、部室から渡り廊下まで電子ピアノを迅速かつ安全に運ぶ方法について打ち合わせを始めなきゃ。

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