第109話 北高祭2日目朝 親衛隊現る

香風

〔協力者が現れるのを待っておいて〕


 朝、香風このかからグループメッセージが来た。


まどろみ子

〔協力者?〕


 でもその後香風からメッセージは来ない。


「どういうことだろう?」


 北高祭2日目、部室に集まったメンバーは誰も協力者の事を知らなかった。


「入るぞー」


 真知子先生が来てくれた。


「いよいよゲリラライブだな。お祭りだから派手にやれ。目立ってなんぼだ。場所は渡り廊下だな?」

「はい!」

「逃げ道が2方向しかないから挟み撃ちされると困難な状況におちいるぞ、大丈夫か?」

「正面突破してみせます」


 最後まで逃げる方法は決まらなかった。結果、無謀とも言える正面突破作戦を取ることになった。


「つまりいい方法が無かったと言うことだな…今日は一般客が居るから気を付けてくれ。ちびっ子に怪我でもさせたら大事おおごとになる。私も情報収集をして生徒会、教師の動きは逐一連絡する」

「はい、無茶はしません!」


 その時、部室の扉が開いた。


「失礼しまーす」


 男子生徒が9人入ってきた。


「なんだお前たちは?」


 先生が聞くと、5人が「泉ちゃん親衛隊です」と答え、4人が「みこさん親衛隊です」と答えた。


「親衛隊ってなんですか?」


 お嬢はスマホで調べた。


「熱烈なファンが集まり応援活動や身辺警護をする組織…なるほどですね」


 顔を上げると親衛隊を見てニヤリと笑った。


「ふ、5人対4人。私の勝ちです」

「なんだと」


 まあまあ、まどろみさん、お嬢に対抗意識を燃やさないでね。そこへ香風からメッセージが来た。


香風

〔協力者は10人揃った?〕


「え?協力者は10人って?」


 その声を聞いてだろうか、突然暗幕の後ろから声がして、女の人が出てきた。


「出番が来ました!」

「ぎゃっ」


 あたしたちは驚いて反対側に逃げた。先生も驚いていたが、椅子を掴んであたしたちの前に立った。


「なんだ貴様は?返答によっては椅子を投げるぞ」

「はい、アニカ…ここでは香風ですね、のマネージャーです」

「ほう…どうしてここに?」

「香風に頼まれてお手伝いに来ました」

「どうしてそこに居た?」

「香風によると日曜日はチケットを持っていれば一般でも入れるけど、朝早くには入れないし、受付開始前に入ろうとしてもチェックが厳しいとのことでした。そこで前日から入っておきました」


 にこやかに答えるマネージャーさん。


「昨日のうちに入っていたのか。それにしても部外者がここまで入るのは難しいはずだが、どうやって入った?」

「はい、それは…」


 マネージャーさんは得意顔で答えた。


「夜陰に紛れて入りました!」

「そうか、それなら納得だ」


 え?そうなの?先生も夜陰に紛れて荷物を運んでるから納得なの?


「夜はここで寝てたのか?大変だったろう?」

「いえ、折り畳みの簡易ベッドがあると聞いていたのでそこで寝ました」

「なんだと?!」


 先生は暗幕の後ろに行った。


「あー!私専用のベッドを、なっ、コーヒーも飲んでる。貴様なにしてんだ!」

「まあまあ良いじゃないですか、その分お手伝いいたしますからね!」

「うぐぐ」


 すごい、マネージャーさんは先生を言いくるめた。これで10人、心強い協力者達が現れた。

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