第43話 亮の考え

「まどろみさんをどう思ってるの?」


 またしてもの質問を投げつける宮子。流石さすがのあたしもこれには焦った。しかし、いちばん聞いておきたいことだ。亮の反応は…。


 亮は急に立ち上がった。まずい、怒らせたかも知れない、と思ったら、


「シェイクを買ってくる」

「あ、私もおねが~い。ストロベリーね、美咲は?」

「いや、あたしは…」

「美咲はチョコレート味、ご一緒にポテトもお願いね~」


 亮は特に何かを言うことも無くレジに行った。


「今のうちにまどろみさんの事も聞いておこうと思うの。美咲は他に聞いときたいこと無い?」

「うん、宮子に任すよ、聞きたいこと出来たらその時に聞くね」


 あたしは宮子の勢いに圧倒される。普段そんなに亮と関わってるわけでは無いのに、ご一緒にポテトまで買いに行かせてる。


「ありがと~、はいこれお金」


 宮子はトレイに紙ナプキンを広げポテトを雑にぶちまけた。


「で、まどろみさんをどう思ってるの?」

「よく寝る美人だと思ってる」

「だよね~、そ・れ・で?」


 はぐらかすのは許さないとばかりに、宮子は笑顔だけど威圧感を出した。


 今度はあたしが聞いてみた。


「まどろみさんの気持ちには気付いてるの?」


 亮はシェイクをずずずと吸い込み溜め息をついた。


「うん、なんとなくだけどね」

「気付いてて仲良くしてるんだ~、と言うことは?」


 宮子の追求が始まる。


「亮くんも、まどろみさんのこと異性として好きなの?」


 あたしは敢えて「好き」という言葉は使わなかったのに、宮子はまたな聞き方をした。


「それはまだ、よくわからない」

「一緒に居ると楽しい?喋るのも楽しい?寝顔見ると可愛くてゾクッとする?学校来るとまどろみさんに会えるの楽しみ?」

「そうだな」

「家に居てもまどろみさんのこと考えたりする?」

「そんな時もある」

「そっか~、美咲、出番だよ、亮くんに言ってあげて」


 急にバトンタッチされたけど、以前お嬢に言ったことのある台詞を言った。


「う、うん、それはね………」


 ゴクリと唾を飲み込む亮、


「恋だよ」


 亮の顔が少し赤くなった。


「ま~まだそこまでは行ってないような気もするけどね~」


 え?なに?宮子?あたしの出番はなんだったの?


 宮子はシェイクをずずずと飲み干し、


「でも、これですっきりした~。私たちは暖かく後方支援するから、その気持ちが恋だったら恋愛成就頑張って。まどろみさんを千歳さんみたいな目に合わせたら…」


 宮子は真顔で言った。


「あたいが許さない」


 なんのキャラなの、それ?


「うん、わかった。まずは自分の気持ちをしっかり確かめて、それからだけどね、いい加減なことはしない」

「ふん、ほれでいいとほもふよ~」


 宮子、口いっぱいにポテトを頬張ほおばってるけど、シェイク飲み干して水分無いよ、大丈夫?

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