第44話 宮子とポテトと
「はあ、世話が焼けるね~。まどろみさんも亮くんも、恋愛は小学生レベルだね~」
亮が帰ったあと、あたしと宮子は川沿いの歩道を歩いた。宮子はテイクアウトのポテトをぷらぷらとぶら下げていた。ほんとにポテト好きだなあ。
「仕方ないよ。まどろみさんは人との関わりが極端に少なかったみたいだし、亮は人を好きになるの初めてみたいだし」
「まあそうなんだけど、亮くんには、はっきりしろって言いたいわ~。相手がバスケだったって言うだけで恋愛経験あるんだから、今の自分の気持ちくらい気付けよ~」
いやいや宮子、バスケを擬人化して恋人って言ってるだけで、それは恋愛じゃないでしょ。
「見た感じや雰囲気でそう思ってるだけで、あたしたち、まどろみさんの気持ち確認してないよね」
「そうだよね…うん、今度みんなで恋バナしようよ!まどろみさんがこの手の話をしやすいように」
「え?恋バナ?あたし恋したこと無いよ。宮子も小中とそんなこと無かったでしょ?」
「付き合ったことは無いけど恋はしてたよ~。今もしてるし」
「え?そうなの?誰?誰?」
「それは恋バナで言うね~」
宮子とはずっと同じ学校で仲も良いけど全然知らなかった。あたしはほんとに恋をしたこと無いなあ。
「あたしもだけど、お嬢も女子校だったから恋愛経験無いんじゃないかな」
「わかんないよ~、先生と禁断の恋、なんてコミックでよくある話だしね~。実はちょっと興味津々。恋バナにはお嬢を絶対呼ぼうね」
「うん、宮子とあたしとお嬢とまどろみさんだね…
「恋愛禁止の地下アイドルだから、呼んだら可哀想だよ~。人の恋バナなんて聞いたらますますやさぐれるよ~」
それもそうか。
川沿いの歩道は国道の下をくぐれない。階段を上って国道を渡る。オアシスロードと名付けられたこの歩道は、4月の上旬まで周りの桜が咲き誇る。入学式の時ほとんど散りかけだった桜は、今は葉桜に変わっていた。街灯に照らされて鮮やかな色を見せる新緑と生暖かい風が季節の移ろいを感じさせる。来年の春はみんなで花見をしたいな。
「さあ、ポテト冷めるから急いで帰るねっ」
「宮子、晩ご飯ポテトなの?」
「まさか~、白ご飯も食べるよ。ご飯にポテトを乗っけて食べると美味しいよ~」
どんだけポテト好きなの、それにしてもなんでそんなに炭水化物を食べて太らないの?羨ましいなあ。
「じゃあまた明日~」
宮子は軽く走りながら帰って行った。
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