第38話 正式承認
「入るぞー」
「え?」
先生が戻ってきた…生徒会長を連れて。
「生徒会長を連れてきたぞ。今日、活動確認をしてもらうことにした。今日の演奏は
『えええ?いきなり何を言ってるんですか??今からですか?』
「生徒会長の宮前敬子です。本来は今日じゃないんだけど、君たち大丈夫なの?先生に強制されてない?」
「抜き打ちテストみたいな感じですけど大丈夫です」
「では、もうすぐ副会長と書記も来ます。準備お願いします」
『…ん?』
生徒会長の宮前敬子?宮前?
真知子先生は宮前真知子。
全員で真知子をじーっと見る。
「なんだ?
「いえ…」
全員で生徒会長をじーっと見てからスマホを取り出した。
亮
〔親子か?親子なのか?〕
美咲
〔まさか、真知子先生は高3の娘が居るような歳じゃないよ〕
まどろみ子
〔宮前という苗字はやや珍しい〕
〔親戚という線は有り得る〕
泉
〔見た目は若いけど実は結構歳くってるという線に一票です〕
「お前たち、急にスマホを
「い、いや、先生と生徒会長の苗字が同じだと思って」
「ああ、そのことか、生徒会長は私の
「違います、私は先生の姪です」
なるほど、先生が生徒会に対して強気なのはそういう訳か。雑な先生の姪っ子が生徒会長とは。つまり、この確認は出来レースというわけだ。
だからと言って手を抜こうとは思わない。聴いてもらう以上ちゃんと演奏する。
副会長と書記も揃い、同好会として正式承認されるかどうかの確認が始まった。真知子は聴きながら満足げに頷いている。生徒会も思っていたより良い演奏に聴き入っていた。
「今この場で結果発表頼むよ会長さん」
「本来は生徒会室に持ち帰り協議なんですが…御前浜さんの撮った写真や動画はあくまでも内部用記録と言うことで良いですね?」
そう言うと生徒会メンバーは少し話し合い、
「正式に承認です」
『良かった~』
一応喜んでみせる。
「私が顧問をしているんだ、当然の結果だな」
承認しないと面倒くさいことになると思ったんだろう。
生徒会長はひと通り部室を見渡し、コーヒーメーカーや冷蔵庫、簡易ベッドなどを眺めると、溜め息をついた。
言っても無駄だと思っているのだろう。
「私は滅多に登場しませんので聞いておきたいことがあれば今のうちにどうぞ、特に無いですか?ではこれで」
生徒会が帰ったあと、真知子は全員に言った。
「同好会は無事存続が決まった。そこで今後の方針だが、顧問である私を
「はい、特に話の後半はよく考えます」
「うむ、話の前半は考える余地もなく同意するということだな」
真知子は満足気に職員室に戻った。
この短期間であれだけの演奏が出来るんだ、やはり彼らは良いものを持っている。今回の練習で一緒に活動する楽しさにも目覚めただろう。
「これで私も美味いコーヒーが飲めるというもんだ!」
「宮前先生っ、独り言がうるさいですよ」
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