第12話 同好会の申請書(表向き)が出来た

 北山高校は3月の合格発表後、入学予定者に課題を出す。内容は中学3年間の復習だが、範囲が広いため課題テストもそれなりに難しい。


「あ~終わった終わった、疲れたよ~」

「範囲広過ぎだよ、宮子は出来た?」

「まあ、そこそこ出来たかな」

「そっかあ、出来たと言えるのは凄いね、はいラブ・アンド…」

「ピース」

「50位まで順位が発表されるらしいけど、名前載りそう?」

「みんなの出来栄えがわかんないから、わかんな~い」

「そりゃそうだね。常にトップだったまどろみさんは1位とるかな?ちょっと楽しみ。あ、今日も同好会の打ち合わせがあるから、先帰っといてね」

「わかった~」


 放課後、微睡びすいは申請書を皆に見せた。


 ◆活動内容◆

 ピアノとギターのデュオによる楽曲創作


「昨日言ってた2人で組んで音楽活動のていですね」

「あたしが活動記録係で画像や動画を撮影しオンラインで発表するって言うのもていだね」

「そう、昨日から言ってるようにていだよ。この同好会は表向きは、ピアノとギターのデュオが音楽活動を行いネットを通じて世間に発表する同好会だ」


「それでまどろみさんは何の係のてい…?」


 ○総合プロデューサー 微睡みこ


「部長ってことだね」

「そう、この同好会の中では一番寝てられる役だ」


「あの~」


 泉はずっと気になっていることを微睡に聞いた。


「活動はどこでするんですか?体育館のピアノ使うんですか?」

「吹奏楽部を音楽室から追い出すわけにはいかないからなぁ、お嬢はキーボード持ってないの?」

「持ってないです」

「じゃあとりあえずの活動場所は体育館の舞台の片隅だな、暗幕を閉めたらなんとかなるだろう」


 体育館か、バスケ部と一緒だな。中学の時の先輩からバスケをやれって言われるだろうな。面倒なことにならなきゃいいが…。


「じゃあ今から生徒会にこの申請書持って行くよ。原則として部活に入ることになっているけど、自分に合った部活が無いので同好会を作る、と押し切ったらなんとかなるだろう。過去にもそういう例があったそうだ…それで生徒会室はどこにあるんだ?」

「あたし知ってるよ、校内の写真を撮って回ってる時に見た、まどろみさん一緒に行こう」

「助かるよ、じゃあ私と美咲は生徒会室に行くから、今日は解散、泉はピアノレッスンに全力ダッシュしてくれ遅刻したら申し訳無い」

「ちょっと待って、みんな揃ってラブ・アンド…」

『ピース』

「美咲は立派な活動記録係だな」

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