第13話 そろそろ伏線回収を始めないと、とっちらかっちゃうよ

「な!?」


 課題テストの上位50位までの順位表を見て、亮は声を上げた。


 1位 1組 微睡みこ 500点


 まどろみさん、言ってたとおり全科目満点か、確かにトップだな。でももう1人…


 1位 1組 小清水泉 500点


 えええええ?!


 教室はすでにこの話題で持ちきりだった。

 同じクラスに1位が2人もいるぞ。

 相変わらず寝ている微睡さんは中学の時からトップだったからわかるけど、小清水さんって誰だ?茶髪ロングの子だ!

 満点が2人も居たら学年の平均点があがってしまうじゃないか!

 いや大丈夫だ、落ち着け!満点が2人居たとしても平均点に与える影響は少ないはずだ、うん落ち着け落ち着け。


 北山高校は点数が平均点の半分以下だと赤点となり追試を受けなければならないので死活問題なのである。


 亮と美咲と宮子は声を揃えて泉に聞いた。


『成績悪くて内部進学できなかったんじゃないの??』


「え?誰もそんなこと言ってませんよ」

「あたし女学館じょがっこからこっちに来たって言うからてっきりそうだと思ってたのに」

「じゃあなんで外部進学?あれか、実は不良で素行が悪くて放出されたのか!?」

「聞いたら悪いと思って気を使ってたのに~」


「何を言ってるんですか、私は常に成績上位で品行方正、音コンにも入賞と内部進学するには非の打ちどころの無い生徒でしたよ、ちなみに学費が払えなくなったとかでも無いですよ」

『じゃあなんで外部進学したの~』


 今まで腫れ物を触るようにこの話題を避けていた3人はまた声を揃えて聞いた。


「それは男子が居なかったからです!」

『は?』


「私、高校野球が大好きなんです!高校になったら野球部男子とお付き合いしてピアノレッスンの無い日には練習を眺めたり下校デートしたりするのが夢なんです!」

『はああああああ!?』


「いやいや、じゃあなんでこの学校なの?他に私立の共学で野球強豪校もあるじゃない。その成績なら文句なしでそっち行けたでしょ」

「強豪校は練習も厳しいから、デートの時間がうまく取れないじゃないですか、私の時間に合わせてもらわないといけないから。この学校なら緩そうだと思ったし。それに試合の勝ち負けは問題じゃないんです、野球部男子とお付き合いすることが夢なんです」


 なんかサラッとうちの野球部をディスったような気がする。


「それに小学校からずっと同じ学校だったから外の世界も見てみたいと思ったんです、男子を見てモヤモヤドキドキクラクラなんて経験は今まで無かったですから、これだけでも新しい経験です」

「よく親が許してくれたね、先生にも引き留められたでしょ?」

「いえ、特に揉めることなくすんなりと外部進学できましたよ」


 なんかとんでもない理由が他に有りそうな気がする~。

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