第04話 ナン

 「式部さん。こ、今度の水曜日なんだけどさ」


 「なに?宣孝のぶたか君」


 「スポーツジムいかな、い?」


 「スポーツジム?」


 「おかあさんが会員なんだけど、お試しのペアチケット貰ったからどうかなと」


 「えー。わたし運動苦手なのよね」


 「でも、腹筋鍛えると食べれる量が増えたりするよ」


 「いくわ」


 先にソレ言いなさいよ。


 「よ、よかった」


 「でも、トレーニングウェアなんて持ってないわ」


 「お試しだから、みんな軽い恰好してるよ。Tシャツと短パンで十分」


 ◇ ◇ ◇ そして水曜日


 シルバーウーマンジムにやってきた。


 「はじめまして!みなさんのトレーニングをサポートするアケミっていいます。よろしくね!」


 「よかったー。みんなTシャツね」


 「ね。大丈夫だったでしょ」


 「まず、ストレッチは軽めにおこなってください。やり過ぎると逆効果になりますから」


 「ラジオ体操しないのね」


 「みたいだね」


 「自宅でできる筋トレの後に、器具をつかった筋トレを行います。ジムの器具って使ってみたいでしょ?まずはプランクとリバースクランチを行います」


 ◇ ◇ ◇ 閑話休題


 「疲れたわ!」


 「終わったね。明日は体中筋肉痛だよ。それじゃ帰ろうか?」


 「まだよ!せっかく違う街に来たんだもの!さぁ!こっちよ!」


 「ど、どこ行くの?」


 「いいから、こっちよ!」


 「ショルダープレスマシーンって、あんなに大変だとは思わなかったよ」


 「わたしはレッグエクステンションマシーンよ。使ったことない筋肉が悲鳴をあげてたわ」


 「プランクとリバースクランチはためになったね」


 いい匂い!


 「そうね。明日からやってみるわ。さぁ!ついたわ!シッディブッディよ」


 「あ!インドカレーだね!僕、大好きだよ!」


 「入りましょ!」


 カラーン


 「いらっしゃっませ。こちらニどうぞ。注文がお決まりニなりましたら、お呼びください」


 「じゃー、私の計画を話すわね!」


 「うん」


 ――――――――――

 日替わりカレー

  ナンおかわり自由850円

 ――――――――――

 (内訳)

  カレー200円

  ナン90円

  サラダ60円

  ラッシー60円

  調理料100円

  合計 

   510円

 ――――――――――


 「850円-510円=340円 ナンのおかわりを4枚だね」


 そうよ!


 もう、目と目で通じ合えるわね。


 「じゃ!いくわよ!てんいんさーん」


 「はい!ただいま。お待たセしました。ご注文は?」


 「日替わりセット2つお願いします」


 「わかりました」


 「そういえば、日替わりカレーって何だったんだろ?」


 何言ってるの?ちゃんと見なきゃダメじゃない!


 「パクチーたっぷりバターチキンカレーよ」


 「え?!本当に!て、てんいんさーん!!」


 「はい!ただいま。ご注文でしょうか?」


 「いえ、さっき頼んだ日替わりなんですけど、ひとつパクチーなしにしてもらえますか?」


 「はい。大丈夫ですよ。そうイ方おおイので」


 「危なかったー」


 「宣孝のぶたか君。パクチーだめなの?」


 「匂いの強い野菜は全般ダメ」


 「そうなのね。わたしは平気ね。あるものにはないと寂しく感じるわ」


 「式部さんは、嫌いなものないの?」


 「酸っぱいものがダメ」


 カレーは好きだけど、カレーの端にのってるらっきょとか福神漬け・・・考えたくないわ。


 「おまたぁしました。日替わりカレー。こちらがパクチーなしです」


 「さぁ!食べましょ!」


 「「いただきます」」


 「あつ?!」


 ナンがあつあつだわ!指がやけどしそう!でも、このあつあつのナンを口に入れたいわ!


 あつあつのナンをちぎって、金属製の小鉢に入ったカレーをつけて口に含む。


 「「美味しい!」」


 パクチーたっぷりで滅茶苦茶おいしいわ!


 パクパク!パクパク!


 「待って。式部さん」


 え?まだ、食べ始めたばかりよ?どうしたの?


 「な、何かしら?」


 「そのまま食べ続けると、ナンおかわりしたときにカレーなくなってるよ?」


 はわわわわ?!


 「ナンにたっぷりカレーをつけて食べてたわ」


 「大丈夫。まだ、食べ始めたばかりだから」


 そうね!大丈夫よね!さすが参謀よ!


 食事が途切れたことで、二人してラッシーを口にふくむ。


 「「美味しい!」」


 見つめ合う二人。


 わかるわ!この美味しさ伝えたいよね!


 パクパク!パクパク!


 「そろそろ、おかわり頼んでおくね。てんいんさーん。ナンのおかわり2つー」


 「はーい」


 「これなら、4枚いけそうね」


 「うん!」


 「おもちしました」


 木を編んで作ったバスケットにナンが2枚入れられて運ばれる。


 さぁ!次よ!


 パクパク!パクパク!パクパ・・・


 「先に3枚目のナンに行くね」


 「ええ。そうして・・・直ぐに追いつくから」


 「てんいんさーん。ナンのおかわり1つー」


 「はーい」


 「僕は3枚目で限界だなー。3枚でもいいよね?」


 「ええ。もちろんよ。戦略的撤退は必要よ」


 パク・・・パク・・・・


 「おもちしました」


 パク・・・パク・・・・


 「あと少しいけそうなんだけど・・・」


 「う、うん?ハーフでおかわりする?」


 「ハーフ?なにそれ」


 「半分のナンだよ。僕もあと半分くらいならいけそうだし」


 「そうね!それ!ハーフ頼みましょ!」


 「てんいんさーん。ハーフおかわり2つー」


 「はーい」


 ◇ ◇ ◇ 宣孝君視点


 「疲れたわ!」


 「終わったね。明日は体中筋肉痛だよ。それじゃ帰ろうか?」


 「まだよ!せっかく違う街に来たんだもの!さぁ!こっちよ!」


 「ど、どこ行くの?」


 「いいから、こっちよ!」


 「ショルダープレスマシーンって、あんなに大変だとは思わなかったよ」


 「わたしはレッグエクステンションマシーンよ。使ったことない筋肉が悲鳴をあげてたわ」


 「プランクとリバースクランチはためになったね」


 あ?このにおい。アレかな?


 「そうね。明日からやってみるわ。さぁ!ついたわ!シッディブッディよ」


 「あ!インドカレーだね!僕、大好きだよ!」


 「入りましょ!」


 カラーン


 「いらっしゃっませ。こちらニどうぞ。注文がお決まりニなりましたら、お呼びください」


 「じゃー、私の計画を話すわね!」


 「うん」


 ――――――――――

 日替わりカレー

  ナンおかわり自由850円

 ――――――――――

 (内訳)

  カレー200円

  ナン90円

  サラダ60円

  ラッシー60円

  調理料100円

  合計 

   510円

 ――――――――――


 「850円-510円=340円 ナンのおかわりを4枚だね」


 そうよ!


 目と目が合っちゃった!式部さんに届けスキスキビーム!なんつって。


 「じゃ!いくわよ!てんいんさーん」


 「はい!ただいま。お待たセしました。ご注文は?」


 「日替わりセット2つお願いします」


 「わかりました」


 「そういえば、日替わりカレーって何だったんだろ?」


 「パクチーたっぷりバターチキンカレーよ」


 はぁぁぁぁっ?!リアルウゥィ?!僕、パクチー食べられないよ!


 「え?!本当に!て、てんいんさーん!!」


 「はい!ただいま。ご注文でしょうか?」


 「いえ、さっき頼んだ日替わりなんですけど、ひとつパクチーなしにしてもらえますか?」


 「はい。大丈夫ですよ。そうイ方おおイので」


 「危なかったー」


 「宣孝のぶたか君。パクチーだめなの?」


 「匂いの強い野菜は全般ダメ」


 「そうなのね。わたしは平気ね。あるものにはないと寂しく感じるわ」


 「式部さんは、嫌いなものないの?」


 「酸っぱいものがダメ」


 へー酸っぱいものがキライなんだ。梅干しとかかな?


 「おまたぁしました。日替わりカレー。こちらがパクチーなしです」


 「さぁ!食べましょ!」


 「「いただきます」」


 「あつ?!」


 ドジっ子な式部さんも可愛いな。


 あつあつのナンをちぎって、金属製の小鉢に入ったカレーをつけて口に含む。


 「「美味しい!」」


 日本人向けに味を調整したのが良い感じにプラスになってる!これ!インド人も美味しいっていうカレーだ!


 パクパク!パクパク!


 チラッっと式部さんを見る。そして・・・気づく。


 「待って。式部さん」


 「な、何かしら?」


 「そのまま食べ続けると、ナンおかわりしたときにカレーなくなってるよ?」


 はわわわわって動揺した式部さんも可愛い!


 「ナンにたっぷりカレーをつけて食べてたわ」


 「大丈夫。まだ、食べ始めたばかりだから」


 食事が途切れたことで、二人してラッシーを口にふくむ。


 「「美味しい!」」


 見つめ合う二人。


 また、目が合っちゃった。相思相愛だよ!


 パクパク!パクパク!


 「そろそろ、おかわり頼んでおくね。てんいんさーん。ナンのおかわり2つー」


 「はーい」


 「これなら、4枚いけそうね」


 「うん!」


 「おもちしました」


 木を編んで作ったバスケットにナンが2枚入れられて運ばれる。


 僕も真剣に食べよ!


 パクパク!パクパク!パクパク!


 「先に3枚目のナンに行くね」


 「ええ。そうして・・・直ぐに追いつくから」


 「てんいんさーん。ナンのおかわり1つー」


 「はーい」


 式部さんは限界のようだ、僕も合わせよう。


 「僕は3枚目で限界だなー。3枚でもいいよね?」


 「ええ。もちろんよ。戦略的撤退は必要よ」


 パクパク!パクパク!


 「おもちしました」


 パクパク!パクパク!


 「あと少しいけそうなんだけど・・・」


 「う、うん?ハーフでおかわりする?」


 「ハーフ?なにそれ」


 「半分のナンだよ。僕もあと半分くらいならいけそうだし」


 「そうね!それ!ハーフ頼みましょ!」


 やった!また彼女の笑顔引き出せた!


 「てんいんさーん。ハーフおかわり2つー」


 「はーい」


 その後?真っ直ぐ帰りましたよ。


 「あら?富士ふじ、ジム行ったのに太ってなーい?」


 って、家に帰ったら、おかあさんに言われたよ。ジムいって太るわけないじゃん!


 ちなみに宣孝のぶたかは苗字で、名前は富士。

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