第02話 サラダ

 チリンチリン


 自転車を走らせて30分。


 「ついたわ!ここよ」


 「ここ?」


 オレンジ色に塗られた壁の大きな店の前。


 「そう!ここステーキリビント!」


 「ス、ステーキ屋さんだよね?」


 「そうよ!さあ!入りましょ」


 カラーン


 「いらっしゃいませ。何名さまでしょうか?」


 「二名よ!」


 「こちらにどうぞ」


 「じゃー、私の計画を話すわね!」


 「う、うん」


 ――――――――――

 ステーキ・

  サラダスープバーセット1100円

 ――――――――――

 (内訳)

  ステーキ400円

  付け合わせ50円

  調理料100円

  合計 

   550円

 ――――――――――

 (バー)

  スープ25円

  サラダ75円

 ――――――――――


 「つまり 1100円-550円=550円 ぶんのサラダとスープを食べれば、元とれるわ!」


 「スープ25円、サラダ75円って推定のわりに半端な値段だね?」


 「ふふふ。いいところに気が付いたわね!さすが宣孝のぶたか君!それはね!スープとサラダをいっぺんにおかわりに行くと100円になって計算しやすいからよ!」


 「そ、そうなんだ。6回おかわりに行くんだね」


 「そうよ!」


 「ドリンクバーは頼まないの?」


 「ダメよ!ドリンクバーを頼んだらサラダが入らないわ!」


 「う、うん。ラ、ライスはダメかな?」


 「くっ・・・。なんでステーキ屋のメニューってライス別なのかしら!確かにないと辛いわね。ふ、二人で一つを食べるのはどうかしら?」


 「う、うん!ももももも、問題ないよ。それで!」


 「じゃ、頼むわね」


 ピーン・ポーン


 「ただいまお伺いしまーす」


 「計画を修正するわね!」


 「うん」


 ――――――――――

 ステーキ・

  サラダスープバーセット1100円

  +ライス180円÷2=90円

 ――――――――――

 (内訳)

  ステーキ400円

  付け合わせ50円

  ライス30円

  調理料100円

  合計 

   580円

 ――――――――――

 (バー)

  スープ25円

  サラダ75円

 ――――――――――


 「つまり 1190円-580円=610円 よ」


 「ご注文うけたまわります」


 「ステーキ・サラダスープバーセット2つとライス1つお願いします」


 「はい」


 「かしこまりました。以上でよろしいでしょうか?」


 「ええ」「うん」


 「ご注文くりかえします。ステーキ・サラダスープバーセット2つとライス1つですね」


 「ええ」「うん」


 「うけたまわりました。それでは失礼します」


 「式部さん。今日は、ぼ僕がおごるね!」


 「ダメよ!食べ放題は人のお財布で食べても意味ないわ!自分のお財布だから頑張れるんじゃない!」


 「う、うん。わかった」


 「それじゃ、サラダとスープとりに行きましょ」


 「うん」


 「スープは3種類。野菜はいろいろな種類があるわね」


 「こういうのって、全種類食べたくなるよね」


 「ええ!全部のせちゃいましょ」


 「待って。式部さん」


 「な、なに?」


 「こういうバイキングスタイルのときは、お皿にのせすぎない方がいいって何かでやってたんだ」


 「どうして?」


 「見た目が悪くなるし、思った以上にもってポロポロこぼしやすくなるんだって言ってたよ」


 「わかったわ!じゃあ、これとこれ。ドレッシングはイタリアン」


 「僕はこれとこれ。で、ドレッシングは、シーザー」


 「席に戻って食べましょ」


 「うん」


 「「いただきます」」


 シャキシャキ


 「新鮮でおいしいわ!」


 「こっちのプチトマトも甘くておいしいよ」


 「ほんと?次入れるわ♪」


 「ご注文の品をお持ちしました。ごゆっくりどうぞ」


 「さぁ!食べましょ!」


 まずは、サラダバーから余分に取ってきたお皿にごはんを半分もらう。


 鉄板でじゅぅぅぅっと焼ける切り分けられたステーキをフォークでさし口に運ぶ。


 うーん!ジューシーで肉の甘味があって美味しいわ!そしてごはん!次はバターを絡めて!ごはん!次はマッシュポテトと一緒に!


 「待って。式部さん」


 「何?まさかお腹いっぱい???」


 「そ、そうじゃないよ。ステーキ全部食べちゃったら、野菜だけ6回食べないとならなくなっちゃうよ?」


 「?!あ・・・」


 ステーキをほとんど食べちゃった・・・あと、3キレしかない・・・


 失敗したわ!大失敗だわ!


 式部は絶望のあまり涙がにじむ。


 「落ち着いて。よーく手の中を見てごらん」


 何を言ってるの?・・・は?!ナイフ!これで切れば3つが6つになるわ!


 「さすが宣孝君ね!私の目に狂いはなかったわ!ナイフを使ってステーキを2倍に増やすのね!」


 誇っていいわよ!その顔のテカリは伊達ではないわ!


 「うん!サラダバーに行こう!」


 「ええ!」


 次はプチトマト。甘くて美味しい!サラダとスープを食べ終えたら、肉を1キレ食べておかわりに!完璧よ!今回は完璧だは!


 しかし、悲劇は4回目のサラダを食べているときにおこった。


 チャポン・・・お、お腹がいっぱい・・・ス、スープが腹にきてるわ!


 「先に5回目のサラダバーに行くね」


 「ええ。そうして・・・直ぐに追いつくから」


 「僕は5回目で限界だなー。5回でもいいよね?」


 「ええ。もちろんよ。戦略的撤退は必要よ」


 私の鉄板にはステーキが3キレとニンジンが残っている。


 ステーキ残したら、大負けじゃない!頑張れわたし!ステーキは食べるのよ!


 ◇ ◇ ◇ 宣孝視点


 チリンチリン


 式部さんと自転車デートだ!高校生カップルっぽい!僕、青春してるぅぅぅ!


 「ついたわ!ここよ」


 「ここ?」


 オレンジ色に塗られた壁の大きな店の前。


 「そう!ここステーキリビント!」


 リーズナブルで有名な。


 「ス、ステーキ屋さんだよね?」


 「そうよ!さあ!入りましょ」


 カラーン


 「いらっしゃいませ。何名さまでしょうか?」


 「二名よ!」


 「こちらにどうぞ」


 「じゃー、私の計画を話すわね!」


 あ。デジャブ―


 「う、うん」


 ――――――――――

 ステーキ・

  サラダスープバーセット1100円

 ――――――――――

 (内訳)

  ステーキ400円

  付け合わせ50円

  調理料100円

  合計 

   550円

 ――――――――――

 (バー)

  スープ25円

  サラダ75円

 ――――――――――


 「つまり 1100円-550円=550円 ぶんのサラダとスープを食べれば、元とれるわ!」


 「スープ25円、サラダ75円って推定のわりに半端な値段だね?」


 「ふふふ。いいところに気が付いたわね!さすが宣孝のぶたか君!それはね!スープとサラダをいっぺんにおかわりに行くと100円になって計算しやすいからよ!」


 うづき軒のときも思ってたけど、式部さんの値段設定って・・・いや!自分の彼女を信じるんだ!


 「そ、そうなんだ。6回おかわりに行くんだね」


 「そうよ!」


 「ドリンクバーは頼まないの?」


 「ダメよ!ドリンクバーを頼んだらサラダが入らないわ!」


 そ、そうか、でも、だけは譲れない!嫌われる覚悟で言ってやる!


 「う、うん。ラ、ライスはダメかな?」


 「くっ・・・。なんでステーキ屋のメニューってライス別なのかしら!確かにないと辛いわね。ふ、二人で一つを食べるのはどうかしら?」


 「う、うん!ももももも、問題ないよ。それで!」


 そ、それって、かかかかかかかか、間接、かかかかかかかか・・・


 「じゃ、頼むわね」


 ピーン・ポーン


 「ただいまお伺いしまーす」


 「計画を修正するわね!」


 「うん」


 ――――――――――

 ステーキ・

  サラダスープバーセット1100円

  +ライス180円÷2=90円

 ――――――――――

 (内訳)

  ステーキ400円

  付け合わせ50円

  ライス30円

  調理料100円

  合計 

   580円

 ――――――――――

 (バー)

  スープ25円

  サラダ75円

 ――――――――――


 「つまり 1190円-580円=610円 よ」


 「お待たせしました。ご注文うけたまわります」


 「ステーキ・サラダスープバーセット2つとライス1つお願いします」


 「はい」


 「かしこまりました。以上でよろしいでしょうか?」


 「ええ」「うん」


 「ご注文くりかえします。ステーキ・サラダスープバーセット2つとライス1つですね」


 「ええ」「うん」


 「うけたまわりました。それでは失礼します」


 「式部さん。今日は、ぼ僕がおごるね!」


 「ダメよ!食べ放題は人のお財布で食べても意味ないわ!自分のお財布だから頑張れるんじゃない!」


 「う、うん。わかった」


 あー。彼女におごってあげたかったな。今度なんか違うかたちでしよ!


 「それじゃ、サラダとスープとりに行きましょ」


 「うん」


 「スープは3種類。野菜はいろいろな種類があるわね」


 「こういうのって、全種類食べたくなるよね」


 「ええ!全部のせちゃいましょ」


 「待って。式部さん」


 「な、なに?」


 「こういうバイキングスタイルのときは、お皿にのせすぎない方がいいって何かでやってたんだ」


 「どうして?」


 あやふやな知識で申し訳ないけど伝えなきゃ。


 「見た目が悪くなるし、思った以上にもってポロポロこぼしやすくなるんだって言ってたよ」


 「わかったわ!じゃあ、これとこれ。ドレッシングはイタリアン」


 「僕はこれとこれ。で、ドレッシングは、シーザー」


 「席に戻って食べましょ」


 「うん」


 「「いただきます」」


 シャキシャキ


 シーザーうめー。シーザーサイコー!プチトマトも当たりだ!


 「新鮮でおいしいわ!」


 「こっちのプチトマトも甘くておいしいよ」


 「ほんと?次入れるわ♪」


 「ご注文の品をお持ちしました。ごゆっくりどうぞ」


 「さぁ!食べましょ!」


 式部さんが使ってなかったナイフでごはんを!ごはんを半分取っていく。二人で一つのライスをつつくのかと期待してたのにーーー。


 式部さんがとろけるような笑顔でステーキを食べていく。見入ってしまう!ぼ、僕も食べよう。うん!うまい!そして・・・気づいた。


 「待って。式部さん」


 「何?まさかお腹いっぱい???」


 「そ、そうじゃないよ。ステーキ全部食べちゃったら、野菜だけ6回食べないとならなくなっちゃうよ?」


 「?!あ・・・」


 涙のにじむ式部さんを何とかしてあげたいと思い僕はとっさに思いついたことを口にする。


 「落ち着いて。よーく手の中を見てごらん」


 「さすが宣孝君ね!私の目に狂いはなかったわ!ナイフを使ってステーキを2倍に増やすのね!」


 「うん!サラダバーに行こう!」


 「ええ!」


 僕のすすめたプチトマトを山盛りにのっけている。可愛い!!


 二人でニコニコしながら、サラダバーへ4回むかい、5回目。


 「先に5回目のサラダバーに行くね」


 「ええ。そうして・・・直ぐに追いつくから」


 式部さんは限界のようだ、僕も合わせよう。


 「僕は5回目で限界だなー。5回でもいいよね?」


 「ええ。もちろんよ。戦略的撤退は必要よ」


 式部さんはゆっくり一切れ一切れステーキを口に入れていく。


 余計なお世話かもしれないけど。


 「そのニンジン食べていい?」


 「え、ええ♪」


 式部さんの顔がパッと輝く。


 式部さんの鉄板にあるニンジンをフォークで差し口に入れる。ニンジンの甘味が口に広がる。


 彼女と同じ皿の料理を食べる。カップルっぽい!僕は間違いなく式部さんに恋しちゃってます!


 その後、真っ直ぐ家に帰った。やっぱり食べ過ぎたからかな?

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