式部さんは食べ放題で元とりたい!

酔玉 火種

第01話 ごはん

 今回はヒミツ兵器を用意したわ。


 「待った?宣孝のぶたか君」


 「い、今きたところだよ!」


 彼こそヒミツ兵器の宣孝のぶたか君!これで万全よ!でもなんでかしら、これからに行くのにあんなオシャレして?


 「そう、良かった!じゃ、行きましょ」


 「うん。ところで、ど、どこに向かってるの?映画館?」


 「なんで映画館?向かってるのはね。うづき軒よ!」


 「うづき軒?えーと、食事処の?」


 「そう!わくわくしてきたでしょ!」


 「う、うん」


 「ついたわ!さぁ!入るわよ」


 自動ドアが開き、式部と宣孝が食券販売機のパネルの前に立つ。


 「うーん。何にしようかなー」


 「唐揚げ定食よ!一週間考えたの!間違いないから!」


 「う、うん。わかったよ」


 唐揚げ定食をそれぞれ頼みお会計を済ませて食券をとり席につく。


 「じゃー、私の計画を話すわね!」


 「う、うん」


 ――――――――――

 唐揚げ定食770円

 ――――――――――

 (内訳)

  唐揚げ1個50円×5=250円

  キャベツ30円

  副菜30円

  味噌汁30円

  ごはん1杯60円

  調理料100円

  合計 

   500円

 ――――――――――


 「つまり 770円-500円=270円 ぶんのごはんを食べれば、元とれるわ!」


 「270円ぶんのごはん?」


 「知ってるでしょ!ごはんのおかわり自由なの!だいたい5杯ね!」


 「5杯って、すごくきつくない?」


 「大丈夫よ!いけるわ!」


 「おまちどうさま。唐揚げ定食2人前。どうぞごゆっくりお食べください」


 「さぁ!食べましょ!」


 「「いただきます」」


 熱々ジューシーな唐揚げをパクリと頬張り、ご飯をかきこむ。


 うまい!


 マヨネーズを付けて味を変えてパクリ、ご飯を書き込む。


 パクパク


 パクパク


 見ると宣孝君も一杯目を完食している。


 「さぁ!おかわりに行くわよ!」


 「待って。式部さん」


 「何?まさか一杯目でお腹いっぱい???」


 「そ、そうじゃないよ。一杯でそんなに唐揚げ食べたら残りの四杯どうするの?」


 「?!あ・・・」


 5個の唐揚げのうち、2.5個を一杯で食べちゃった・・・


 失敗したわ!大失敗だわ!


 おかわりをよそいに立った式部は崩れ落ちる。


 「落ち着いて。よーくテーブルの上を見てごらん」


 何を言ってるの?・・・は?!お味噌汁に副菜!それにキャベツね!


 「さすが宣孝君ね!私の目に狂いはなかったわ!お味噌汁と副菜で一杯、キャベツとマヨネーズで一杯、残りの唐揚げで二杯食べるのね!」


 誇っていいわよ!そのぽっちゃり体型は伊達ではないわ!


 「うん!おかわりに行こう!」


 「ええ!」


 味噌汁を飲んで、ごはんをかっこむ。おしんこを取ってごはんをかっこむ。


 いける!いけるわ!


 「いける?」


 「ええ!もちろんよ!」


 キャベツにマヨネーズをつけて、ごはんをかっこむ。


 微妙な味ね・・・それに・・・お腹がいっぱいになってきたわ・・・


 「先に四杯目おかわりに行くね」


 「ええ。そうして・・・直ぐに追いつくから」


 「僕は四杯で限界だなー。四杯でもいいよね?」


 「ええ。もちろんよ。戦略的撤退は必要よ」


 私の皿には唐揚げが2.5個残っている。


 唐揚げ2.5個残したら、ごはん二杯ぶんと同じじゃない!頑張れわたし!せめて唐揚げは食べるのよ!


 ◇ ◇ ◇ 宣孝視点


 

 初めて女の子にって言われて、どうしようかと思ったけど、式部さんみたいな可愛い彼女ができるなんて夢みたいだ!少しでも細く見えるように縦じまのシャツを選んだし、あー、緊張で胃が飛び出そうだよ!


 「待った?宣孝のぶたか君」


 「い、今きたところだよ!」


 あれ・・・式部さん、なのにずいぶんとラフで、だぶついた服きてるな・・・


 「そう、良かった!じゃ、行きましょ」


 「うん。ところで、ど、どこに向かってるの?映画館?」


 「なんで映画館?向かってるのはね。うづき軒よ!」


 「うづき軒?えーと、食事処の?」


 「そう!わくわくしてきたでしょ!」


 「う、うん」


 ど、どゆことーーー?


 「ついたわ!さぁ!入るわよ」


 自動ドアが開き、式部と宣孝が食券販売機のパネルの前に立つ。


 「うーん。何にしようかなー」


 「唐揚げ定食よ!一週間考えたの!間違いないから!」


 味噌サバの気分だったけど、よく考えたらデートで味噌サバはないよね。


 「う、うん。わかったよ」


 唐揚げ定食をそれぞれ頼みお会計を済ませて食券をとり席につく。


 「じゃー、私の計画を話すわね!」


 「う、うん」


 ――――――――――

 唐揚げ定食770円

 ――――――――――

 (内訳)

  唐揚げ1個50円×5=250円

  キャベツ30円

  副菜30円

  味噌汁30円

  ごはん1杯60円

  調理料100円

  合計 

   500円

 ――――――――――


 「つまり 770円-500円=270円 ぶんのごはんを食べれば、元とれるわ!」


 「270円ぶんのごはん?」


 な、何言ってるかわからないよ・・・


 「知ってるでしょ!ごはんのおかわり自由なの!だいたい5杯ね!」


 「5杯って、すごくきつくない?」


 「大丈夫よ!いけるわ!」


 「おまちどうさま。唐揚げ定食2人前。どうぞごゆっくりお食べください」


 「さぁ!食べましょ!」


 「「いただきます」」


 美味しそうに食べる式部さんを見て僕も美味しく一杯目を完食する。そして・・・気づいた。


 「さぁ!おかわりに行くわよ!」


 「待って。式部さん」


 「何?まさか一杯目でお腹いっぱい???」


 「そ、そうじゃないよ。一杯でそんなに唐揚げ食べたら残りの四杯どうするの?」


 「?!あ・・・」


 式部さんは2.5個を僕は2個の唐揚げを一杯で食べてしまった。


 崩れ落ちる式部さんを何とかしてあげたいと思い僕はとっさに思いついたことを口にする。


 「落ち着いて。よーくテーブルの上を見てごらん」


 「さすが宣孝君ね!私の目に狂いはなかったわ!お味噌汁と副菜で一杯、キャベツとマヨネーズで一杯、残りの唐揚げで二杯食べるのね!」


 ドヤ顔の式部さんも可愛い!


 「うん!おかわりに行こう!」


 「ええ!」


 二杯目も美味しくいただき、少し腹が膨れてきたので式部さんに確認する。


 「いける?」


 「ええ!もちろんよ!」


 キャベツにマヨネーズをつけて、ごはんをかっこむ。マヨネーズうめー。マヨネーズサイコー!


 「先に四杯目おかわりに行くね」


 「ええ。そうして・・・直ぐに追いつくから」


 式部さんは限界のようだ、僕も合わせよう。


 「僕は四杯で限界だなー。四杯でもいいよね?」


 「ええ。もちろんよ。戦略的撤退は必要よ」


 その後、式部さんが最後の唐揚げを食べるのに合わせて僕も四杯目を完食する。


 デートの続きはどこへ行くのかと思ったら、真っ直ぐ家に帰った。食べ過ぎたからかな?

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