第3話 不協和音

 知恵猿が火を起こした!

 この事実は、ゴリラ帝国に衝撃をもたらした。

 森を、草原を、焼き付くす、誰も勝てない力。 

 それが火。

 しかしその力を弱き人間が手にしてしまう、

 ただちにゴリラ会議が召集された。

 ゴリラ上級大将、ゴリスランは、知恵猿への警戒と監視を強めるべきだと主張した、

 ゴリラ貴族のウー・フォン・フリーは楽観論を唱えた。

 別にあれは児戯に等しいと。

 またゴリラ哲学者の、ドランナは人間との共存を唱えた。

 しかし議論は平行線だった、

 一頭のゴリラが議論に飽きて踊り出した。

 さらに別のゴリラが胸を叩きリズムを刻む、叫ぶ。

 人間が音楽と呼ぶものの原型がそこにはあった。

 そう人間はゴリラから音楽のヒントをもらっていたのだ。

 いずれにせよ、ゴリラたちは意見の相違はあれ、同胞で争うことはなかった。

 あの日までは。

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ゴリラ帝国物語 千田陽斗 @shigemituyoshida

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