第11話 復讐の時きたりて
まず健一兄さんの教室へ向かったが、姿が見当たらない。生徒会室か?
生徒会室に着くと、ちょうど誰かが部屋に入るところだった。
あれは副会長.....?
「すみません副会長さん!会長どこにいるかわかります?」
「会長は中よ!ほらいっしょに入って来なさい!」
「は、はい。失礼します」
部屋に入ってすぐ目に付いたのはソファーである。
寝っ転がりたい。
「会長に用がある生徒がいたのですが、お時間大丈夫でしょうか?」
「あー問題ない。でその生徒は?」
部屋の奥から声が聞こえる。俺は心の準備をした。
「いま連れて来ます。さぁこちらに!」
一度唾を飲み込み、それから深呼吸をしてゆっくりと歩き始めた。
「こ、こんにちは健一兄さん」
「なんだ健二か。桜木下がっていいぞ、で俺に何か用か?」
「その、ちょっとお願いがあってさ....」
「ほぉ、お前が俺に頼み事なんて珍しいこともあるもんだな、それでどんな内容なんだ?」
「そ、それは.....
ってことなんだけど、協力してくれないかな...?」
健一兄さんは少し考え返事を返した。
「わかった、いいだろう。初めてのお前からの頼み事だ。それに俺はお前の兄だからな....」
「ありがとう。健一兄さん....」
これで計画の準備は整った。あとは成功するかどうかである。
とりあえず俺はクラスに戻った。
「お、ロリンキャじゃん!どこ行ってたんだよー」
やはり声をかけて来たのはこの男だった。
しかもロリンキャとかいうあだ名までつけられている。まぁみてろ、今にお前をはめてやるからな!
「あ、あの!横田くんちょっといいかな?」
そう言って割り込んできたのは佐倉だった。
計画実行だ!
「あの横田くん、実はね私横田くんの事す、好きなの !よ、よかったら付き合ってください!」
突然の佐倉からの告白、周りからの視線が集まる。もちろんこれも計画だが、あまりの演技の上手さに、本当に告白されているかのようである。
「いいのか...?俺なんかで、ロリンキャとか言われてるんだぞ...」
「いいよ!全然、それに横田くんがロリコンじゃないのは知ってるし、あの画像に写ってたの...あれ妹さんだもんね!」
なにこの子、超演技上手いんですけど...それになんか今までになく可愛いんですけど!
俺の心が動いちまいそうで怖い。
「あ、そうか お前妹に会ったことあるんだもんな。だとしても、俺なんかで本当にいいのか!?」
「だからそう言ってるじゃん。つ、付き合ってくれますか....?」
「う、うん...」
すると、佐倉が抱きついて来た。まさかの行動に、俺はひどく動揺した。
こ、こんなの計画に入れた覚えないんだけど...。
そして佐倉を見ると、とても演技とは思えないくらい顔を赤くし、そして恥ずかしそうだった。
これは演技だ!
必死に自分にそう言い聞かせ、心を落ち着かせた。
これでひとまず、俺のロリコン噂はクラスからは消えたはず、あとはこの男をはめるだけである。
「生徒会からの連絡です。2年Dクラス、沖野陸さん、至急生徒会室まで来てください。」
生徒会からの呼び出しだった。計画はフェイズ2に移行した。
さぁ始めるぞ!陰キャの俺の復讐を、そして沖野陸という、陰キャを舐めた奴に陰キャの怖さを思い知らせてやる!
教室は告白騒動で盛り上がっていた。が沖野陸というあの男だけは険しい顔をしていた。
ちなみに男が沖野陸という名前だと知ったのはさっき生徒会に行ってからで、この男実はかなり悪い噂があるらしい。
暴力沙汰とか喫煙とか無免許運転とか...。もちろんこの学校では、それをやった場合程度にもよるが自宅謹慎、ないしは即退学というのもあり得る。
そしてこの男が、それをやったことを俺は見ている。
そうあの時、練馬駅に向かう途中、俺とぶつかりそうになったあの車である!
あれを運転していたのは間違いなくこの男だ!陰キャという性格からか、俺の観察眼、記憶力は人並み以上でだと自分では思っている。
つまりこれは普段から周りをよく見ているからこそできる陰キャの実力である。
「ちっ!お前覚えておけよ!」
沖野陸は舌打ちをし、教室を去っていった。
あいつのことは覚えておく必要はない。
もう会うこともないだろう。
なぜかって、それは沖野陸が無免許運転をしたからである、また人をおとしいれるSNSの投稿、これは退学処分で間違いないと思ってあるからである。
まぁあとは健一兄さんがうまくやってくれるはず。
これで計画の3分の2は達成した。あとやることは1つ、俺はそれをやるために携帯を取り出し、沖野陸が投稿していたサイトにアクセスした。
これで最後だ。
聖奈、健二にいはちゃんとやり遂げたぞ!
そう心でつぶやき、そのサイトにあることを投稿をした。
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