第10話 下準備はしっかりと



4月25日、朝リビングに向かうと聖奈が近寄ってきた。





「健二にい、おはようごさいます...それであの件どうにかなりますか?」





心配した様子だった。だが俺にはすでに考えがある。




「聖奈...ちょっといいか...?.....」




そして俺の計画を伝えた。


少し驚いた表情を見せる聖奈、だがすぐに笑顔?のような怒りの顔に変わった。




「健二にい、本当にそれをやるんですか!?私は絶対反対です!それに他にも方法はあるはずです」


「でもなぁ、これ以外ってなんかあるのか?」


「そ、それを考えのが健二にいの役目です!」




役目ですか......まぁいいですけど聖奈のためだと思えば。




「それに健二にい、その計画をやるとして誰が相手をやるんですか。」


「あぁそうなんだよ。だから誰かに頼まないとな」





頼む相手を考え、思いついたのは3人、佐倉、長谷川さん、鮫島さんの3人である。



鮫島さんには迷惑かけたくないしな、それに長谷川さんとは1度しか話してないし


消去法で佐倉に頼むことにしよう!




「このあいだの女ですか!?やっぱり反対です。他の案を考えてください。あ、もうこんな時間!急がなきゃ!」


「聖奈は今日学校行くのか?あんな画像がネットで出回ってたら、お前もただじゃすまないだろ」


「私のことは気にしないで下さい。それにあの画像では私は被害者ですから、だから......だから!ちゃんとさっきの計画やり遂げて下さいね!」


「あぁ頑張るよ...」




ってあれなんかさっきの計画の同意もらえたみたい。ありがと聖奈!

俺にできるのかどうか、それにあの計画でいいのかどうか。





「それでは健二にい、私は先に行きますね....行ってきます!」


「あぁ、行ってらっしゃい...」





正直あまり自信はない...だが聖奈の...大切な妹のためだ、やるしかない!今日、初めて俺は自分を信じることにした。





「よし、やるぞ!」





自分の頬を軽く叩き、気合いを入れた。





「行ってきます!!」





いつもより気合いが入っていると自分でも分かった。


学校に近づくにつれて俺の方を見る人が多くなってきた。あの画像の件があるからだろう。


今の時代SNSの拡散は非常に早い、現にたった1日でほぼ全校生徒からこんなに注目されている。




周りからの視線がすごい。


健一兄さんはいつもこんな感じなのかな。


ちょっと違うか....。





「よー、ロリコン陰キャ!」





そう言って後ろから肩を叩いてきたのは昨日のあの男だった。




「どうだ、周りから注目されなかった陰キャから有名人の陰キャに進化した気分は!」




どうもこうもない、それに進化とかなにそれなんかのアニメかゲームですか!?


それにこいつとは話す必要はない、今やらなきゃいけないのは.......。





「おはよう、ヨコッチ!」





男とは逆の肩を叩いて現れたのは佐倉だった。俺のやらなきゃいけないことはこれだ!





「あぁおはよう佐倉」





挨拶を返したところで男はまた口を出してきた。





「なんだロリコン陰キャ、佐倉にも手出してんのかよ!キモいなほんと!」




そろそろぶん殴ってやりたい...と思ったが全力で自分を心を抑え、苦笑いで誤魔化した。





「なぁ佐倉あとで話があるんだが、大丈夫か?」





「え、う、うん大丈夫だけど」





男には聞こえないように小さな声で話した。




「お二人さん、お熱いね!ヒューヒュー」



男は俺と佐倉の距離感を見て冷やかしてきた。たしかに結構近かった。


思い出すと恥ずかしい。



男はその後も何度もちょっかいを出してきた。


しかもこの男とは残念なことに同じクラスなので教室に着いてもちょっかいは止まらなかった。


それどころか、周りの人間も巻き込み複数でちょっかいを出してきた。




これ、俺いじめられてるよな。


いじめだよな!チクってやろうかな、こいつうざいから!





「あ、あのそういうのは良くないと思います」





ちょっかいを止めに入ったのはなんと鮫島さんだった。



え、超嬉しい。


みんな敵の中、美少女だけは味方をしてくれる主人公とか最高すぎない!?



鮫島さんの介入により男とその他金魚の糞達は口を塞いだ。



ホームルームが終わり、1時間目は移動教室。


俺は佐倉を呼び出した。





「朝もなんか言ってたけど何かようなの?」


「い、いやその俺のロ、ロリコンの件で」




「あーあれね。でも事実じゃないでしょ?まさか本当だったとか言わないよね!?」


「まさか、嘘に決まってるだろ!それにお前も知ってると思うけど、画像に写ってるのは妹だ!」


「ぷっ、まじウケるんだけど、なにそんなにマジになってるのよ!それにあんたがそうやつじゃないことは、知ってるし」


「最後の方聞こえなかったんだけど、なんて言ったんだ?」


「な、なんでもないわよ」




佐倉の顔が少し赤くなっているのに気づいた。


どうしてかはこの時は分からなかった。


ただ味方をしてくれるのはとても嬉しかった。

それに昨日とは違い体調が良さそうで安心した。


あれ、なんで俺安心なんかしてるんだ!?

まぁいいか。とりあえず話の方向を戻した。





「それで、本題なんだが.....








という訳なんだ。協力してくれないか!?」






「なるほどね。で、見返りは!?まさかタダでじゃないわよね!?」


「そ、それもそうだな」





しばらく考えたが思いつかない。あっそうだ聖奈の時にもこんなことあったな」


「なんでも、なんでも一つ言うこと聞いてやるよ!」


「へーなんでもねぇ分かった、その話のってあげる」


「本当か!ありがとな佐倉」





この時初めてこいつをいいやつだと思った。




とりあえず佐倉は協力してくれそうだ。あとはあれだな。




午前の授業が終わり昼休みになった。そこで俺は行動を起こした。


あまり話したくはないが仕方がない。



俺は健一兄さんの元へ向かった。


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