第8話 初デートは身内同士で
その日は、朝から修羅場になった。
「健二にい、まさかその人ナンパしたんですか?変態なのはわかってましたけど、流石にそれはもう警察行きですよ!」
「ち、違うって!この人は鮫島さんっていって、俺のクラスメイトだから」
同意を求め、鮫島さんの方を見た。
鮫島さんも小さく頷いた。
「そ、そうですか・・・それもそうですね、健二にいが知らない女に話しかけるなんて無理ですもんね。それにその逆も絶対にないですしね」
その逆?それってちょっと酷くない!
「ご、ごめんなさい私お邪魔だったみたいなので、そろそろ失礼しますね」
「あ、あぁちょっと待って・・・」
声をかけたが鮫島さんは反転し歩き出した。
「それで健二にい、さっきの女とはどういう関係なんですか!」
「どういうって、ただのクラスメイトで、席が隣で、あと委員会も同じか・・・」
あれ結構鮫島さんと接点あるじゃん!
「そうなんですか。健二にいにもついに女が・・・」
「おい、誤解するな!そういう関係じゃないからな!」
「まぁいいですけど。それより早く買い物行きますよ!」
そう言うなり、俺の手を取り強引に引っ張った。歩き始めてから3分ほど、大きなデパートにたどり着いた。
「まずここで私の服を買いますね!」
まず、ってことはこの後もどっか行くのか。はぁ・・・。
「いまため息つきました!?なんでもいうこと聞いてくれるんですよね!」
「はいはい」
約束は約束だ。それに聖奈も嬉しそうだし、今日くらいはいいか・・・。
そして聖奈は真っ先に4階にある女性服売り場に入っていった。俺も入ろうとしたが周りの視線が痛い。
女子高生なんてこっち見てなんか話してるし。絶対俺のことでしょ!
「健二にい、早く来て下さい!」
先に入った聖奈が俺を呼ぶ。俺はここでもいいんじゃないか?でもなんでも聞くとか言っちまったからな。
仕方ないか・・・。
そうして俺もそこに入って行った。
デパートを出る頃にはお昼を過ぎていた。
「健二にい、お腹すきましたね!」
「はいはい分かったよ、どこか食べる場所を探すか」
そして見つけて入った店はラーメン屋!
「健二にいはセンスのかけらもないですね。まぁ任せてしまったのは私ですから、いいですけど・・・」
俺はラーメンすすった。
それを見て聖奈も麺をすすった。
「美味しい」
聖奈は小さな声で呟いた。
よかった。まずいとか言われたらどうしようかと思った。
それからしばらく商店街を歩いた。
食べ歩きみたいな感じになってしまったが、聖奈がこんなにはしゃいでいるところなんてめったに見れない。よかったよかった。
「そろそろ帰るか?日も暮れてるしな」
「そ、そうですね。健二にい、今日はありがとうございます。おかげでいいデー、買い物等ができました」
「まぁ約束だったしな。こっちこそありがと、俺自転車だから、先帰るな」
「何を言ってるんですか!家に帰るまでが買い物です!だ、だからい、一緒に帰って下さい・・・」
「お、おう」
結局、俺と聖奈は一緒に家に戻った。
リビングで健一兄さんが待っていた。
「やっと帰ったか。健二、お前に客が来てるぞ」
「客ですか?それは一体・・・」
「昨日ぶりー!ヨコッチ帰り遅すぎ!」
そこにいたのは佐倉だった。
「なんだお前か」
「残念!今日はそう言われると思って特別ゲストを連れてきてます!」
そうして佐倉の後ろから出てきたのは鮫島さんだった。
「さ、先程は失礼しました。」
「さっき、ってヨコッチ鮫島さんとなんかあったの!?」
「い、いや別になんでもないよ。たまたま駅であっただけで」
会話中、聖奈の姿がないのに気づいた。
どこに行ったんだ?
「ど、どうですか!健二にい、この服似合ってますか!?」
そう言って突如リビングに現れたのは聖奈だった。しかしリビングの状況を見て、慌てて部屋に戻っていった。
「あっ!さっきの彼女さんは横田くんの妹さんだったんですね」
やはり鮫島さんは何か誤解していたようだ。
「俺は自分の部屋に戻るから、ゆっくりしていってくれ」
そう言って健一兄さんもリビングから出ていった。
全く今日は、聖奈とのデー、お出かけの次は、鮫島さんと家デートですか!なんて幸せな日なんだ!
「ねぇヨコッチ!私もいるからね!」
やはりこの女、佐倉いろりはエスパーだと確信した。
「で、なにしにきたんだよ」
「何って、そりゃ部活だよ!」
「部活?俺の家でか?」
「まぁ色々あってね、そして今日から鮫島さんも部活に入ってくれることになりました!」
おーまじか!ナイス佐倉、お前は酷いやつだし、正直嫌いだが、それはナイスすぎる!
「ヨコッチいま、私の評価上がったでしょ!」
「上がってねぇよ」
「なにそれ!酷ーい!」
「あのすみません、でもそろそろ本題に入らないと」
鮫島さんが口を挟んだ。何か大事な用があるらしい。俺はとりあえず、2人を座らせ、お茶を出した。
「で、本題ってなんだ?」
「は、はいそれはですね・・・
・・・」
俺はその内容を聞いて驚きを隠せなかった。
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