ラブコメは身内から

第5話 夜中に誰かがやってくる


4月21日、この日は快晴・・・だが夜から風が強くなる予想だ。

雨じゃないのを残念がりながらも学校へ向かう。



学校に着くと手紙があった。

もう迷惑チラシと同じ扱いだな。

毎回捨てていた手紙だったが、今回は中身を見ることにした。



内容は以下の通りだった




健二さんへ


最近毎日のように手紙を書いていますが、ちゃんと読んでくれているでしょうか?一昨日の返事はまだでしょうか?

もし会ってもいいと言ってくれるのでしたら、今日の放課後私の家まで来て下さい。


この文章の下に家の住所と地図が書いてあった。


どうやらその地図を見る限り俺の家から割と近いようだ。




一昨日の手紙か・・・捨てちまったな〜。とぼんやり思っていると後ろから誰かに体当たりされた。




「ヨコッチ、おっはよー!そんなとこでなに考え込んでるのよ!ラブレターでもはいってた?」




え、この人エスパーですか・・・てかちゃっかりお前がラブレターもらえるわけないじゃん的な感じでディスったよね。それになんのための体当たりですか!まじ痛いんですけど。




「おはよう」




適当に挨拶を返す。こいつにはこれでいいと思っている。




「あ、そうそう昨日はありがとね!文化祭実行委員出てくれて!で、どうする?文化祭実行委員続けちゃう!?」




確かに文化祭実行委員は魅力的だ。その理由は言うまでもなく、鮫島さんがいるからである。だが強敵もいる。俺の兄、健一兄さんである。昨日の司会進行は健一兄さんだったのだが、無駄に人を指名して質問してくる。まるで面接をやっているかのようだった。それに何度も言うように俺は健一兄さんが苦手だ。




「健一兄さんさえいなければなぁ・・・」


「横田先輩なら、次からは来ないよ!生徒会長として初回を見にきただけだからね!」




心の中で言ったつもりだったが声が漏れていたらしい。だがこの返答を聞いて、俺はかつてないくらいやる気が溢れてきた。邪魔者は消えた!鮫島さんと二人で実行委員ができる、と。




「てかさヨコッチお兄さんと仲悪いの?まぁ先輩とヨコッチじぁ天と地の差があるけど」




この女、さっきから俺のことディスリ過ぎではないだろうか。

なんか俺に恨みでもあるのかよ!

そもそも君には絶対関係ないでしょ!




「いいや別に仲が悪いってわけじゃない。ただ単に俺が嫌っているだけだ」


「あーなるほどね。いわゆる嫉妬だね!自分にはなにもないのにお兄さんにはなぜ!?的なやつね!」




あーもううざい!


朝からこのディスリの連続攻撃と、いちいち距離を縮めてきたり、ウインクまじえたりするあざとさと、もうこの女とは関わりたくない。




「早くしないとホームルーム遅れるぞ」




俺は逃げるように教室へ向かった。


教室へ着いてまず真っ先にやることそれは・・・




「おはよう、鮫島さん」




そうそれは鮫島さんへの挨拶である。

やっと言えた!と一人で舞い上がって、ガッツポーズまでしてしまった。




「お、おはよう・・・」




挨拶を返してくれたものの、絶対ひかれた。やっちまった、嬉しさのあまりガッツポーズとかまじ恥ずい。




「ヨコッチ、なにガッツポーズなんかしてんの!まじウケるんだけど」




後ろからついてきたこいつは、俺が言ってほしくないことが分かるらしい。


嫌な女だ!



その日はそのまま鮫島さんにはひかれたままで、佐倉からはディスられまくった。


散々な一日だった・・・とその日を終わりにしようとしていた。が、夜部屋で横になっているとドアをノックする音が聞こえた。


上体を起こし、ドアを開ける。

そこには聖奈が立っていた。



え、なにこのシチュエーション!まさかの妹と恋愛的な発展しちゃうやつ!

ちょっと緊張とかしてきちゃうんですど・・・。


てかなんかいつもより可愛く見えるんですけど!って危ない危ない、妹で欲情するところだった。




「ど、どうしちゃんだよ!こんな時間に」




緊張して噛んでしまった、やばい恥ずかしい、こっち見ないで!

聖奈はこっちを見て笑っている




「で、何の用だ?」




今度は噛まないように字数を減らした。



聖奈は自分の用を思い出したのか、下を向いて顔を赤くした。



愛の告白ですかね?とか俺の頭は俺の心に問いかける。




「あ、あの・・・実はそ、外で音がして眠れないんです。窓を誰かが叩いているみたいで」




なるほど。

原因は多分風だろう、夜から風が強くなるとか言ってたからな。


まぁ大した音ではないが、心霊現象とかホラーとかそっち系が苦手な聖奈にとっては怖いのだろう。


でもそのまま「風だろ」と言うのはもったいないと感じた。

せっかく聖奈が頼ってくれたんだからちょっと怖がらせてみてもいいかな・・・なんて兄として酷いことを考えてしまった。




「大丈夫だ!多分大した幽霊じゃない」


「ゆ、幽霊ですか!わ、私は全然怖くないですけど・・・ど、どうしたらいいですか!?」




怖がっているのが伝わってくる。俺も酷いことをしてしまったと思ったが、ちょっと面白いので続けることにした。




「そうか大丈夫ならいいけど、俺はどうしたらいいかわかんないからもう寝るよ!聖奈も早く自分の部屋に戻って寝ろよ」




そう言ってゆっくりドアを閉める。

聖奈は「まってよ!」と言わんばかりの顔をしていたがなにも言わなかった。


そしてドアが完全に閉められる。とその時、手でドアをこじ開け、慌てた様子で俺の部屋に入りベットに飛び込んだ。




「今日はここで寝ます!け、健二にいが怖がっているのをこれ以上見ていられませんからねっ!」




え!ちょっと待て・・・それは想定外。

ここで寝るとか妹とはいえ女子と二人きりとか、絶対寝れないし。

これ俺がベット入ったら色々まずいし、理性保ってられるかわからんぞ!




少し無言が続いた 。






「お、同じ部屋はまずいだろ!兄妹とはいっても、と、年頃の男女なんだから」




考えた末に、妹を追い出そうとした。が返事がない。

見ると俺のベットで寝てしまっていた。



まぁいいか。聖奈の寝顔を見ていると、俺も眠くなってきた。


そのまま意識がうすれて・・・ あっ!そういえば手紙のことすっかり忘れてたな。


なんか住所とか書いてあったし、明日学校もないから行ってみるか。


そんなことを考えてながら寝てしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る