第4話 たまにはいいこともある
2年生になってから、ラブレターもどきを貰ったり、美少女転入生などいろいろなことがあったが今日はついに、その美少女転入生に名前を聞くという試練の日!
いつも通りの朝、そしていつも通りの食卓、そして家族と言う名のメンバー。
「行ってきます」
みんなが家を出た後に誰もいない家に「行ってきます」を言う俺まじで偉くない!といつも思っている。
いつもの学校、そして最近多い手紙。これは完全に無視することにした。
最近もらいすぎて驚きもしないし、ドキドキもしない。
教室に入ると案の定、転入生に多くの群れが絡んでいる。
「おはよー!ヨコッチ」
女子の声が聞こえた。
えっ誰、今「ヨコッチ」とか呼ばなかった!てか「ヨコッチ」って誰!
色々疑問はあったがとりあえずスルーした。
「ちょっとなんで無視するのよ!」
「は、はい?多分人違いなんで、ごめんなさい」
そう返すと彼女は笑った。
「なんで謝るし!てか人違いとか、面白すぎるんですけど。もしかしてもう忘れたの?私だよ!いろりですよー」
顔が近い、そしてあざとい。もちろん覚えているがこの女子とは関わらないほうがいいと俺の全細胞が訴えている。
「おはよう」
適当に挨拶して席に座ろうとするが、その女は道をあけない。
「ちょっと通れないんですけど」
「えーなんの事?・・・てかさヨコッチもっと話そうよ!」
非常にめんどくさい。それにその呼び方もう少し何とかして!
それに今日はやらなくてはいけないことがあるんだ!と言うつもりで無理やり席まで行こうとした。
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
無事席に着いたが、彼女はしつこく話しかけてくる。一度大きくため息をついて話を聞く.・・・することにした。
「で、なんのようなんですか?」
「今絶対、わざとため息聞こえるようにしたでしょ!まぁいいけどさ。でさヨコッチは今部活とか入ってるの?」
すごく笑顔で聞いてくる。なにこれ部活の勧誘ですか?
俺2年生なんだけど・・・それに昨日まで俺の名前すら知らなかったよね君!
「いや入ってないけど」
その返事を待ってた!と言わんばかりに彼女は続けた。
「あのさ、よかったら鮫島さんと文化祭実行委員やってくれない!」
いや待て!おかしいだろ。てかお前の部活でもないのかよ!そもそも部活でもないよ。それにその鮫島って誰だよ!と色々突っ込みたいがひとまず返事を返した。
「いや、めんどくさそうだからいいや。それに俺なんかよりもっといいやついるだろ」
そう言って俺はうつ伏せになった。
「ちょっと!話し勝手に終わらせないでよ!
無理にとは言ってないけどさ今日文化祭実行委員の集まり的なのがあって・・・お願いそれだけ出てくれればいいから!」
頭を90度に下げてお願いしてきた。視線が一気に俺の方に向くのが分かった。
なんか告白されてるみたいなだなーと思ったりもした。
女子に頼まれごとなんて初めてだし、それに頭まで下げられて、しかもみんなの前で断るとか、流石にやばいよな。
「分かった、今日だけだぞ・・・」
周りには聞こえないように彼女に伝えた。
「ありがとー!まじヨコッチいいやつだ!じゃ今日からよろしくね!」
うわーなんかあざとい。それに「今日から」って・・・俺「今日だけ」って言ったんだけどね。
彼女は超嬉しそうに自分の席に戻っていった。
また面倒ごとが一つ増えた。
そして放課後。
あれ、俺今日も転入生の名前聞かなかった。と一人で頭を抱えた。
文化祭実行委員の集まりがある部屋は3階、俺の教室は2階。登るのめんどくさーとか思いながらゆっくりと階段を上る。
「ここか」
そっとドアを開け部屋に入った。
机の上に学年とクラスが書いてある。俺は自分のクラスのところに座った。
鮫島という女子はまだきていないようだ。
10分ほど経ち続々と他のクラスの人も着席する。すると金髪の美少女が入ってきた。
あの転入生である。すると転入生は俺の席の隣に座った。他の学年、クラスの人もこちらを見ている。
こちらというより隣を・・・。
えっ!まじか、これはやばい!もう言葉にならないくらいやばかった。
何を話していいのか分からず、しばらく無言だったが先に転入生が口を開いた。
「あのヨコッチさんですか?」
あの女、俺の変なあだ名転入生に教えやがったな!
「あぁ、ま、まぁそうだけど、横田です。よろしく」
しっかりと名前を訂正して伝えた。
「横田さんですか・・・よろしくお願いします」
あーまじか、可愛すぎ やばい、これ俺死んじゃう。
「え、えっと隣の席だよね?」
「はいそうですよ」
「な、名前まだ知らななくて」
「名前ですか?私は鮫島フロントスタール・アルセリーカと申します」
恥ずかしそうに答える。
これで俺の人生.....は終わらないけど目標は達成!まじ最高!文化祭実行委員バンザイ!
「そ、そうなんだ、よろしくね鮫島さん」
「は、はい!こちらこそ宜しくおねがいします」
そんなやりとりをしていた俺はある人物が入ってきたことに気がつかなかった。
「では、始めるぞ!」
聞き慣れたこの声、もしや!と思ったがその通りだった。
周りの女子も表情が変わる。
その正体は俺の兄、横田健一だった。
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