《10》 オートプレイ
市内の廃工場にて。
雪希が紫のプレイヤーと遭遇していた頃、舞那達3人は工場内で向き合っていた。
舞那はアクセサリーを既に盾へと変化させており、対面している日向子は変身している。
「これはメラーフから聞いてないと思うけど、プレイヤーは変身してる時しか能力は使えない。けど、身体は勝手に動いてくれるから戦える」
「……メラーフから聞いた時から思ってたんだけど、戦ってる時は戦ってる時は常にオートプレイなの?」
「一応、自分の好きなタイミングで自分の好きな動きができるようにはなってるよ。けど、頭が反応できずに攻撃受けた時とかは、勝手に身体が動く。まあ最初はオートプレイでやってるとそのうち慣れるよ」
プレイヤーの身体が戦闘時に動くことを、プレイヤーという単語に関連付けてオートプレイと呼んでいる。
オートプレイはアクセサリーを武器に変化させている間のみ適応とされているため、アクセサリーの状態で不意に襲われれば対応できずに高確率で死亡する。
「さっき言ったけど、私の能力は硬化。一応硬度は下げておくけど、私に直接当てる時は気を付けてね」
能力にはそれぞれ幅があり、プレイヤーは戦闘時にその幅の中で「位置」を決めることができる。
例えば、白の能力は硬化であり、日向子がプロキシーと戦闘を行う際は、大概硬度を最高に上げる。対して、今回のような仲間同士での特訓の際には、硬度を半分以下に抑える。
白の硬化は尋常ではない程硬く、最大まで硬度を上げた状態で攻撃を受ければ、攻撃した側がダメージを受けてしまう。無論受けた側はノーダメージ。
今回の特訓相手は舞那。変身していないため、日向子は硬度は低めにしてある。それでもそれなりに硬くはなっている。
「そんじゃ……いくよ!」
日向子は槍を一振りした後、舞那に向かって走り始めた。
舞那の武器は盾。攻撃には使えないと判断した舞那は、ひとまず守りに徹するため身構えた。
「はあっ!」
日向子は槍の峰で舞那の盾に攻撃。
青の武器である盾は、舞那の想像通り攻撃には不向き。しかしその分、他のアクセサリーよりも強度は高い。
とは言え、相手は変身して身体能力が向上した状態。現時点での硬度は盾の方が上ではあるが、攻撃を受けた舞那は日向子に力負け。薙刀の一撃で後方に吹き飛ばされた。
「おわっ!?」
「おっと! 日向子! 力加減ぐらいしなよ!」
「ご、ごめん……」
吹き飛ばされた舞那だが、地面に落下する前に変身状態の沙織にキャッチされた。
沙織はこうなることを事前に予期していたため、変身していつでも飛べるようにスタンバイしていた。
「ありがと沙織」
「お礼はジュース1本でいいよ」
「え……」
変身による力の差、及び能力を使用したアクセサリーの性能を考慮し、日向子は素手で戦うため槍を地面に突き刺した。
「と、とりあえず硬度下げて、薙刀も使わないことにしたから、これで問題はない……かな?」
「まあ……盾にだけ攻撃当てて、なるべく吹き飛ばさないようにしてくれたら」
「……ダメだ怖い。ごめん、やっぱり変身できるようになってから特訓するようにしよう。そっちの方が絶対いいよ」
「そう、だね……じゃあ特訓はここまでにしておいて、改めてどこか遊びに行く?」
「遊びにというかブラブラだけどね」
日向子と沙織は変身を解除し、3人はそれぞれの武器をアクセサリーへと戻した……のだが、その瞬間に舞那はある疑問を抱いた。
「あ……ごめん日向子、もう1回変身してくれない?」
「え? まあいいけど……変身!」
アクセサリーを槍へと変化させ、再び変身した日向子。
「どうしたの?」
「……日向子、ちょっとスカートめくってみて」
「はあ!?」
突如、何かに取り憑かれたかのようにスカートの中の光景を求め始めた舞那。
当然日向子は驚いていたが、その様子を見ていた沙織は失笑。
「お願い! どうせ私達しかいないんだし、ね?」
「ま、まあ……どうせ戦ってたら見えるからいいんだけど……」
若干赤面させながら、変身状態の日向子は自らの手でスカートを捲り上げた。
スカートの下には白いストッキングを履いており、そのさらに下に白いショーツを履いている。
日向子の下半身を見つめる舞那。そしてその斜め後ろで、沙織は日向子の下半身を卑猥な目付きで舐めまわすように見つめている。その視線に若干寒気を感じた日向子だが、沙織の視線に気付くことはなかった。
「ありがとう、もう解除していいよ」
「なんなの……」
日向子は変身を解除し、元の姿に戻った。
しかし、
「じゃあその状態でスカートめくってみて」
「マジでなんなの!?」
今度は変身解除の状態で、スカートを捲り上げるように強要された日向子。
「いや、変身したら下着とかも変わるのかな……なんて。というわけで見せて?」
「何でわざわざ見せなくちゃいけないの!」
「口頭での説明だと本当かどうか分からないじゃない。ね、舞那」
「沙織まで何言ってんの!」
舞那に続いて沙織まで参戦し、日向子の立場は段々と危うくなってきている。
「そういえばさっき、舞那を吹き飛ばしてたよね……私がいなかったら舞那今頃怪我してるよ?」
「うっ……あーもう! 見せればいいんでしょ!」
抵抗は無駄だと悟った日向子は、スカート捲り上げを許諾。
舞那は単純に気になっただけなのだが、沙織の場合は明らかに不純な動機である。互いに動機は違えど、スカートの中を見るという目的は達成したたため、舞那と沙織は互いの手を掴んで達成を喜んだ。
「うぅ……どうしてこんなことに……」
先程とは比べ物にならない程顔を赤くしている日向子は、ゆっくりとスカートを捲り上げて自らの下半身を露わにした。
変身を解除した日向子の履いているショーツは、水色をベースに白い水玉模様が描かれた可愛らしいものとなっている。
舞那は再び日向子の下半身を見つめ、沙織は先程にも増して日向子の下半身を見つめている。
変身時は所謂戦闘服を纏っているため、戦闘中に激しく動けばどうしてもショーツは見えてしまう。
しかしそれはチアリーダーのレオタードや、ダンサーが着用する見せパン等といったものと同列であるため、最悪見られても問題はない。
「もういいでしょ! はい! おしまい!」
「なるほど、変身すれば下着も変わるんだね……」
「ごちそうさま」
「沙織!?」
沙織の発言に日向子は鳥肌が立った。
その後、日向子は沙織と若干距離を空けたまま、舞那と共に街をブラブラしていた。
しかし結局行く場所がなく、3人でカラオケに行くことになるのだが、終始日向子と沙織の間に壁が貼られているように見えた舞那だった。
◇◇◇
「ふぅ……」
午後20時過ぎ。
入浴を終えた舞那は、タオルで身体の水分を拭いていた。そして先月よりもさらに成長した自らの胸を見て、また太ってしまったと若干気を落とした。
下着を着け、寝巻きに着替え、先程まで着ていた服とタオルを洗濯機に放り込む。洗濯機を回し、自室に入りドライヤーで髪を乾かす。
いつも通りの行動をしていた舞那。そんな中、連絡先を交換してから一度もトークをしていなかった雪希からメッセージが届いた。舞那はスマートフォンを開き、雪希からのメッセージを確認。
雪希からは『紫のプレイヤーがいた。攻撃されないように気をつけて』とメッセージが届いており、舞那は返答として『りょうかい☆』と書かれた猫のスタンプを送った。
(紫のプレイヤー……どんな人なんだろ)
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