ワールドパート2:「育ての魔女」と「落とし子」
・育ての魔女(ナーシングウィッチ)
その名の通り、落とし子たちを育てるためにいる魔女たちです。魔女という名前ではありますが、男性の魔女も普通にいますし(実年齢は知りませんが)若い見た目から老いた見た目、そもそも人の形から外れていたりと様々な魔女がいます。ですが彼らは皆不老不死で、自らの意志で体を操作しない限り永い時を同じ姿で生きます。
そして魔女なのですから当然、彼らは魔法が使えます。魔女によってどんなことが出来るかは様々ですが、日用にはもちろん戦闘用にも使える強力なものです。
育ての魔女は基本的に人里とは勿論、魔女同士でも他者との積極的な関わりを持たず、自然の中で孤独に暮らしながら自身の魔法の研究に専念しております。色々書きましたが、物語に出てくる魔女そのものな感じだと思っていただければ凡そ間違っていないはず。
そんな魔女たちは日々の暮らしをしている中でふと「お告げ」と呼ばれる、女神からの声を聴くことがあります。魔女たちはその声に従い、落とし子を拾い、そして育て、魔女集会へと赴き、そしていつかは落とし子との別れを迎えるのです。
☆魔女についての真実
先ほど「この世界は女神が作ったシステムであり、人里の住民も例外ではない」と書きましたが、それは魔女たちも例外ではありません。
彼らも「落とし子たちを健全に育てる」というただ一つの目的のために、落とし子がこの階層へと現れるのに合わせて女神の手によって世界へと産み落とされてきます。魔女によっては数百年の時を生きてきた記憶を持っていることもありますが、それも女神が「そのように作り、世界ごと調整した設定」です。やって来る落とし子に合わせて、女神がそのようにチューニングして魔女を生み出すのです。
ですがそんな魔女も、この階層にいるほかの住民とは決定的に違う点が一つあります。それは魔法の存在と、落とし子と2人でステラナイトになれることです。これは、魔女を作る際に女神が「魂の輝きのエッセンス」を使用していることが原因です。
女神は落とし子たちを育てる魔女を作るにあたって、過去に失われた階層群の魂から主に親だったものの魂を集め、そこから「子を持つ親の想い」というエッセンスだけを抽出し、魔女に組み込みました。この輝きのエッセンスがあるからこそ魔女はシステムでありながら落とし子たちと絆を結びステラナイトになることが出来ると同時に、余計なものをそぎ落とした極めて純粋な想いがあるからこそ、現実をゆがめるほどの奇跡である「魔法」を使うことが出来るのです。
それと同時に魂の輝きがエッセンスしかないので、落とし子と魔女は仮初の親子以上の関係にはなれません。また、最小限の魂しか持たないがゆえに魔女は不老不死であり、落とし子たちと同じ時間を歩むことも構いません。
多くの魔女は「そういうもの」と割り切っていますが、戦いを経て落とし子に歪みが溜まるとその影響を受け、システムの枠を外れてでも二人の愛に生きることを願うようになります。そのなれの果が、後述する「異端の魔女」です。
・落とし子(フォールンチャイルド)
他の階層で様々な不幸により「1人で生きるのが難しいのに一人になってしまった」子供たちです。連れてこられる年齢層は凡そ10代までが殆どですが、先天的な肉体の欠損などによりハンデを背負っていたりするとそれより上の年齢でも連れてこられることがあるそうです。
落とし子たちは女神がその存在を認知し次第、速やかにウィッチ・クレイドルのどこかへと送り込まれます。その時の感覚を落とし子たちは「急に眠気が来て目をつむったら、ふわっと体が浮いたような気がして、気が付いたらこの場所にいた」という風に証言します。
多くの場合落とし子たちは草原や森の中といった場所に送り込まれ、すぐに近くに現れた魔女に拾われます。魔女は落とし子が現れたことをお告げで聴き、その周囲を探し回るのです(時にはお告げでなく、偶々魔女が通る場所に落とし子が送り込まれることもあります)。
そうやって魔女に拾われた後は、魔女の付き人となるべく育てられます。育ててくれる魔女や落とし子本人の適性によって教育方針は変わってきますが、ときには人里の学校や、他の魔女との交流も交えつつ、教育や育児が行われていきます。それを通して落とし子は、家事や学問、時には武芸や魔法といった生きるのに必要なスキルと、魔女からの愛と絆を一身に受けて健やかに育ちます。
・魔女の教え
落とし子は魔女に普通の教育をされるだけでなく、パートナーとして戦うことでステラナイトの仕組みについても教わります。
最初の内は魔女がブリンガー、落とし子がシースとして戦うことで魔女が前線に立つのですが、戦いを通じて魔女から様々なものを学び、落とし子が肉体的にも精神的にも成長した後は落とし子がブリンガー、魔女がシースとなって戦うようになります。完全なる魂の輝きを宿している以上、きちんと成長した後であれば落とし子の方が魔女よりも強い力を振るえるようになるのです。
落とし子が前線で戦えるようになると、そろそろ独り立ちする時期も近いでしょう。
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