ワールドパート1:この世界について

・この階層の成り立ち

この階層は他の階層のように、かつて並行世界に存在した様々な世界を女神が拾い上げてできたものではありません。アーセルトレイに必要と判断し、女神が自分の力で産み出し形成した階層です。

では、何のために女神はこの階層を作ったのでしょう?それは、「貴重な子供たちを、階層崩壊や不幸な境遇から守るため」です。

この世界にとって、輝きを持つ人類は対ロアテラに必須な大事な戦力です。その中でも子供というのは無限の可能性を秘めた、まさに宝といってよい存在でしょう。ですが子供が持つのは「可能性」だけ、1人で生き抜くための力は持っていません。

ですが、このアーセルトレイでは様々な要因によってこの貴重な宝が失われます。階層崩壊に巻き込まれたら問答無用で消失しますし、戦乱を始めとした厳しい環境で満たされた階層では日々失われなくてもいい命が消えていきます。

もし大人であれば、運よく他の階層へと飛ばされれば隣人として立派に生き抜き、第二の人生を歩むでしょう。ですが子供はそうもいきません。運よく飛ばされたとしても、その先で誰かやさしい人に巡り合わねばそのまま野垂れ死んで終わりです。

そうやって何物にもなれぬまま消えてゆく可能性を少しでも減らすために、女神が張ったセーフティネットこそがこの「ウィッチ・クレイドル」です。可能性を持つ子供たちを拾い集め、彼らを育成するためのシステムとしてこの階層は産み出されました。この階層によって命を救われ、適切な教育を施された子供たちは元の階層(滅んでいたら、適切な他の階層)へと帰り、そこでパートナーを見つけてステラナイトとして戦うことを期待されています。


・ウィッチ・クレイドルの風景

ウィッチ・クレイドルは自然豊かな階層で、森や草原、川、湖、場所によっては海もあるような階層です。勿論動物なんかも生息しており、多くの魔女たちは、そういった自然の中で付き従う子供と共に暮らします。

また、そういった自然の中に点在して人里がいくつか存在しています。人里には村や街といくつか種類があり、それぞれのレベルに応じた農耕、あるいは商業生活などを営んでいます。場所によっては都市国家のようなものを形成し、王を擁立しているようなところもあるとか。

しかし人が住んでいるといっても、彼らはあくまで女神が用意した、落とし子たちの教育に役立てるための「システム」の一部であり、魂の輝きを有しません。他の階層の住民やこの階層にやって来る落とし子とは違いステラナイトになる事は出来ませんし、暮らしている場所から出て自らの役割を放棄するようなこともありません。また、不思議な魔法を使う魔女たちのことを忌避しており、病人が出たというような非常時以外で彼らの方から接触を試みることはほぼありません。落とし子たちについては素性を隠せば問題なく応対してくれますが、魔女の子と知れたらそうはいかないでしょう。

しかし、そんな村人たちの中にも何らかの突然変異によってこの世界の法則、魂の輝きの存在を知ってしまい、自らの役割を放棄する者がいます。彼らを「魔術師」と呼び、魔女と落とし子の敵となる存在です。

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