第2話


そこはおもちゃのようなふわふわの雲と青い空の世界

わたしはカミサマにこう言われるのだ

「このカゴいっぱいの青い鳥と幸せな人生を交換してあげよう」

なにを話しかけてもそれしか言わない、言うなれば村民Aのようなこいつを、夢の中でわたしはいつも信じ込む


駆け出した足は軽くて、希望に膨らんでドキドキ動く胸が心地いい


もらったカゴを持って周りを見回しながら


走って走って走って走って


そして、


綿菓子みたいな甘ったるい雲に胸焼けして、疲れて歩きだしたときに思い出すのだ


この世界で青い鳥を見たことなんてないことに


いつもいつも1匹も捕まえられたこともないことに


そのことに気がつくと夢の中のわたしはいつも泣き出す


小さい子供のように駄々をこねてしゃくり上げる涙はいつのまにか本当のものになっていて


ほおを伝って耳に入った涙を感じて現実のわたしが目を覚ます


ただとてもとても悲しくて寂しくて


何かを失った喪失感だけがあって


涙で始まる1日がいい日になった試しはない





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