また、あいつが。関わってしまう事件の――予兆だろうか?

「よお! さつき!……まだ、そんな格好してんのか?」


 署長室に顔を出すと。


 巫女みこ姿の。


 われらが署長様。


 月夜野つきよの さつきが。


 椅子いすにもたれながら。天をあおいでいた。


 昼間の高美たかみ神社でのイベントで。


 れねー事をやったせいか?


「わたくし、お疲れちゃんですから。赤城警部」

「だろうな。ほら、自販機のミルクティーで悪いが」


 缶コーヒーならぬ。紅茶だが。


 いっつも忙しい奴だからな。部下なりの配慮だぜ。


「流石、わたくしの部下ですわー! ちょうど、相談したい事がありますの!」


 さつきにしては、素直に差し入れを受け取ったな。


 あん? 相談?


「神社で小宮こみやさんに――」

「食べ物をおそなえしとけ! とにかくだ! いいな! それで解決する!」


 話の内容も聞かねーけどよ。


 俺には、心当たりがあった。



 


 先月、ゴールデンウィークが終わった頃に。


 御門坊みかどぼうの見舞いに行った。


 その時に病院内で。


 うつろな表情でうろついていた。


 祀理まつりちゃんと遭遇そうぐうしたけどよ。


 あまりの変わりように。


 思わず声をかけたぜ? 心配だからな。


 その途端とたんに。大号泣。


 俺が原因みたいに。周りの奴らが見るもんだから。


 ひとまず場所を。


 老舗しにせのうなぎ屋に移動した。


 俺の見立て通り、祀理まつりちゃんは。


 特上うな重を満面の笑みで、食べつつ。


 理由を話してくれたぜ。


『私、御門みかど君の。ケースワーカーの担当、はずされました!』


 とある理由で。生活保護が取り消されらしい。


 原因は。


 我らが上司様のある行為だ。


 最近、世間を震撼しんかんさせた事件。


 あの事件に。5億円の懸賞金けんしょうきんを掛けた。


 その事だ。


 あろう事か、さつきは御門坊みかどぼうに。


 支払ってしまったとの話だ。


 当のさつきは、どこふく風。


 本人としては有言実行しただけ。


 善悪も、ねえからな。悪気もだが。


 必然的に生活保護も。いらなくなるだろうな。


 俺の財布にも被害が出たぜ。


 祀理まつりちゃんに。俺の分の特上うな重も……おそなえしたからな。


 その日は。


 店で出された――緑茶だけを飲む始末だった。




「そうでしたか! やはり、小宮こみやさんには食べ物を!」

「ああ。大抵の事は、何とかなるぜ」


 嘘は言っていない。あれこれ助言してもだ。


 さつき自身が気づかねーと。成長しねーからな。


 本当に困った時に。手を貸してやれば良いだろう。


 部下も大変だせ。


「それから、もう一つありますの! 響愛きょうあい学園大学は、ご存知かしら?」

「あのお嬢様専門の学園だろ? 榛名はるな中学よりも山奥にある」


 完全に閉ざされた学園。  

 

 人里から離れ過ぎてる印象だ。


 何でも。大企業の娘だか、政治家の娘だとか。


 有力者の娘が。お世話になっているらしい。


「そこから、連絡が。『事件が起きたが、起きていない』との事ですわ!」

「はあ? ふざけてんのか? その学園は?」


 またかよ。


 俺の嫌な勘だけは、当たりやがる。


 もしかしたら。


 また、あいつが。


 関わってしまう事件の――予兆だろうか? 





 ※どうも! 作者の偽善者!? です。


 お試しの続編は、以上になります。


 カクヨムコンテスト8では、読者選考突破しました!


 受賞しませんでしたがwww 皆さんに読んで頂き感謝です!


 完全不定期になりますが。今後もよろしくちゃんですわー!


 ※続編『ニート呪詛使いと花園の結界』公開中。

 https://kakuyomu.jp/works/16817330650933861978



 


 


 


 


 


 

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ニート呪詛使いと関わりたくない彼女達!? 偽善者!? @suruga281

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