咲さん成分も補給するもん!

「この、もっちりにいやされます! うーん! 最高だよ!」

「おーほほほ! お安い御用ごようですわー!」


 綺麗な巫女みこさんにハグをして。


 精神力を回復します!


 私が急に泣き出したせいで。


 社務所の休憩室きゅうけいしつで。


 こうして、人をダメにするクッションみたいな。さつきちゃんに。


 癒されています。えへへへ!


 さつきちゃんみたいな……抱き枕が欲しいです!


 そうだ! 今度、おとまり会をして。一緒に寝れば――


 むー! 完全に疲れているせいだ!


 思考が御門みかど君になってる!


 あいつが全部! 悪いんだ! ぷんぷん!


 私の感情が。ジェットコースターになったせいで。


 咲さんの存在を。


 すっかり忘れてしまった。


 ちらりと様子を確認すると。


「……ま、祀理まつりさん?……その」


 どう対応して良いか。


 おろおろしていました。


 か、可憐かれんです!


 常にクールビューティーをくずさない。


 あの咲さんらしからぬ態度。


「咲さん成分も補給するもん! 頭なでなでして下さい!」

「私を補給するの!? わ、分かったわ」


 えーい、ままよ! 


 この表現を使用するとは!? 日常生活で滅多に聞かないよ!?


 ともかく。どさくさにまぎれて。


 咲さんにいたわってもらうもん!


「……また、あいつに。理不尽りふじんあつかわれたの? よしよし」

「私の事を好きとか言ってるくせに!……ほんと、ばか」


 優しく頭をでられながら。


 小憎こにくらしい。


 御門みかど君に対しての。愚痴ぐちを聞いてもらう。


 姉妹しまいが存在したら。


 こんな風に。


 過ごせていたのかな?


 それにしてもです!


 巫女みこ姿の咲さんも。


 相変わらずの美貌びぼう


 何でもこなせちゃいますね。うらやましいなあ。


『美人過ぎるのも、一種の呪いだぜ? 会うたびに、そう言った感情をいだかせるし。当の本人がいを――』


 うっさい! 御門みかど君! 


 昔の雑談を思い出さるとは。


 私の頭の中に住み着いてるのかな?


小宮こみやさん、その話し方は? てっきり、あのヒッキーさん特有とくゆう話術わじゅつかと。貴方あなた真似まねでしたのね」

「うげぁぼぉふ!?」


 予期せぬ精神的ボディーブローを。


 叩き込まれてしまった。 

 

署長しょちょうさん! 余計な指摘してきひかえて!」

「わ、わたくし、何か失礼な事を!? どうしましょう!?」


 図星ずぼしです。


 高校時代の私は。その、幼い内気な感じで。


 それが御門みかど君の大好物? らしいから。


 口調まで。真似まねてしまうとの事だ。


 自分の幼児性を。隠す為の方便ほうべんだと思う!


 あの頃の私とは。違うもん!……ストレスが溜まると。この有り様だけど。


「そうだ! 署長しょちょうさん!」

「……そんな事で。よろしいのですか? 準備して来ますわー!」


 咲さんが。こそこそと耳打みみうちをして。


 さつきちゃんは急いで。どこかに行ってしまった。


 咲さんと二人きり。


 手持てもちぶさたなので!

 

 とりあえず、咲さんに。


 むぎゅーしちゃいます! えへへへ!



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