第79話 想定外の――だろう。
5月になった。
明日から大型連休。
ゴールデンウィークが始まる。
私は、あの事件現場となった公園のベンチに座り。
ぼんやりと
「おう!
「赤城警部……ええ。何となく」
または。事件が終わった事を確認しようと。
区切りをつける為に。
この場に居るのかもしれない。
「……あれから
「……高熱に
私の
それなりに
しかしながら。
お見舞いにも。謝罪にも。
彼の所に。足が向かなかったのだ。
「奴の世話はポニテの
ちゃんと
私は……性格が
まだ、事件の精神的疲労が残っているらしい。
「
「……誰よりも優しいから。
実に、彼女らしいと思う。
ただ、あの
そこだけが。
理解不能なのだ。
きっと二人しか知らない関係性が。
「そう言えば。
「母親の
こちらは私がDVの弁護を引き受けた関係で。
緊張してしまった。
「……
「……
ただの引きこもりでニート。
超能力者でも霊能力者でも無いのだ。
「まあな。あの病室での出来事も。
「ほら! やっぱり
これ
その様子を見て。警部がニヤッと笑った。
「
「はいはい。
否定も
警部には悪いけど。聞き流しましょう。
「この公園で
「……そう。
学校での宿題であろうか?
それが、
悲しいわね。
いえ、父親を
少しは
「例の父親は……こってり、しごいてやったからな! がははは!」
「……和解も謝罪も
実際に犯罪行為を目撃した事も。
決して、見逃した訳では無いのだ……誰かさん達と一緒にされては困る。
「そもそも、どうして
「あちら側に行ってねーから? 引き返すには最善な手段?
逮捕しない方が。
反省としての効果が大きいと?
確かに、捕まっても
一律に逮捕すれば。
全員が反省するとは。限らないわね。
……今回は、例外中の例外って事でしょ! 法治国家なのだから!
「だが……最大の
急に仕事モードの警部になった。
私が座るベンチに。ようやく腰を下ろした。
まるで。
こちらが本題と言わんばかりに。
「
「……え?」
意図的に犯人を殺したって事?
「な、ないない! か、考え過ぎよ! 現に入院中で、死にぞこないでしょ!?」
取り乱して。
「変だと思わねーか?
「そ、それだけ時間の余裕が無かったのよ!」
私の居場所を常にチェックして。
明らかに
そして、
「そもそもだ。犯人と
「誰にだって想定外があるのよ!
私は。心のどこかで。
その可能性に。
気づいていたのだ。
「……どちらにせよ。足を
犯人が死亡してしまった以上。
死人に口なし。
例え、
罪には
客観的に正当防衛も成立するだろう。
「……参考までに聞くけど。だとしたら、
まさか、殺人鬼を自分の手で殺したいの?」
「おいおい!?
今度は警部が。
「
おかしいわね? 私と
あきらかに悪者扱いを受けるのは。彼の方なのに。
「……あのまま逮捕されていたら。社会に戻って来る可能性もある事は——」
「……ええ。もちろん。死刑も争点になるでしょうけど。実際、判決が確定するまでは何とも言えないわ」
犯人の生育環境。被害者の人数。犯行の
死刑判決を出すにも。
様々な事を
今回の犯人に
確実に死刑になるか。
「となるとだ。また再犯の可能性が高いよなあ?……そう言う事だな」
「……
もし、再犯となれば。今回の事件より。
もっと凶悪で。被害者の数も増えるかもしれない。
そうなれば。
最悪だろう。
「もっと簡単に言えば。
「私?」
意味不明だ。
それに、そんな理由で犯人を殺したりはしないだろう。
「犯人に真っ先に狙われるのは
うんうんと。勝手にうなずいている。
私を守る為に?
結果としては——そう言えるかもしれない。
犯人がいつ
全部。
「さてと。そろそろ仕事に戻るか。さつきに文句を言われるからな」
「そう。じゃあ、また」
簡単に別れのあいさつを
警部は公園から立ち去って行く。
「……はあ。全然、事件に区切りがつかないわね」
ああ。なるほど。
こう言う状態を。
人は『
「……事件に
もし、赤城警部の
とりとめもなく。
意味も無く。
私。
間違い無く。
想定外の――だろう。
想定外の化物 了
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