第69話 あはん、まつりちゃんからご褒美なの!?

厄介払やっかいばらい、完了ですわー! お鼻が痛いよお!?」


 あのヒステリック弁護士め! 


 今からでも、浅間あさま君の担当をはずそうかな!


 パンスト姿で攻め立てる異常者だもん! 


 紫パンツのレスラーめ!


「ユッキー? あんな弁護士で大丈夫? チェンジするかい?」

「いえ、多華たか先生で。私も気兼きがねなく話せそうです。皆さんのやり取りを見て」


 ふははは! 俺が奴の仕事をあっせんしているのだよ! 


 感謝しやがれ! たかさき!


「今の内に確認しておこう。この自転車は、うらら君ので間違いない?」


 昨日の現場画像をタブレット端末で見せる。


 本来は、赤城のおっさんの仕事だけど。


 ユッキーがおびえない為の配慮さ。


 体格も大きい熊みたいだからね。


 元旦那を想起そうきしかねないし。


「……はい。こんな時でも、ジンクスを気にするなんて。あの子らしいです」

「こうしたら、運が良いとか? 悪いとかの?」


 おや? この画像から判別出来るの? 


 流石さすが、母親だね。


「自転車が倒れていないでしょ? それに、施錠せじょうまで」

「そう言えば、おっさんも言ってたな」


 被害者の自転車が倒されていない。


 犯人が急襲きゅうしゅうしたなら、不自然だ。との事。


 うらら君が、自転車からりた? 


 自分から? 男性恐怖症なのに?


 彼女が脅威と感じない人物像か。範囲はしぼられそうだな。


 それでも、面倒だけど。時間と手間も想像したくねー。


「娘は体操選手ですから。物が倒れるとか、バランスをくずす事を嫌がってました。縁起えんぎが悪いって。演技えんぎだけに」

「スポーツ選手のメンタルトレーニング、ルーティーンって奴ね」


 最初の一歩は、右足から。勝負飯しょうぶめしとか。


 日頃からのおまじない等。


 ぐへへへ! まつりちゃんの勝負下着とか! 


 いやん! 純白じゅんぱく


「……悪寒おかんがする。御門みかど君、変な事を妄想してないよね?」


 たかさき君の接待準備をしつつ。ジト目で質問しないでよ。


「気にするな!『たかさき君の風呂上りにワイン作戦!』失敗するなよ!」


 何故なぜか、ぷんぷん! しているたかさき君。おかしいなあ?


 これ以上に。機嫌を損ねるのもウザイから。


 ワインでもあたえとけ。みたいな?


 費用は、さつき君が払うし。


 まつりちゃんが勝手に準備したと言い訳すれば。


 喜んでエサに飛びつくだろう。完璧なご機嫌取り!


 たかさき君にも見習って欲しい処世術しょせいじゅつだぜ。


「あの、他に質問は?」

「うーん。質問と言うか。今日の騒動で週刊誌のネタになっちゃうよね。ユッキー有名人だもん」


 『元体操女子。離婚の理由が元旦那のDV!?』とか。見出みだしでさ。


「知り合いのポニーテール。こほん、身内に週刊誌の記者が居てね。どうせ記事に出されるなら、正確な記事を書いてもらった方が――」

「……分かりました。何から何まで、お世話になります」


 ふむ。物分かりが良すぎて、正直、愉悦ゆえつ


 お世話しちゃうもん、ユッキー! むしろ、されたい! 


 メイドさんのコスプレしてもらおうかな?


 ハーフエルフメイドのリナさんのイメージだもん! えへへへ!


御門みかど君、悪い虫が鼻に!」

「痛いよお!? ふあんなのさ!? り手しないでよお!?」


 両国国技館を目指してるの!? 


 ちゃんこなべでも食ってろよ!?


「……変態、ばか、すけべ!」

「あはん、まつりちゃんからご褒美ほうびなの!? もっと、ののしってえ!」

 

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