第68話 じょ、女王様!? あ、あぶのーまるかな!?

「クソニート! 事件を増やして楽しい? 何とか言ったらどうなのよ!」

「もぐもぐ。赤城のおっさんの差し入れにしては、まともだね」


 悠々自適ゆうゆうじてきにお弁当を食べ進める。


 激怒げきどしている咲さんを意にもかいさない。


 私がゆったり湯につかっていた頃。


 ひと悶着もんちゃく


 いや、騒動を引き起こしたらしい。


「あんたの身勝手な行為で! どれだけ迷惑してると思ってるの!」

「まつりちゃん? 好きなだけ食べるんだよ? いやん💓 そんなに体力を回復させて、どうするの?」


 御門みかど君の通常運転と言うべきか。


 平然と受け流す精神力が。


 うらやましい。


「……あの、多華たか先生。私がまねいた結果ですから」


 ゆきさんが仲裁ちゅうさいに。


 いつもなら、私の役目でもあるけど。


 今は、この『肉まみれ弁当』を食べる時間なのだ!


 食事の時こそ、何も考えたく無い!


 ただ、なりゆきを注視するだけだもん!


 だんさん、ありがとう! えへへへ!


「いいえ! 浅間さん! 全部、こいつが悪いから! 病院内にマスコミを引き入れたのだって!」

「病院内で暴れる奴が馬鹿だろ? マスコミが外に居るなら、当然の結果じゃないか?」


 ゆきさんの元旦那さん。


 カメラマンやレポーターにも、矛先ほこさきを。


 カメラを壊したり、暴行したり。たまらず、だんさんが逮捕したとの事。


「社会的に抹殺まっさつ、お疲れちゃん! ね、ユッキー!」


 同意を求めるな! 確かに、悪行あくぎょうが全国に放送されたけれど。


 今頃、実名報道されたり。


 職場の情報も出ているのだろう。


「……はい、自業自得じごうじとくです。……ふふふふ。ちょっと、すっきりしました」


 微笑びしょうするゆきさん。


 その様子に、少しだけ背筋せすじがひんやりした。


 これまでの仕打しうちに対する感情。負のパワーを察知したからかな?


「わお! 未亡人みぼうじんで小悪魔キャラなの!? 末恐すえおそろしい!?」


 君の思考パターンがおそろしいよ! 


 またラノベのキャラクターに似ているとか言い出すんだから!


「ああもう! しっかり悪影響が出ているわ! 私の依頼人とむやみに接触しない!」


 ゆきさんに悪知恵わるぢえ伝授でんじゅするやからかな?   


 確かに、接触禁止を命令したくなるよね。


 それに、御門みかど君のセクハラ行為も要注意だもん!


「たかさき君、ここは病室だぜ? おしずかに! これじゃあ、DV野郎と変わらないよ?……かれて疲れてるなら、風呂入って寝たら?」


 咲さんに率直な意見を述べるのも。彼ぐらいなものだね。


 む? ある意味、特別な関係? 喧嘩けんかする程?


「……はあ。分かったわよ。休めば良いんでしょ?」

「素直でつまらん奴だよ。これだから、性格が美人じゃない——」


 君って奴は!? 咲さんをたしなめるのか、あおるのか。どっちなの!?


「ふんぎゃあ!? 視界が真っ黒だよ!?」

「あら? ごめんなさい。スカートを脱ぎ捨てるなんて。うっかり」


 脱ぐというよりも。御門みかど君の顔面に叩きつけてますよ!? 


「鼻の傷が悪化してない? ほらほら!」

「痛いよおお!? こぶしでグリグリしないでえ!?」


 ゆきさんの元旦那さんに殴られた箇所かしょを。


 グーパンチで攻め立てる。


 咲さん、スカート脱いじゃってるから。……そ、その、パンスト姿で。


 じょ、女王様!? あ、あぶのーまるかな!?


「まつりひゃん!? 弁当食いながら、むっつりしてないでよお!?」

「咲さん、やっちゃって下さい! お願いします!」


 彼が心底、嫌がる行為を出来るのも。


 咲さんぐらいなものだね。


 


 


 

 




 


 

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