第62話 じんましんの症状は見られなかった。 

うらら君を発見した時に、は出ていたかい?』


 浅間 ゆきさんとの世間話は。


 この問いを最後に終了した。


 就寝時間がせまって来たのが理由ですけど。


 浅間さんも、今日は大変な一日でしたから。


 あまり、長居をさせては心苦しかったので。


 配慮は大事ですわ! おーほほほ! 


 流石、わたくし! 無礼なニートとは違いますわー!

 

 それにしても。


 よもや、この質問で頭を悩ませるとは。


 ぐぬぬぬですわ! 


 完全に、眠気が吹っ飛んでしまいましたわ!


 わたくしの返答は『じんましんの症状は見られなかった』


 これが事実ですわ。


 更に、手術をなさったドクターにも確認を取りましたし。


『犯人と遭遇そうぐうしたのに、じんましんが出なかったのかい? それとも、犯人は男性じゃないのかな?』


 ほら、また気持ち悪いだよね(※26,27話参照)との事。


 考察だからと言って。


 飛躍ひやくし過ぎですわ!


 男性だと認識する前に、被害に。


 彼女の不意を突いたのですわ!


 または、変装でしょうか? 男性かどうか判別不能だった? 同性に見えたとか?


 男性恐怖症でしたら、日頃から人の気配には敏感びんかんですわね。


 そんな子に対して。どう不意打ちを? 


 犯人像が全く分からない。


 この事も進捗しんちょく無しですわ。懸賞金で情報を集めようとしましたが。


 幽霊じゃあるまいし。犯人の実体が不明なのも、おかしいですわ!


「まつりちゃんのシャワーに付き合うのは、大変だぜ。ぐふふふ!」

「バスルームの確認しただけですわよね!? き、気色悪い! 通報しますわよ!」


 小宮こみやさんと一緒にバスルームを確認してきたらしい。


 そろそろ、シャワーをびたいと言っていましたからね。


「えへへへ! まつりちゃん成分を堪能たんのうしちゃうもん!」

 

 気づけば、彼女が横たわっていたベッドに侵入していた。


「そこは小宮こみやさんの場所ですわ!」


 縦横無尽じゅうおうむじんにごろごろと寝転ねころんで。


 子供がはしゃいでいるみたいですわ!


 ……し、深呼吸をしていますの!? 酸素不足!? 山頂ではありませんのに!?


「ふう。まつりちゃんの痕跡こんせきに興奮してしまった。てへっ!」

「ひぃぃぃ!? おぞましい性癖せいへき、変態野郎ですわ!?」


 多華たか弁護士に報告しないと。


 手に負えないと判断したら、しかるべき処置しょち? をしてくれるらしい。


 赤城あかぎ警部のアドバイスですわ。


 やはり、わたくしの部下は優秀!


「……それで? 何か判明しましたの?」


 わたくしとしては、不真面目な貴方とは会話をしたくありません。


 あくまで、事件解明に役立つ人物として。


 貴方に用がありますの!


「スケスケのガラス張り」

「はい? 呪文でしょうか?」


 外国語でしょうか? それとも、故事成語こじせいご


「シャワー室が、ガラス張りでね。雰囲気が妖艶ようえんだったからさ。まつりちゃんが、もじもじしちゃって💓 きゃわわ」

「誰がシャワー室の感想を言えと!? 新婚のショールーム見学ですの!?」


 小宮こみやさん。本当に、この男との付き合いをしない方が。


 ストーカーよりも凶悪な存在ですわ。


 妄想癖もはなはだだしい。


「でも、くもりガラスやらマジックミラーに設定出来るらしい。設置されたボタンで切り替えが――」

「結構ですわ! 事件についての情報を!」


 たまらず本題について切り出す。


 ストレスでおかしくなりそうですわ!


「犯人と被害者の認識の差は、マジックミラーと変わらないさ。ま、さつき君のご活躍でそれなりに情報をたし。お疲れちゃんですわー!」


 犯人からは認識出来て。被害者からは認識出来ない?


 おっしゃる通り。犯人像がとらえられない事の比喩ひゆでしょうけど。


特筆とくひつすべき情報なんて、ありましたの?」

「ふわー。睡魔すいまですいましぇん。君もこれからかれて疲れるだろうから」


 もごもごダジャレ? を口にしながら。


 小宮こみやさんのベッドで、入眠しようとしている。


「疲れる? 笑止ですわー! このわたくしが――体が熱くて、痛い!?」

「結構な無茶をやったからね。遅れて反応しているのさ。さて、医者でも呼んで処置でもしてもらうか」


 見事に的中てきちゅうしてしまいました。


 わたくしも調子に乗り過ぎた!?


 


 


 



 



 


 


 

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