想定外の化物 その陸
第60話 やはり、わたくしには――この方の思惑が全く理解できません。
「娘さん――
「……そうだと思います」
被害者の母親。
自身も学生時代から体操をしていたらしい。
現在、市内の体操教室に
「他に一緒に活動している友人等は? 一人で帰宅していたとの事ですが?」
もちろん、複数人で帰宅したとしても。
犯罪に巻き込まれる場合もありますけど。
一人よりは、格段に防犯効果は高いですから。
「娘の
「なるほど。レベルが違い過ぎて、他の友人よりも長く個人練習をやっていたんだね」
また、貴方ですの!?
ま、まあ、解説してくださるなら、よろしいですわ!
「ええ。
「ほうほう。心優しい娘さんで」
完全に世間話ですわ!? こんな感じでよろしいのでしょうか!?
「もちろん、練習が遅くなる時は、私が車で迎えに行く事になっていました。ただ、最近は物騒な事件が報道されていましたから。これでも、普段よりは早い時間に練習を切り上げた方です」
それなのに、犯罪に巻き込まれてしまった。無念ですわ。
「
「何で貴方が知っていますの?
今までの被害者は、小学生。
今回は、中学生。
小学生も同じ敷地に存在していたとなると。
標的を変える理由は?
いえ、考えても分かりませんわね。
捜査あるのみですわ!
「まあ、
「ええ。一般の生徒さんも在籍してますが。特殊な事情の生徒に対して、何かとサポート体制が整っていまして」
特殊な事情? 浅間さんの娘さんも? 何でしょうか?
いえ、気軽に聞いてよろしいのでしょうか?
き、聞きにくいですわ。
「
「フレンドリー過ぎますわよ!? 同級生ですの!?」
「
人がためらう事を平気でしますわね。
無神経と言っても過言ではありませんわ!
「当然の疑問だと思います。……むしろ、率直に質問して頂いた方が」
あれやこれやと
苦痛らしいですわね。
またもや、この男に会話の主導権を握られていますわ。ぐぬぬぬ。
「……娘の
「男性が恐怖の対象ですの?」
「……ふーん。男性が。そうなんだ」
いまいち、要領を得ないですわ。
専門的な知識を有している訳でもありませんし。
対して、謎のプロファイラー? は無感情でつぶやく始末。
興味は別の所にありますの?
「具体的な症状を教えてもらえるかい?
更なる追加の質問に。
完全に失礼な質問ですわ!
やはり、わたくしには――この方の思惑が全く理解できません。
事件と関係ある事なのでしょうか?
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