第50話 ……あいつの予想は、当たり過ぎるからな。
「それでは、今日の捜査会議は解散ですわー! 帰りがけに、ちょっとしたお菓子の袋を差し上げますので! 休憩時間に召し上がって下さいませ!」
「姫署長からの配給品だ! かたじけない!」
「息子のお
気に
ここまで、捜査が進展しねーとは。
初動捜査に間違い?
はん! 馬鹿言うな!
油断も予断もしてねーのによ!
「赤城警部?……貧乏ゆすりで地震を起こすのは、お止しなさい!」
「ああん?……何だ、さつきか。部下だったら、
不機嫌な俺に話しかけてくる奴は。
お嬢様ぐらいか。
度胸があるんだか。
よく分かんねーな。
「警部がその様な態度では、いけません!……地道に捜査を続けるしか、ありませんもの!」
「……駄菓子を配ってる上司に注意を受けるとはな」
妙に庶民的になりやがって。
子供達の相手をした
「駄菓子を馬鹿にしないで下さいませ! ぽこちゃん! ぽこちゃん!」
「小学生の影響を受けすぎだ!? 変な技名で殴るな!?」
どうやら、ぽこぽこ殴る事を意味しているらしい。
あえて、そっとしておこう。
ツッコミを入れて。
余計におかしくなるのは。
避けたいからな。
「それはそうと。お前さんの特集記事を読んだぜ。すっかり、世間の人気者だな」
「あ、あれは、週刊誌の記事内容をわたくしがコントロールした結果ですわ!?」
どうやら、さつきが手をまわして週刊誌を黙らせたらしい。
金を払って記事を書かせるとは。
しかも、自身をネタにするとは。
恐れ入るぜ。
「ただし、時間稼ぎ程度ですから。事件が悪化すれば、流石に記者も書かざるを得ませんもの」
「さっさと犯人を捕まえねえと。報道が
被害者家族のプライバシーとか。
静かにしておく時期なのによ。
興味本位で騒がれたら。
いたたまれねー。
それから、捜査情報の
犯人しか知りえねー事とか。
世間に知られたら厄介だ。
「ところが、どすこい! あの
「確か、事件の考察記事だろ? あの程度なら、問題ねーよ」
張り手でも、ぶちかますのかよ?
「お! お! あ! り! ですわー! しかも、あのヒッキーさんの裏切り行為!」
「
厄介な記者自身から。
下手をすると、大やけどするな。
記者の嬢ちゃん。
「ともかく、捜査に集中だ。小学校の見回りは?」
「市内の小学校は、厳重過ぎるぐらいの警戒度ですわ。市民のボランティア等、人目に
となると、小学生を狙うのは難しいだろうな。
だが――
「何をそんなに不安視していますの? ニートさんの悲観論が
「……あいつの予想は、当たり過ぎるからな」
確か、何かに引っかかっていたな。
次の標的は、小学生とは限らないだったか?
週刊誌には。そんな事が書かれていたな。
「……どうにも、
現状では、小学校付近の警戒だけ。
それを広げるとなると。
人員が足りねえし。
「
「……悪いな。パトカーで巡回するだけで十分だぞ?」
さつきの顔が。
あからさまにドヤ顔になった。
そんで、お決まりのセリフを言うんだろ?
「わたくし、貴方の上司ですから! それ! あっぱれ!
「いきなり、
俺とした事が。
びっくりしちまったじゃねーか。
役者かよ!?
「そろそろ犯行時刻の夕方か。……そうだな。さつきには、
「林間学校にも使われる、山奥の? 市内から少々離れていますわよ?」
今度は、ジト目で。
不満そうな表情になりやがって。
「小学校は、十分に監視体制が整ってるしな。あくまで、保険だ。手薄な所を上司様がカバーしてくれるんだ。流石、さつきだな」
何が流石なのかは、知らんが。
こうでも言っておかねーと。
「おーほほほ! 部下の頼みですもの! 無下には出来ませんわー!」
ちょろすぎて、不安になるぜ。
悪い奴ではねーけどな。
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