第45話 御門は、アニメキャラにしか興味無いでしょ?

 あっという間に就寝時間。


 御門みかどの部屋に布団をいて。横になる。


 手狭てぜまな部屋ながらも。


 何とか三人分の寝床は確保出来たわね。


「今日も、こんな形で巻き込んでしまって。ごめんなさいね。祀理まつりさん」

「そうですよ! 咲さん! 御門みかど君に対する嫌がらせは程々ほどほどに」

 

 流石さすが祀理まつりさんも。


 厳重注意をするわよね。


 私達だけなら。


 単にパジャマパーティーで済まされるけれど。


 いや、そんな経験した事無いわね。生憎あいにくと。


 女子会のたぐいは。


「咲さんは、もう少し自分のなまめかしさに自覚を持って下さい!」

「な、なまめかしい!?」


 彼女らしい表現だけれど。


 思わず、たじろいでしまう。


「そうですよ! 咲さんの美貌びぼうで男性はどりこになっちゃいますから。御門みかど君なんか、隙を見つけて襲うかもしれませんよ!」


 ものすごい剣幕けんまくで指摘をされてしまった。


 この様に、嫌味無くアドバイスをしてくれる。


 祀理まつりさんは数少ない同性の友人だ。


 御門みかどが言うには『たかさき君は、美人で仕事が出来るからね。同性には嫌悪けんおされるのだろう。男性ばかり寄って来て、ぼっちおつwww』


 全く、失礼な物言ものいい。


 ……その通りだから、どう反論したものか。


 言霊ことだま使いだが。なんだか知らないけど! 


 名誉棄損めいよきそんで訴える準備をしておこうかしら?


「大丈夫よ? 御門みかどは、アニメキャラにしか興味無いでしょ?」

「いやいや!? リアルの女性にも、そ、それなりに、あると思います!?」


 飛び起きそうな勢いの否定。


 語気も、もじもじと可愛らしい。


 とても計算された態度では無い。


 言い換えれば、あざとくない。自然体の魅力。


 祀理まつりさんは、私の事を理想の女性だと思っているけど。


 私こそ。


 彼女に対してあこがれている面も多々ある。


「ああ! 祀理まつりさんには興味があるみたいね。御門みかどは」

「納得しないで!? 私よりも咲さんに矛先ほこさきを向けたいよ!?」


 正直な所。御門みかどとの関係性は。


 祀理まつりさんと違って良好では無いし。


 常にののしり合ってる仲。


 ちょっとは、事件の考察が出来るから。参考程度にしているぐらいね。


 プライベートでは。


 絶対に、何があろうと。


 関わりたくない相手。


 こんな認識だ。


「私なんか、あいつの好みの女性では無いみたいよ? それよりも、祀理まつりさんこそ狙われてると思うわ」

「あれ!? 発言がブーメランのごとく戻って来ちゃった!?」


 思いもよらず困惑しているけれど。


 多分、自覚しているのだろう。


「さっきだって、祀理まつりさんが入浴中ずっと、そわそわしていたし」

「さ、咲さんが見張ってたからだよ!? 彼は美女の視線に弱いから!?」


 思春期みたいな御門みかどに。


 格好のえさを与えない様に。


 彼女の入浴中は。


 ずっとにらみをかせていたのは事実。


「『祀理まつりは抜けているから。落とし物してるかもしれない! 下着とか!』なんて馬鹿な事を言いながら、うろちょろしていたわ」

「あ、あいつ、余計な発言をして。……何度も落としたりしないもん。ばか」


 ごにょごにょとつぶやきながら。


 文句を言っている。


 後半部分は、聞き取れなかった。


 いくら祀理まつりさんでも。


 そこまでおっちょこちょいじゃないわよ。


 それも、御門みかどの目の前で下着を落とす展開って。


 どんなシチュエーションだろうか? 


 あり得ないわね。ええ。


「ふうー。珍しく、長湯しちゃった💓 うん? ちょっと! 男子! まつりちゃんをイジメないでよ! 職員室に言いに行くからね!」


 気心きごころの知れた彼女との会話は。


 終了らしい。


 お騒がせ野郎が、再び舞い戻って来たわね。


 


 



 


 


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