第40話 魚が欲しいなら、お金を払って買えば良いじゃない?

「一応、報告しておきます。明日から、見回り活動に参加するからね。夕方頃、学校の周辺に」


 祀理まつりさんが。


 連絡事項を御門みかどに伝えている。


ませーん。たかさき君ののサイズは、てまーす」


 完全にへそをげてしまったわね。


 少し、やり過ぎたかしら?


 前言撤回。


 もっと、やれって事かしら?


「もう! 人のお話は、と聞くの!」

「ボランティア活動、お疲れですわー!……全く効果は無いとは、言わないけど」


 見回り活動に不満でもあるのかしら? 


 いつも素直に物事をとらえない人ね。


「たかさき君? 質問があれば、どうぞ? 君の不満顔も分かりやすいね」

「地域の人々が子供を守ろうとして、努力しているのに。貴方こそ、何が不満なのかしら?」


 あまのじゃく野郎!


 人の善意の行動を軽視して。楽しいのかしら!


「君は釣り人さ。どうしても魚を釣り上げたい。でも、今いる場所では釣れない。さて、どうする?」


 脈絡みゃくらくも無く。


 例え話をし始めた。


 釣り?


「あのねえ。魚が欲しいなら、お金を払って買えば良いじゃない?」

だよ。自覚してるかな? ぷぷぷぷ」

「えーと!? わ、私だったら、場所を移動するかな!? 人によっては、同じ場所でねばるかもしれないけど」


 祀理まつりさんが気をかせて。答えてくれた。


 彼女が居なければ。


 御門みかどとの会話も困難ね。


「流石、いとしのまつりちゃん💓 分かったかな? たかさき君?」

「全然、分からないわよ!……祀理まつりさんが変態に好かれてるのは、理解したわ」

「私に対する評判が!? 素直に説明してよ!」


 ぽこぽこ殴りながら。


 抗議をしている祀理まつりさん。


 御門みかどを非難するつもりが。……同級生だからと言ってもね。不憫ふびんだわ。


「ぽこちゃんしないで!? クリンチしちゃう!」


 クリンチとは。


 ボクシング等で相手に抱きつき。


 殴られない様にする戦術だ。


「きゃああ!? 御門みかど君!? ハグしないで!?」

「ふははは! お望み通りの肉弾戦だ!……ぐえええ!? ぐるじい!?」

「首筋にストレッチするわよ! セクハラ野郎!」


 御門みかどの首を背後から腕で締め上げる。


 祀理まつりさんから引き離す事に成功した。


「じょ、女性に気軽に抱きつくのは禁止だからね! このやろー!?」

「暴力へんたい!? ぎぶ、ギブアップだから!? 説明するからあ!?」






「犯行するにあたって、人の目があるのは厄介なんだぜ? どこもかしこも、人が居る状態で、また犯行すると思うかい? 俺だったら、場所を移動するよ。厳重じゃない場所にね」


 やっと真面目に解説を始めたわね。


 私だって、手荒な真似はしたくないのよ?


「でも、人目があろうとなかろうと関係無いでしょ? 現に、目撃者も居ないみたいだから?」

「そう何度も同じ手口は通用しないんだぜ? 何事もね。いつかは、ネタがバレるのさ」


 犯人の目撃証言が出ない事に……トリックがあるって事?


「それに、さつき君が懸賞金をかけたからね。そこら中で撮影しているやからも居るし」

「私は懸賞金の方が懐疑的かいぎてきだけど」


 情報が多ければ。


 不正確な情報も増加するだろう。


 それを精査せいさする事に。


 時間を浪費してしまうかも。


「懸賞金効果は、情報を集めるだけじゃないんだよね。たかさき君、他にどんな効果があるか答えられるかい?」


 またもや、御門みかどからクイズが出題された。


 懸賞金の効果?




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