第41話 御門を困らせるには、うってつけ。

「懸賞金の効果? 情報提供とメディアに宣伝してもらう以外にあるの?」

「それは、第三者に向けての効果だよ。事件と無関係な人を巻き込んで、解決につなげる。メディアは、お仕事だけどね」


 となると。事件に関係している――犯人に対しての効果?


「犯人に対しては、何らかのプレッシャーを与えるのかしら?」

「正解。行動の変容へんようって奴だね。今まで犯人のやりたい放題。警察は後手ごてに対応してた訳だ」


 赤城警部と姫署長が聞いたら。


 私以上に憤慨ふんがいするわよ。


 ただ、反論出来ない事実が悔しいわね。


「ところがだ。さつき君が懸賞金と言う先手の策を打ち出した。今度は、犯人側が後手に回る番なのさ。犯行を続けるにも慎重になるか。または、しばらく途切れるか。どちらにせよ、違った動きが見られるかもね」

「攻守逆転かな? 攻めるのが得意でも、守りが得意とは限らないもんね。それで、犯人のミスを誘う作戦なの? 良く分からないけど」


 首をかしげながら。


 祀理まつりさんが話をまとめた。


 なるほど。犯行を容易にさせない環境作りね。


 犯人に対しの牽制球けんせいきゅう


「やっぱり……僕は、まつりちゃん派💓 謙遜けんそんしつつも、あながち間違いじゃないよ」

「えへへへ……べ、別に、御門みかど君の派閥はばつ表明に喜んでる訳じゃないからね!? 勘違いするなよ!?」


 祀理まつりさんに失礼だと思うけれども。


 名コンビだと思う。


「ただし。犯人を刺激する事にもなるからね。性格によって行動パターンが――いや、蛇足だそくだな。まつりちゃん、たかさき君、見回りボランティアお疲れちゃん!」


 長々と説明するのを切り上げたわね。


 都合が悪い解説でもあったのかしら?


「私もボランティア活動する前提ぜんてい――」

「咲さん! 明日から一緒に見回り活動してくれますか? 頼もしい咲さんが一緒なら、安心です!」


 真剣な表情で。お願いされた。


 断る理由も。特に無いわね。


「ええ。祀理まつりさんのお願いだもん。無下むげには出来ないわ」

「ありがとうございます! 咲さん!」


 屈託くったくの無い笑顔。


 彼女の人柄が反映されていると思う。


「ぐへへへ! やっと、地に足がついた活動じゃないか、たかさき君。事件に首を突っ込むより、まともだね💓 応援しちゃうぞ💓」


 ゲスな笑い方。性根しょうねくさってる。


 祀理まつりさんとは。


 雲泥うんでいの差だ。


「なら、英気えいきやしなう為に……宿泊しゅくはく決定ね!」

「はあ!? ふざけんな!? 帰れよ! 祀理まつりちゃんも、この悪女をどうにかしてくれ!」

「咲さん!? 御門みかど君と一晩を過ごすのは危険ですよ!? 考え直してくれませんか?」


 必死の説得をされたけれども。


 御門みかどを困らせるには、うってつけ。


 日頃から妖怪だの怪獣だの。


 セクハラ発言も受けているのだ。


 少しは、反撃しないと。


 調子に乗らせるだけだもの。


「それじゃあ、祀理まつりさんも一緒にまる? 夕食は出前でまえのお寿司でも……」

「絶対、まります! お寿司、お寿司💓 やっほー💓」

「卑怯だ!? 祀理まつりを食べ物で買収しやがった!?」


 目論見もくろみ通り。


 御門みかどが青ざめた。


 苦々にがにがしい表情でムスッとしている。


「あら? ご機嫌ななめ? 貴方の好きなラブコメ展開じゃない?」

「性格ブス! こじらせ弁護士! 君は対象外だよ!」

「こら! 御門みかど君!……間接的に対象になってるのかな!? ねえ!?」


 



 


 


 

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