第35話 そ、そんな表情してないから! 最低!

「横やりは感心しないぜっ! 俺っちは、そこのきゃわいー彼女と話をしてるだけじゃん!」

「我は槍使やりつかいとしては最弱。この身が滅んでも、第二、第三の槍使やりつかいが立ちはだかるであろう!」


 御門みかど君の背後に隠れながら。


 チャラとのやり取りを見守る。


 君はどこかの魔王!? 四天王してんのうなのかな!? 


 中二病全開だよ!?


 会話が成立していない。


 ますます、混沌こんとんとしてきた雰囲気ふんいきです。


「頼むからマジ! 空気読め――」

「ごにょ、ごにょ、ごにょ」


 御門みかど君がチャラに接近して。耳打ちをした?


「マジパネェ! あざーす! んじゃ、お疲れーっす!」

「おーほほほ! 愉悦ゆえつ愉悦ゆえつ、ご満悦まんえつですわー! そして、お疲れちゃん!」


 はい!? 訳が分からないよ!? 


 御門みかど君は。アニメのクリスティーナの口癖を言ってるし!?


 チャラは目的を果たしたとばかりに。退散しちゃった!?


「何だい? その、あへえ💓 な顔は?」

「そ、そんな表情してないから! 最低!」


 おもむろに不届き者の身体をぺしぺし叩く。


 呆気あっけに取らた表情をしてたかもだけど!?


「地味に痛いから止めてよお!? まつりちゃんをトラブルから救ったのに!?」

「うぐっ!? ひ、卑怯ひきょうかな!? その事を持ち出すなんて!?」


 弱みにつけまれています。許すまじ!


 ……それとも、気をつかわせない様にわざと話題を振った?


 私に謝辞しゃじべさせない為に? 


 それだと、分かりにくい気の回し方だね。


 道化どうけを演じているのかな?


 御門みかど君の取り扱い説明書なるものが欲しいかも。


「……で? 君は何を言ったのかな? チャラい人に?」

「言動は確かにチャラいけど。あれでも? 君には不真面目に見えたかもしれないが」


 おかしな事を言うね。あれのどこが真面目なのさ?


 しかも、仕事中だったの? あの人。


「分かった! ナンパ師って奴だね! モテたい人に講義したり、教材を売ったりする!」

「あははは! なるほど! 着眼点ちゃくがんてんとしては、良いかもね。でも、残念。違います」


 タメだ。皆目見当かいもくけんとうもつかないよ?


 私の中では、ただの迷惑なチャラだからね。


 考察の余地が無い。


「さてと、そろそろかな。電話しないと」

「うん? 見た事あるスマホだね?……わ、私のスマホをまた!?」


 またもや、私のスマホをいじっている。


 何やら、名刺を見ながらどこかに電話を?


「しもしも~? 意気揚々いきようようとしてる所か。3分待ってやる。時間がぎたら、! 玉村たまむら!!」


 なかば恫喝どうかつじみた語気ごきで。


 怒鳴どなりつけた。


 急に怒り出したものだから。私も驚いてしまう。


 玉村たまむらって誰なのかな? 


 また、私には想定出来ない事態が――進行中らしい。


 


 


 

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