第36話 馬鹿真面目に正攻法じゃあ、特ダネは掴めない。
『えーっと!? あの方は、怪しい様な、不可思議な存在と言いますか!?』
きっかけは、記者会見での姫署長の発言。
あたしの質問が
あわよくば、独占スクープの
しかし、その後。取り
く、悔しい! 逃した魚は何とやらの心境だぞ!
「……でも、あの姫署長の態度が引っかかる。第一発見者には取材をしないとね」
そうなると。まずは、第一発見者の身辺情報を集めないと。
交友関係から当たってみるのが。一番か。
運が良い事に。
昨夜の事件現場での写真を撮る事が出来た。
ちょうど、第一発見者が姫署長に取り押さえれてる姿だ。
見ているこっちも関節が痛くなりそうな
その周囲には、関係者? だろうか。
20歳前後の女性。おさげ髪をシュシュで一つ結びにしている。
ぱっとみると、介護福祉系の仕事? 保育士にも見えなくも無いか。
「ちょうど、お昼の時刻か。とりあえず、市役所の食堂にでも行きますか」
ツキがあれば、彼女を発見できるかもしれないし。市役所には福祉事務所もある。
いや、確率的にそんな偶然は起こらないでしょ?
そもそも、彼女が働いている事を前提にしている。
無職かもしれないし。
まあ、市役所で聞き込みをする意味は……あるか。
もしかしたら、彼女の事を知っている人物に。遭遇出来るかもしれない。
行動あるのみ!
こうして、仕事場である『週刊親しき仲にもスクープ』編集部から、目的地へと向かうのだった。
「嘘でしょ!? この写真の彼女だよね!?
市役所の食堂で彼女らしき人物を発見してしまった。
職場体験かな?
はやる気持ちを抑えつつ。冷静に写真と見比べる。
間違いない! 人を優しく包み込む雰囲気。
現に、カレーを食べていた女の子の口元を自然な流れで。
ティッシュで拭いている。
め、女神様か!?
となると。彼女と接触しなければ、何も始まらない。
だが、いきなり週刊誌の記者が。対象に話を聞くのは至難の
警戒心が強く出て、取材拒否をされるのは目に見えている。
馬鹿真面目に正攻法じゃあ、特ダネは
そこで、協力者を使い。
芝居をする事を
ちょっとした、トラブルを演出した所に。
私自身が助けに入る。
要するに、信頼関係を築いてからの取材だ。
助けた恩を上手く利用する。
「エキストラ要員に連絡っと。よしよし! 運が向いて来たぞ!」
「チョリーッス! ポニテ姉さん! 呼ばれて
「こら! 静かにして! 目立つから!」
市役所の出入り口付近を見張りつつ。
チャラ
女神の彼女は、まだ現れていない。
手短に作戦を伝える。
「この保育士みたいな彼女が、今日のターゲット。適当な理由で絡んでくれれば良いからさ」
彼女が映った写真を彼に見せる。
まじまじと観察している。
「見るからに真面目な彼女っス。ガードが
「それじゃあ、お茶の誘いでもしたら? 十分理由になるでしょ? もっともらしくて?」
うんうんと納得するエキストラ要員。
あたしも詳しくは、このチャラ
取材の協力者と言う関係性だから。
そっちの方が、何かと都合が良い。
「あっ!? き、来たぞ!? 女神様!? じゃなかった、彼女だよ!」
「うぃーっス。
「それじゃ、そろそろ彼女を助けに行きますか」
数分前。スマホに連絡があった。作戦開始の合図。
今頃、チャラ
我ながら、順調に事が進み過ぎている。まさに、作戦通りとは――
ふと気づくと。
あたしのスマホに非通知で着信だ。
仕事関連の電話だろうか?
「はい、もしもし?」
『しもしも~? 作戦通りで
は!? いたずら電話!? 通話はもう切れちゃった!?
それにしても、作戦通りで
なんであたしの状況を!? それに名字も知っていた!?
お、落ち着け。それから――
他社に自分から話を売り込む!?
そんなスクープは――あたしが今、追っている女神様が導いて――
「ああああ!? まさかまさか!? 第一発見者に猿芝居を見抜かれた!?」
そんな、想定外な事が!? 一体いつから、バレてたの!?
とにかく、チャラ
3分の猶予が過ぎ去る前に!
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