第28話 君は小学生、ろりざき君!

言葉巧ことばたくみに? いわゆる、だますって事でしょ? 今の子供は、しっかりしてるわよ?……誰かさんと違って」

「し、失礼だぞ!? じゃあ、実際にシミュレーションするよ!? 君は小学生、ろりざき君! 僕が、犯人役するから!」


 小学生のろりざき君か。


 昔から、傍若無人ぼうじゃくぶじんそうだな。


 生徒会長とかやってそう。


 ぺっ! 反吐へどが出ちゃいそうだぜ!


「ろりざきって言うな!? 訴えるわよ!?……被害者の立場で考えるって事?」

「……ああ。被害者目線から事件を考察する。あまり考えすぎるのも良くないが。深く考察しなくて良いよ?……精神がかれて、疲れるからね。あくまで、参考程度に」


 疑似的に被害者と加害者の心理を考察するからな。


 これら行為も、呪詛じゅそになりかねない。


 しょうがない。


 境界きょうかいを超えない様に注意するか。


「では、ろりざき君が道を歩いていました。すると、一般人の男の人が質問してきました」

「……ええ。その男性は、何て?」


 意識を集中する為に。


 両眼を閉じている。


 い、今が、いたずらをする絶好のチャンス!?


 色々な所をまさぐり放題!?


「『……すまないが、この辺りにある公園を知らないかい? 実は、事件の被害にあった女の子の親戚しんせきでね。こうして花束やお菓子を持参したのは良かったけれど。どうにも、道に迷ってしまって。こちらの地域には住んでいないから。……困ったなあ』あくまで、一例だからな? で? ろりざき君は、どうする?」

「……そうね。公園の近くまで案内してしまいそうだわ。わざわざ、口で説明しても、分からないと思われそう。しかも、公園に行く理由が不自然でも無いから。警戒もしない。……まさか、こんな簡単に連れ出されるなんて!?」


 ……少々調子に乗り過ぎたか。


 たかさき君が動揺どうようしているな。


 ここまでにしておくか。


「はい! そこまでだ! 君の演技力に拍手喝采はくしゅかっさい!」

「あんっ!? い、いきなり拍手はくしゅしないでよ!? び、びっくりしたわ!?」


 こうでもしないと。


 あちら側に引きずり込まれそうだからな。


 やはり、短時間が限度だな。素人は。


 たかさき君の『あんっ💓』を頂きました!


 ふへへへ! 滋養強壮じようきょうそうになるよお!


「理解したかい? 人は理にかなった行動をしている人間は、疑わない。だます事なんて容易たやすいのさ」

「……これだと、誰でも被害に合う可能性が高いわね。分かりやすい不審者の犯行だったら、注意をうながせると思っていたのに」


 少しうなだれた様子を見せた。……まあな。


 いかにも怪しい人物が犯人だったら。


 苦労しなかっただろう。


「……どうやって対策すればいいのかしら? 子供達を守るには? あんは無いの?」

「たかさき君の『あんっ💓』があれば、十分な対策だと思う! もう一度だけ、聞かせてくれないか!? はあ、はあ!」


 こうしてたかさき君に魅了されてる訳だから! 


 子供を襲うより、こっちを襲いたい!?


「……格闘術のスパーリングをやりたいのかしら? 私も御門の『ぎゃあんん!?』が聞きたいから! お望み通り、してあげる!」

「じょ、冗談に決まってるじゃん!? ぎゃあんん!?」


 この後、メチャクチャ格闘術を叩きこまれた。


 だ、だかざぎ! おぼえでろ! 


 コノウラミ、ワスレナイゾ!

 

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