想定外の化物 その参

第25話 ミーカードー!! イルナラ、デテキナサイヨ!! ユ、ユルシテアゲルカラ!!

「ミーカードー!! イルナラ、デテキナサイヨ!! ユ、ユルシテアゲルカラ!!」


 昨夜は、散々だったわね!


 新たな犠牲者まで、発見されて! 


 しかも、アイツが第一発見者! 


 ゆ、許さない! ワタシヲダマシテ!


「……居留守かしら? こんな事もあろうかと。管理人さんから合鍵あいかぎを」


 御門みかどの部屋に合鍵あいかぎで侵入。


 部屋の中で意識不明になってる可能性も。


 これは、本人の無事を確認する作業! 


 不法行為では無い。


「……隠れてるの? トイレ? 浴室?……気配がしないわね」


 昨夜から帰宅していない? 


 私は、取り調べの後は、警察署内で情報収集。


 とは言え、これと言って進展無し。


 新聞やテレビ報道以上の事は、まだ分からない。


 気がつけば、朝の8時過ぎだ。


「……私が来る事を想定して、どこかに泊まったの? に、憎たらしい!」


 地団駄じたんだむとは、この事だ。


 情報が無いなら、御門みかど本人から聞けば良い。と考えたのだが。


 もぬけのから状態。


「……奴が帰ってくるまで、籠城ろうじょうでもしてやるわよ! 張り込み開始!」


 しかし、私も人間である。


 空腹や眠気が。疲労感も一気に押し寄せて来た。


「……まずは、食料調達ね。それから、諸々もろもろの必需品。買い出しに、行きましょう!」

 





「……きゃはっ! 人生初の朝帰りだぞ💓 あーしの魅力で、祀理まつりっちもマジまんじい!? 部屋間違えた!? 俺の部屋だよね!? 芳香剤ほうこうざいがオシャレなスティックに!?」

「……意外と早かったわね。御門みかど。なぜ、ギャル口調!?」


 いささか、拍子抜ひょうしぬけをした。


 時刻は、午前9時。


 買い出しに行ってから、一時間ぐらいね。


 もっと、遅くに帰宅すると思っていたわ。


「……たかさき君? 何なの、このあり様。風呂にも勝手に入りやがったな!?」

「ちゃんと一から掃除して入浴したわよ? シャンプーとか入浴剤だって、自分で買いそろえた訳だから。問題無しよね?」


 完全な嫌がらせ。我ながら子供じみた真似だと思う。


 でも、御門みかどに対しては有効だ。


同棲どうせいレベルの部屋の変わり具合だよ!? 宅配ピザに赤ワイン!? もう、やだ、この人!? ネットカフェじゃねーんだよ!?」


 ピザに関して言えば。


 御門みかどの部屋にチラシが放置されていたので。


 お得クーポン利用させてもらった。注文の10%割引。


 赤ワインは近所のスーパーで購入。


 私にとっては、アルコール飲料は必要なの! 


 疲れを癒す最高の飲み物!


「朝から、そんな物を食べるとはね。胸とお尻もそれ以上成長する気かい? グラビアアイドル弁護士でも目指すの?」

「別に良いじゃない。食べたい時に食べて。それに、この所、忙しかったから。今日は休養日ね」


 例の事件が発生してから、不規則すぎる生活。


 時計を確認しても、午前なのか午後なのか。


 休日も返上して活動していたものね。


「自分の弁護士事務所で過ごせよ! オタク部屋に弁護士? パラレルワールドの住人かよ!」

「はいはい。それじゃあ、本題。御門みかどなら、私がここに居る理由、分かってるでしょ? ワカッテルデショ! サア、ハナシナサイ!」


 ひえっ!? と御門みかどおびえた声を上げた。


 あら? おかしいわね?


 普通にしゃべってるつもりだけど? つもりだけど!

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