第22話 ほ、ほら!? もう寝る時間だよ!?

「ほ、ほら!? もう寝る時間だよ!?……電気は全部消そうか?」

「真っ暗で寝る派と、電球をつけて寝る派かい? 祀理まつりの好みでいいよ」


 先程の出来事の余波が収まらないよ!? 


 た、確かに、自分の落ち度だけどさ!?


 落とし物だけに!?


「……とりあえず、オレンジ電球つけとく。……君の行動を監視できるようにね!」

「……おっちょこちょいの祀理まつりが原因だろ? 俺は、大人しく静養中だったのに」


 うらみ言を供述しています。


 ともかく、御門みかど君のせいにしちゃうから! よろしく!


「……でも、妙に懐かしいかも。覚えてる? 高校時代、御門みかど君、いつも体調不良でさ。保健委員の私が、ちょくちょく見舞いをしてたっけ。ふふっ。本当に、変わらないね、君は」

「……お互い様だろ? 自分にとって大切な何かを得たら、良い方向に成長する。反対に、大事な何かを失えば、悪い方向へ成長する。そして、いつかは犯罪者になるかもね。そんなもんさ。変わらないと言うならば、プラスマイナスゼロの人生を送って来たって事だね。いわゆる、成長してねー奴って事か」


 大切な何かを失い続けた結果が、犯罪者になる? 


 そうなのかな?


「犯罪の原因になるのは、ストレスからくる感情の暴発。金が無いストレスから、強盗。アイツが憎いから殺人。いささか、短絡的たんらくてきに説明しているけどね。また、他にも、犯罪を犯す快感を得る為だけに――」

「……寝る前の会話じゃないから。……なるほど、退屈な話しで睡魔を誘うのが狙いなのかな?」


 おかげで眠くなってきたよ。


 私は、君がいつか犯罪者になる事をだね――心配してるの。


「……寝つきが良くて、羨ましいよ。……今日も巻き込んで、悪かったな、祀理まつり


 ぽつりと彼がつぶやいた。


 声は聞こえないのに。


 なぜか私は、安堵あんどしたのであった。






祀理まつり? 起きろ!……起きないなら、その無防備な寝顔に。ちゅーをするぞ!」

「……ふえっ? なんで、みかど君が? 治癒ちゆ?……きゃああ!? へ、変態!?」


 有無を言わせず、御門みかど君を平手打ち。


 これは、悪夢!? 現実!?


「ぶべえええ!? い、痛いよお!? まだ、何もしてないのにさ!? ふえーん。すんすん」

「……そうだった。御門みかど君を看病する為に。それにしても、普通に起こしてよ!?」


 悪い意味で、意識を覚醒させないで!? 


 心臓に悪いからね!?


「だから、普通に起こそうとしたの! ちっとも、反応しなかったからね! それと、朝から、ごちそう様です。祀理まつりちゃん成分を補給できたからね。ぐへへへ! 寝顔きゃわわ!」

「……もう一発ぶん殴ろうか! ば、ばか!」


 目覚ましをセットするのを忘れてた。


 私は、寝起きが良くない。


 だからと言って、この仕打ち!? せぬ!


「今何時!? 仕事に遅刻しちゃうかな!?……午前7時20分か。ふう。これなら、大丈夫だね。ああ、でも、朝食の準備を!?」


 食卓専用テーブルには、ご飯と大根の味噌汁。


 目玉焼きとウィンナーソーセージ。

 

 サラダ、紅茶等が用意されていた。


「こ、これ!? どうしたの!? 買ってきたの!?」

「おいおい? 全部、君の家の食料品じゃないか? 寝ぼけているのかい?」


 そ、そうじゃなくて!? 


 えっ!? 君、料理出来る人なの!?


「俺だって、一人暮らしだぜ? 簡単な調理ぐらいやるさ」

「てっきり、いつもコンビニのお弁当とか、外食チェーン店を利用してると思ってた」


 イメージと違う。ビックリだよ。


 ま、まあ、見た目が悪くないだけでしょ? 


 味覚は音痴だろうね!


「で、では、いただきます! 御門みかど君の事だから、味噌をたくさん入れて、しょっぱ……くないです。お、美味しい。大根もやわらかい。つ、次はご飯だね!? 水加減を間違えて、おかゆに!? な、なってないよ!? 米粒が光ってる!? 素晴らしい水加減!?」


 な、なんだか悔しいよ!?


 ひょっとしたら、私よりも料理が上手なの!?


「今日の新聞も読ませてもらったよ。事件の事は、まあ、当たり障りのない情報しか書かれていないけど。ニュースも昨夜と変わらない内容だな」

「……事件の事よりも、体調はどうなの? それから、君の朝食は?」


 私の朝食しか用意されていない。


 もしかしたら、まだ体調が悪いのかも。


「多少は回復したよ。朝食はお薬を食べたよ? てへっ!」

「薬は食べ物では無いからね!? ちゃんとご飯を食べてよ!?」


 予想通り、体調は悪いらしい。


 そんな状態で、私の朝食を準備しなくても。


祀理まつりちゃんには、お世話になったからさ。お礼だよ? 昨晩は、激しい夜だったね💓」

御門みかど君の吐き気が激しい夜だからね!? ほ、頬を赤くするな!? 乙女か!?」


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