第23話 私にとっての呪詛使いさん。

「ごちそう様でした。……お、美味しかったよ? 感謝です」

「……複雑な表情で、言われてもな。はい、お粗末様でした」


 おかしいな? 料理は人柄を表すと思ってたけど。


 摩訶不思議まかふしぎだね。


「洗い物は、私がするからね?」

「後片付けまでが、料理! 祀理まつりは、着替えたり、顔洗ったりしてな」


 むう。君も、変な所で頑固だね。


 いつも、私の事をそう言ってるのに。


「はいはい。お言葉に甘えます」


 さてと、お仕事に行く支度したくをしましょうか。


 謎の同居人に、はやし立てられちゃうからね。





御門みかど君は、この後、どうするの? 家に帰るの?」

「どうやら、自分は厄介者らしいからね。それと、アニメも視聴せねば!……帰りたくないよお。たかさき君が、俺のアパートで待ち構えてるだろうから。悪霊退散!?」


 厄介者の自覚は、あるんだね。情緒不安定なの!?


 君の精神が、ますます心配です。


「咲さんが?……ご愁傷様しゅうそうさま


 昨日の事件の事で。


 多分、質問攻めにされるのだろう。


 うーん、咲さんにも程々ほどほどにするように。


 意見を言った方がいいかも? 


 御門みかど君、本調子じゃないから。


『今日の、誕生月占いのコーナー!』

「えーと、今日の私の運勢は……可もなく不可もなく、普通だね。ラッキーアイテムは、味噌汁だって!? すごいね! 御門みかど君!」


 毎朝恒例のテレビの占いコーナー。


 これを確認してから、仕事に行くようにしている。


 単に、出勤時間が重なってるだけ。


 深い意味は、無いのだけれど。習慣化されつつある。


「ちょろいな、祀理まつりちゃんは。ま、呪詛じゅそにならない程度にしとけよ?」

「じゅそ? って? そ、それと、私はちょろくないからね!?」


 ちょろいとは、失礼だね。


 か、軽い女性でも無いから!?


呪詛じゅそは、簡単に言えば、呪いの事さ。占いは一種の暗示だからね。運勢最悪な日に、普段なら気にもしない事を、気にするってあるだろう?『嫌な出来事が起こったのは、やっぱり、今日はツイてない日だからだ』とか」

「あ、あるね。うん。反対に運勢最高だと、気分が良いかも?」


 御門みかど君が指摘している事は。


 占い結果に影響され過ぎるなよ! との忠告だろう。


「別に占いを否定する訳でもないよ? とらわれ過ぎると、ロクな事にならないぜ?有名人が占い師に洗脳されるとかあるだろ? まさに、呪いだよ。占い結果が当人を完全に支配する例さ」

「な、なるべく、いい結果だけを参考にしようかな!?」


 あ、あくまで、日常生活を豊かに生きる為の占い。


 占い結果がすべてになりませんように。


「はははは! すまん、すまん! そんなに警戒しなくても平気さ。神社のおみくじ程度ぐらいで気にまないだろ? 素直だな、祀理まつりは。……やべえ、可愛い!? 放課後、体育館裏に呼び出そうかな!?」

「わ、笑わないでよ。い、いじわる。……君の言葉が、呪詛じゅそだね」


 も、もう。からかって! いい大人がする事じゃないよ? 


 私にとっての呪詛じゅそ使いさん?

 

 

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