第7話 捕まえるのは警察のお仕事でしょ?

「私は、オムライスを頼もうかな? ビーフシチューもいいなあ」

祀理まつりさんの好きな物を頼んでいいからね? 遠慮せずに。それから、就職したお祝いの会もねているから」

「たかさき君? それは、嫌味かい? だったら、生活保護申請が無事に通った俺には? 祝ってくれないの? うわー、差別主義者め!」


 祀理まつりさんの機嫌は回復したみたいね。何よりだわ。


 御門みかどの好感度はどうでも良いのだけど。本当に!


「あのねえ、御門みかど。生活保護を受けて、お祝いパーティーなんて出来ると思う? 悔しかったら働きなさい。そうしたら、私だって祝福してあげるわよ」

「やれやれ。当人が喜ばしいと思っているなら、それを祝ってくれるのが人情じゃないのかね? 俺は、カツカレーと食後のコーヒーね。たかさき君、どうも、ありがとう。祝ってくれて。ツンデレ弁護士だな、君は」


 勝手な解釈で。


 強引に『御門みかど生活保護お祝い会』にしやがったわね!


 腹立つわ! デレなんてないわよ!


祀理まつりは、優柔不断だな。オムライスで良いじゃないか? ビーフシチューは、たかさき君のを分けてもらえ」

「み、御門みかど君!? 一方的に、咲さんのメニューまで決めるのは……」

「平気よ? ここの洋食店は、どれも美味しいから。特にメニューにはこだわらないわ。お互いの料理をシェアしましょう」


 だから、なんで御門みかどが主導権を握っているのかしら! 


 憎たらしい!


「さてさて、ご立腹のたかさき君だけど……そろそろ祀理まつりに弁明でもした方がいいんじゃないかなwww」

「さ、咲ざん!? わだし、嫌われてるのがなあ!?」

「ああもう!? 御門みかど、貴方、少し黙っていてくれるかしら!」


 再び祀理まつりさんが泣きだしそうになる。


 最悪のタイミングで話しを蒸し返すなんて!





「コンビニの防犯カメラのチェックですか?」

「ええ。例の女子児童が、通り魔に殺害された事件の関係でね。不審者情報を集める為に、コンビニをおとずれていたのよ」


 こんな事なら素直に話すべきたったわ。


 と思った時点で。


 御門みかど増長ぞうちょうさせてしまうのよね。


「まあまあ。祀理まつり君。たかさき君は、弁護士業務をほったらかして、遊びまわっていた事が心苦しかったのだよ。あははは! ざまあ、たかさき君!」

「ちょっと!? 咲さんに失礼だよ!? 夕食をご馳走されている身だからね!? 立場を認識して!?」

祀理まつりさんの正論で、私は救われてるわ。ありがと」


 常識人で可愛い。


 ……ほんと、御門みかどに関わらせる人材じゃないわよ。


「で? 防犯カメラをチェックして、収穫は? なかったら、君は無駄に時間を過ごしていた事になるのだが? お仕事さぼっちゃ、め! だぞ!」

「……特に不審な人物は録画されていなかったわよ。調査していないコンビニも、まだまだあるの! 地道な作業なのは分かってるでしょ!」


 血圧が上昇して、イライラしてきたわ!


 確かに、収穫は無かったけど!


「早く犯人が捕まって欲しいな。子供がいる親御おやごさんは、気が気じゃないもん。私も外回りの時、怪しい人がいないかチェックしてるよ? あと、地域のボランティアの人達が、見守り活動を始めたらしいですよ?」

大層たいそうな事で。たかさき君? 君も見守り活動の方が適任だと思うけど?」

「……あくまで、犯人の情報収集だけよ? 捕まえるのは警察のお仕事でしょ? そのくらいわきまえてるわよ?」


 暗に牽制けんせいされてるのかしら?


 警察みたいな事は、するなって。


「……どうだかね。好んで事件に胸と尻を突っ込みたがる君だ。おっと、首を突っ込むだったな。それに……


 想定? 一体何の事かしら? 


 なんだか、気になる言い方ね。

 

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