第4話 何か、私に言う事ありますか?
「はーい、皆さん。本日のお仕事終了の時刻となりました。残業は、どーしてもやらないといけない事がある人だけだよ。お役所が働き方改革をしないのは、まずいから。うんうん。課長の私が率先して帰宅するからね? 本当に帰るからね!?……帰っていいですか?
「あははは……新人の私に聞かれても困りますよ!? わ、分かりました。一緒に帰りましょうか?」
鼻歌まで歌いだした。
上司といえども、幼い女性にしか見えない。
精神的な意味もあるのだけど。
「さすが、女神のケースワーカー! お優しい人だよお! まつりちゃん!」
「なあ、うちの課長にケースワーカーを派遣した方が!?」
「課長!?
和気あいあいとした職場の雰囲気は。
おそらく天川課長のお陰でもある。
この仕事は精神的にも。きつい場面に
生活保護の人達の支援と言っても。
一筋縄ではいかないし。
「なんだ? 合法ロリ川課長、また
「だ、誰だ、私をロリと呼ぶ奴は! 生活保護の奴だったら、保護を打ち切るぞ! 私の権限でえ!?」
あっちゃー。このタイミングで来ちゃったの?
天川課長、明日職場に来てくれるかな?
「はい、
「忘れてねーよ。まったく、何で手渡しなんだ? 振り込みを希望したのにさ。高校時代の同級生に対する仕打ちがこれかい?
コミュニケーションを取らせる秘策です!
外出距離も稼げて運動もできる。
健康的な生活の一歩。
それと、振り込みだと。
「口を
「特別な配慮に感謝するよ。ほんとに成人してるの? 年齢詐称? 身分証の提示をお願い出来ますか? 人魚でも食べたの? あははは!」
こんな調子だから
何度も忠告してるのに。不満点です。
私が担当になっても。あんまり意味がないんじゃないのかな?
過大評価されてると思う。
「か、からかって! お前なんか大嫌いだ!」
「あっそう? 俺、けっこう好きだよ? 天川さんの事」
うん? 正直なのは良いと思うけど。
これも誤解を招く言い方だよね?
「な、な、何ですか!? 口説いてるの!? わたし、おうちに帰るもん!?」
「お疲れ様でした、天川……行っちゃった。もう、
仮にも年上の女性を困惑させるのは、駄目なんだから!
「さて、保護費も受け取ったし!? ちょ!?
「何か、私に言う事ありますか?
保護費の入った封筒をがっちり
私との恒例のお約束です!
「……皆様の大切な税金を生活費として使わせていただきます。なおかつ、社会復帰に向けて無理のない範囲で、努める事を誓います。こっちの方が、よっぽど呪いの言葉じゃないか」
恨めしそうに視線を向けてくる。
む! 反抗的かな!
「はい。どうぞ。無駄遣いをしないように、心がけましょう。ちょうど仕事も終わりだから、一緒に帰るよ
「やっぱり小宮さんスゲーな。アイツとちゃんと会話してるし」
「ああ。新人なのに精神力が強いな!……天川課長も見習って欲しいぜ! でも、そのままでいて欲しいかも? ロリ最高!」
評価を上げていると思われたら、嫌だな。
同級生ですから。
それなりの時間を過ごしていた訳で。
接し方に慣れてるだけです。
「どうだい? 職場の方は? 俺の活躍で随分と評価を上げた様だな。おめでとう!」
「殴るよ! ピンポイントで心を読まないで! 難儀な同級生だね!」
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