第2話 さっさと容疑者を特定したらどうだ? 赤城警部どの?

「このアニメ、ぬるぬる動くよ! 作画も素晴らしい! 今期の覇権だぜ!」


 我が住処すみかのアパートに帰宅後。


 予定通りに、アニメを視聴する。


『俺の精神力がエトセトラに消費されてる~!?』という異世界ラブコメがアニメ化。


 先程、たかさき君がくれたカードの物語さ。


 円盤も予約するかな?


「……邪魔するぜ、御門坊みかどぼう

「……不法侵入だ。令状は? 赤城あかぎ警部。いや、赤城のおっさん。何の用だ?」


 台無し。アニメを視聴してテンションあげていたのに。


 憂鬱ゆううつだ。


「なに、近くまで来たついでだ。犯罪者予備軍のお前の様子でも眺めようと思ってな。相変わらず、この部屋は秋葉原かよ? 人形に、ポスターだあ?」

祀理まつりから保管を頼まれてるだけだよ。なんでも俺が社会復帰したら、そっくりプレゼントだって」


 やる気を出させるために考えた秘策らしいのだが。


 ちょっと方向性が残念。


祀理まつりちゃん元気にしてるのか? 確か、市役所でケースワーカーを担当してるらしいな。お前みたいな生活保護者を担当して、大変じゃねえのか?」

「仕事は何でも大変だろ? 特に人間関係。口を開けば、使えない奴だとか、誹謗中傷するし。俺も、来世では使える人間になれますように。アーメン」


 幼いころから。


 どこか普通の人間とは違う。違和感を感じていた。


 なぜか、作業が出来ない。物覚えが悪い。


 自分の興味がある事しか行動出来ない。


 おそらく、発達障害の一種だろう。


 残念ながら、就職も失敗。


 世間は普通じゃない奴を排除するからな。


「で? たかさき君に捜査情報をリークしたのは、おっさんだろ? こっちまで迷惑してるんだぜ? 朝から外出させられるし!」

「……知らねえな。俺は。なんだ御門坊みかどぼう咲嬢さきじょうとデートか? 羨ましいなあ、おい!」


 はい、捜査情報をリークしたのは確定。


 一瞬、目を見開いたからね! くわっと!


「さっさと、容疑者を特定したらどうだ? 赤城警部どの?」

「言ってくれるじゃねーか。確かに、捜査が始まったばかりで、手がかりがまだ掴めてねーけど。厄介な犯人だぜ? 猟奇的で快楽殺人だろうからな」


 猟奇的? 下着を持ち去る事か? 快楽殺人? 


 女児の死体には、一般人の知らない情報が? 


 何をもって快楽殺人と思う? 犯行予告?

 

 いや、予告ならば報道機関に送り付けた方が。インパクトが強い。


「女児の死体はどんな感じ? 警察しか知らない情報があるだろう?」

「やる気が出て来たのか? おっとこんな所に捜査資料が。貴重品だから、御門のアパートにまで持ってきたぜ! 当然だよな? 貴重品だから」


 そもそも捜査資料を警察署から持ち出すのは。


 安い芝居だな。やれやれ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る