ニート呪詛使いと関わりたくない彼女達!?

偽善者!?

想定外の化物

第1話 美人弁護士は本来の業務をしてくれたまえ。

「で? どう? 今回の事件の犯人は?」

「いきなりそんな事を聞かれても、分かるはずも無いだろう? 超能力者じゃないんだぜ? たかさき君」


 昼時のファストフード店は。客が殺到する時間帯だ。


 店員が、せわしなく『いらっしゃいませー、ご注文をお伺いいたします』と合唱している。


 朝っぱらから起こしやがって!……もうお昼だけども。


御門みかどなら、詳細しょうさいを語らなくても。分かるでしょ?」

「わかりましぇーん! もう帰っていいかな? 新作のアニメを見る用事があるんだ!」


 美人弁護士は本来の業務をしてくれたまえ。


 アデュー! グッバイ!


「ほら? このクールジャパンセットのおまけカード? あげるから」


 機嫌が悪いと思ったのか。


 突如買収にかじを切りやがった。


 手元に、まばゆい光を放つカードを差し出された。


「ハ、ハーフエルフメイドのカナたんとリナさんのシークレットレア!? まじでえ!?」


 興味がない人に限って。引き当てるんだもん。


 不公平だ。


 ちなみに、俺が引き当てたのは。


 もっちりクリスティーナですわー! ふともも最高!


「……今、世間を騒がしてる通り魔だろ? 小学生の女の子が殺された。ニュースで大々的に特集してるやつ。……おかげで、アニメ番組が自粛したじゃないか。事件を想起させるシーンがあるからってさ。あくまで作り物のお話だぜ? ケチをつけたらなんでも自粛してしまうよ。確かに被害者が出たのは、痛ましいよ? だからといって過剰に――」

「やっぱり知ってた。それで、これは極秘情報。なんでも犯人は女児の下着を持ち去っているらしいの」


 話の腰を折るように。


 物騒な事を言い出した。


 食事中の話題として最悪である。


「さっきのランジェリーショップの羞恥プレイの原因はそれね。たかさきくん!? 君一人で調査すればいいじゃないか!? 男の俺まで連れて行く意味なかったよね!? 女性店員に質問攻めされたよ!?『彼女さん、美人過ぎますね! ぜろ、リア充め!』とか!?」


 たかさき君の事だ。


 犯人の心理を学ぶ目的で。ランジェリーショップに行ったのだろう。


 でもね、売り場にあるのと。


 実際に身に着けてるやつとでは、違うのだよ!


「全然分からない。下着なんてただの布切れでしょ? 持ち去ってどうするのかしら? ねえ、御門みかど?」


 わ、わざとらしい奴め。


 本当に見当がつかないのか。


 意見を求めているようにも聞こえる。


「……このカードと同じだよ」

「なにそれ? おまけ?……また訳の分からない事を。ごまかしてるの?」


 あ、呆れられた!? 


 このパンストスーツ弁護士! 


 パンスト強奪して、顔にかぶってやろうか!


「コレクション。収集だよ。いや……犯行達成の記念品か。眺めるたびに、犯行の記憶が。感情が蘇る! ぐへへへ!」

「出頭しなさい、御門みかど。微力ながら弁護してあげるから! 警察に行きましょう!」


 違うからね!? 


 あくまで参考意見だから!? その仕打ちかよ!?


「行かねーよ!……それにさ、たかさき君が首を突っ込まなくても。犯人は捕まるでしょ? 日本警察は優秀だしね」

「それは……そうだけど。未然に犯罪が防げれば、新たな被害者も出ないでしょ?」


 はいはい、お疲れちゃん!


 警察官になれば?


「とにかくだ! 多華たか さき弁護士、余計な真似はご法度はっとだぜ?」

「ちょ、ちょっと!? まだ話は終わってないわよ!?」


 さらばだ、たかさき君!


 帰ってアニメを視聴だ!

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