第2章 ~オタクな俺と迫り来る夏(仮)~
第1話 「ちょっと照れるね」
日曜日。
支度を終えて玄関を出ると……
「やあ」
さも当然のように待ち伏せされていた。
俺の記憶が正しければ、待ち合わせしたのは歩道橋あたりだったはず。
なのにどうしてこいつは……月島つかさは俺の家まで来ているのだろう。
「何故そこに居る?」
「君と一緒に映画を見に行くからだけど?」
そうじゃなくて……
何で俺の周りの女子って分かってるくせにとぼけるんだろうね。
つうかさ、こいつ地味な格好してくるって言ってなかった?
帽子にパーカーって確かに普段の外着と比べると落ち着いてるよ。人目を惹いたりはしないように思えるよ。
でも……ラフさのあるボーイッシュ、みたいにしかなってないんだよな。
いやまあ分かってたよ。
多少服装を変えたくらいでこいつが美人なのは変わらないって。美人特有のオーラは消し去れないって。分かってましたとも。
「俺は何で歩道橋じゃなくてうちまで来たんだ? って聞いてるんだ」
「あ、そっち? それはその……妹が家の掃除すると言い出しまして」
「あーなるほど。邪魔だからさっさと出てけって言われたわけか」
普通は手伝わせた方が効率が良い。
でもつかさだもんな。
つかさのポンコツっぷりを誰よりも知っているフタバさんなら最初からひとりでやるよな。少しの時間だけでも手伝わせるって選択肢はないよなぁ。
「ちょっ、その言い方は」
「違うのか?」
「……違わないけど」
なら納得して引き下がれ。
恨めしそうな目でこっちを見るな。
「ったく……君はデートの日でも相変わらずだな」
「相変わらずなのは掃除すらまとも出来ないと思われてるお前のポンコツさだ。というか、今日ってデートだったのか?」
「休みの日に男女が一緒に出かけることを一般ではデートと呼ぶのでは?」
「……そういう意味ではそうだな」
なら変に意識することもない……か。
「まあまあ、そんなに緊張しなさんな。お姉さんに任せて任せて」
「そういうことは任せるに値する実績と信頼を積んでから言ってくれ」
「信頼は分かる……本来であれば、付き合いの長さ的にすでに存在していて欲しいんだけど。まあ今は置いとこ。君の言う実績って何?」
「今までに出来た恋人の数」
「あぁ……うん、その実績はないわ」
でしょうね。
だってあなた、告白はされるけど全部断ってるし。
「でもトウヤくん、私が思うに恋愛は数じゃないよ。これまでの恋人の数で判断するのは間違ってないかな」
「それはそうだが、これまでひとりとして恋人が出来たことのない奴に任せられると思うか?」
「それは、その……」
「同い年なんだから変にお姉さんぶるな」
そもそも、俺はつかさのダメなところを散々見ている。
そんな相手に今更取り繕っても意味はないだろ。
そう言わんばかりにつかさの被っている帽子のつばを掴み、下へ深く押し込んでやる。
「ちょッ!? 前が見えんだろうが!」
「浅く被ってても意味がないだろ。顔が丸見えだ」
「だったらマスクとサングラスも装備しましょうか?」
「変質者と一緒に歩く趣味はない」
そのまま視線を合わせたまま牽制し合うこと数秒。
つかさは諦めたのか顔を背けて溜め息を吐き、手に持っていたバナナオレを口に含む。
「きみはふぉんとうにありぇだな」
「飲みながらしゃべるな」
「む……」
何故にむくれる?
そういうことされると、はたから見た時に俺だけが悪いって感じに見られそうで困るんですが。
まあだからってここで折れるつもりもないけど。
俺は他の男子とは違う。こいつにこんな顔をされたからって甘やかしたりしない。甘やかすと調子に乗って鬱陶しさがレベルアップしそうだし。今後を考えればそれだけは阻止しなければ。
「何で君はこういう展開にしちゃうのかな? 普通こういう時って相手の服装を褒めるとか色々とあると思うんだけど。そんなんじゃ好きな子が出来てデートにこじつけられても失望されるよ」
「そんな仮定の話をされてもな……それに服装って言ったって」
地味さを考慮しラフな感じで選びました!
って恰好してるじゃん。それを褒めるってかえって失礼じゃね?
というか……
「……お前のそのパーカー、何か妙にダボダボじゃね? あとどこかですげぇ見たような気がする」
「それは……元々君のだから」
あぁーなるほど。
どおりで既視感があるわけだ。どおりでお前には大きいわけだ。
「なあつかさ」
「何かな?」
「前にも思ってたんだが……何で俺の衣服がお前に流れてる?」
「トウヤママは私のフレンドだから」
いやまあ確かにお前はうちの母親と仲が良いよ。
母親世代のことを友達だって表現するのも分からなくはない。
でもさ……今の言葉で過程まで推測して納得するのは、俺みたいなオタクだけだと思う。
「俺の服はゲーム内でトレードできるアイテムってわけですか?」
「この場合、私が一方的にもらっているだけだからトレードって呼べるのかな?」
「そこに疑問を持たなくていい」
「じゃあ君も君の古着に関して疑問を持つのはやめよう」
「それとこれとは話が」
「リサイクルだよリサイクル。私は君が着なくなったものをもらってるだけ。だからそんな気にすることでもないでしょ? 女の子だって楽な格好をしたい時はあるんだから」
そう言われると……まあそうなんだが。
ただ一応俺も年頃の男の子なわけで。
たとえ相手がつかさだとしてもですよ。同級生の女子に自分が着ていたものが着られてると思うと、やっぱりあれこれ考えちゃうじゃないですか。
ま、口にはしないけど、したらにやけながらからかってくるに決まってるし。
「それと……ここでしゃべっててもあれだし、そろそろ出発しよ」
にこやかな笑みと共に真っ直ぐと伸ばされた手。
小さくて細い綺麗な手に俺は……自分の手を伸ばすことはせずに歩き始める。
それと同時につかさの表情が固まったのは言うまでもない。
「……こらこらこらこら、何でここで華麗なスルゥッが決められるッ!?」
「出発しようって言ったのはそっちだろ?」
「そうだけど! 君はこの君へ伸びた手を見てどう思う?」
「引っ込めればいいと思います」
「そうだねそうですね! 私が引っ込めれば解決するね。でも君の行為は私の心を大いに傷つけた。トウヤくん、君は女の子とデートする時に手を繋ぎたくないのか。性欲皆無なのか。高校生のくせに枯れてんのか!」
女の子と手を繋ぎたくないのか?
いや繋ぎたいとは思いますよ。恋愛的な意味でデートしているのであれば。
性欲皆無なのか?
あるに決まってるじゃないですか。俺は年頃の男子高校生なんだもの。人並みに性欲は持ってます。スキンシップの激しい友人が居るので暴走が起きないように適度に発散しとります。さすがにお山になっているところを見られると気まずいし。
というわけなんで私は枯れてはおりません。
というか、休日とはいえまだ昼間ですよ。女の子が道端で堂々とそういうこと言うのはどうかと思う。
何で俺の身近にはこういう女の子しかいないだろう……
「逆に聞くが、お前は俺と手を繋ぎたいのか?」
「へ……」
「突発的に異性と手を繋ぎたくなるほど人肌に飢えてるのか? 性欲が盛んなのか? 発情しちゃってるんですか?」
「え、いや、別に……」
「別に……何だよ?」
「その……イチャコラオーラを今の内から高めておけば、賑やかなところに行っても変な絡みも少なくなるかなと思っただけで。トウヤくんと本当に手を繋ぎたいかと言われると……」
本気で困ってんじゃねぇよ。
言い方は何かあれだが、お前がお前なりに考えてるのは分かった。
ただ……ちょっとだけ思うところはあったから罰は与えておこう。
「っ……だから前が見えなくなるでしょ」
帽子を浅く被ってたらあなたの美人オーラが隠れないでしょ。
「地味な格好で来るって言ったのはそっちだろうが。もっとリア充オーラ隠す努力をしろ。じゃないとこっちが気合入れた格好しないといけなくなる」
「確かに地味な格好するとは言ったけど、私は年頃の女の子なんだよ。君は女の子にオシャレをするな……え、今……うん? むむむ?」
近い近い近い近い近い。
人のパーソナルスペースにズカズカと入ってくるな。そんで人の周りをぐるぐる回るな。そんなことしなくても俺の服装くらい見えるだろ。お前は俺と違って目は悪くないだろ。
そういう行動が男って生き物を勘違いさせるんだぞ。
女の子特有の甘くて良い匂いが男をドキドキさせちゃうんだぞ。
はっきり言って俺だって悶々とするんだ。鋼だっていつかは朽ちるように俺の理性だっていつかは崩壊するに決まってる。そのうち酷い目に遭っても知らんからな。
「おや~、おやおや~」
うわ、イイ顔してる。
困った顔をされる方が嫌だけど……こういうときって面倒臭いんだよな。
ただ歩みは止めないようにしよう。ウザ絡みされるにしても歩いていれば、いつしか目的地である映画館には到着するんだから。
「トウヤくん、そのジャケットといいインナーといい今日は気合の入った格好してますな」
「……」
「口ではデートじゃないとか言ってたけど、本当はデートだって思ってる的な?」
「…………」
「お姉さんにカッコ良いと思って欲しくて外着に課金しちゃったのかな♪」
マジでウゼェ……
こうなるって分かってて撒き餌を撒いたんだろって?
そうだけどウザいもんはウザいじゃん。俺は程良い会話がしたいの。こいつも西森も部長も全員普通って呼べる範囲から行き過ぎるから疲れる。そこだけでも改善されれば俺もハッピーなんですけどね。
ま、そうなったらなったで周囲からの嫉妬やらが増えそうで面倒だけど。
「誰がお前相手に課金するか」
「でも少しでも良く見えるものを選んだんでしょ?」
「…………」
「無言は肯定と同じだぞ、このこの」
ひじで突くな。
女の力でも当たり所が悪かったら痛いんだから。
今すぐやめさない。すぐやめなさい。
今日はまだ始まったばかりなんだから人の体力を削るんじゃありません。
「やめい」
「私のこの腕を止めたくばガッチリとホールドでもするんだな」
それって手を握るなり腕を組むなりしろってこと?
いや無理でしょ。
「そんなことをしているところを誰かに見られてもみろ。俺の学校生活が終わる」
「いやいや、さすがにそれが言い過ぎ」
「言い過ぎなもんか」
月島つかさはクラスの人気者。
まだ高校生活は始まって間もないというのに告白された数は数知れず。
俺の知る限りでは、学校全体はともかく学年では間違いなくトップレベルのモテ度を誇っている。
そんなつかさと一緒に出かけてるところを見られたら、手とか繋ぎでなくても嫉妬されます。手とか繋いでたらギルティィィィィィィィッ! ってなる輩も居るんじゃないかな。
「周囲の俺とお前の関係性の認識なんて同じ部活してるってくらいだぞ。それに……」
「それに?」
「俺は多分……周囲からはいつも西森と一緒だって思われてる」
西森シノンはガチなオタク。
そのガチさと自分を貫く性格によってお近づきになろうという輩は、入学してから今日までのわずかな時間で減少した。
しかし、西森の美貌は別ベクトルではあるがつかさに負けていない。
故に……うちのクラスの多くは温かな目を向けてくれているというか、俺達の様子を見て楽しんでいる雰囲気があるが、中には俺に対して負の感情を抱いている者もいることだろう。
「お前とこうして並んで歩いてるだけなら部活動の一環だの、西森に対する何かだの思われるかもしれない。が、お前と過度なスキンシップを取ってるところを見られたら……誤解に誤解が生まれて俺は二股をしようとしている最低男の烙印を」
押されるかもしれない。そうなれば学校生活は終わりだろ?
とは言えなかった。
何故なら……つかさが帽子を思いっきり俺に被せてきたから。
さっきのお返しのつもりなのかもしれないが、サイズが合ってないものを被せるのはやめて欲しい。圧迫感が凄い。
「痛いんですけど?」
「それは良かったね」
「どこが?」
「ネガティブ思考は止まったでしょ?」
この場合は止まったのではなく、止められたという表現が適切では?
「いいトウヤくん、あれこれ考えるのは君の良いところでもあるけど悪いところでもある。これから私達は映画を見に行くんだよ? それなのに起こるかも分からないこと考えてテンション落とすとかバカじゃん」
こいつにバカって言われると何か傷つく。
言ってることはまあ正論だから反論はしないでおくけど……でも、うーん、やっぱこいつからはバカって言われたくないな。
「何より私達はオタクだよ、オタクなんだよ。なら楽しむ気持ちを持って映画を見ないとダメじゃないかな。そうじゃないと一生懸命作ってくれた人達に失礼……何だよその顔は」
「珍しく良いこと言ってるな、と」
「珍しいは余計……ねぇトウヤくん、君もしかして私で遊んでる?」
何でこんな質問が来るのか?
その疑問にお答えしよう。俺がつかさが話してる途中で頭にあった帽子をつかさに返したから。もちろん、このとき必要以上に深く被せてはいない。
だから今ので遊んでるとか言われるのは心外です。
「帽子を返しただけだろ」
「そうだけど、人が真面目に話してる時に普通返す?」
「真面目? リア充系女子高生が話してたら真面目には思われんだろ」
「周囲の偏見を押し付けるの禁止。私は彼氏いない歴=年齢の非リア充だから。オタク系女子高生だから」
頻繁に告白される奴が非リア充って言っていいのかな?
告白なんてされたことのない真の非リア充からすれば、その発言は恨みを買いそうな気がするけど。
それにオタクって部分に関しても……ちゃんと認識しているのは俺や西森達だけ。
周囲の認識は、部員が足りないからオタクの巣窟に入ってあげた助っ人みたいな感じだと思う。
何でこいつだけオタクだって認識されないんだろうね。
やはり人は見た目?
まあそれもあるんだろうけど……単純にこいつが普通の女子高生が話すようなことにも敏感なだけか。人の合わせて話題を選べるというか……この言い方だとまるでこいつが気遣い上手みたいだな。
「あのー言いたいことがあるならはっきり言ったらどうですか?」
「お前の擬態マジパーペキ」
「その言い方だとオタク系女子高生ってところは認めているけど、私が日頃それを隠そうとしているように聞こえるんだけど。私は隠そうとはしてない」
「隠そうとしてないのに隠れている……これが真の擬態か」
「なるほど。まさか私にそんな能力が……でもそれならオタクとして認識されないのも納得できる」
適当に言っただけなのに乗ってきやがった。
ここで乗られたらさっきまでの否定してた時間が無駄じゃん。
「その厨二感を学校でも出せばオタクって認識されるんじゃね?」
「それは無理かな。割かしこういうノリで何か言ったりしてるし」
「なら西森並みに自分がオタクですって普及するしかないな」
「え……そこまでしてオタクだって認識される必要ある?」
普通に考えたらない。考える余地がないほどにない。でも
「お前がオタクだと認識されると、俺は非常に人目を気にする必要がなくなる。こういうお出かけが気楽になる」
「おいおい、君ひとりのために学校生活を捨てろってか? ……責任取ってくれるなら考えてあげてもいいけど」
何だよその試すような顔は。
その責任ってのは何だ? どういう意味だ?
意味合いによって答え方が変わるんですけど。
「今の自分を大切にしてくれ」
「……ヘタレ」
「お前の高校3年間に責任を持てるほど俺は全知全能じゃない」
「神レベルじゃないとダメなほど私の能力はダメダメだってか? これでもちゃんと授業は受けてるんだぞ。君が思っているよりダメダメじゃないんだからな」
「ならテストは問題ないな」
「ふ、それとこれとは話が別だよ。授業を真面目に受けているとは言ったが、完全に理解できているかと言われるとそうでもない」
ドヤ顔で言うことじゃないんですが。
「というわけで、期末の時期はよろしく先生♪」
「お前みたいな手間のかかる生徒は要らん」
「手間がかかる方が可愛いって言うよ?」
「手間を掛ける方に面と向かって言われると癪に障るな」
「はっはっは、君と私の仲ではないか」
どういう仲なんですかね。
俺の中では今のところ友達以上友達以下の仲でしかないと思うんですが。
「……ふと思ったけど、話ずれてない?」
「別にいいだろ。大した話してないし」
「私の今後の学校生活に関わるような話をしてたと思うんだけどな。大した話だと思うんだけどなぁ。君が思ってるよりも女子高生の生活って大変なんだぞ」
そうでしょうね。
俺と違って二次元に関することだけ話してればいいわけじゃないだろうから。
そこにクラスメイトとの付き合いがあったり、恋愛絡みもあるわけで。
俺がもしも月島つかさだったら多分感じの悪い女になってただろうよ。そういう意味ではお前のこと尊敬してる。
「あっそ」
「完全に他人事ですな」
「他人事ですからな」
こいつ優しくねぇ。
みたいな顔と目をしてんな。周囲に影響のない俺にこいつはいったい何を求めているんだろうね? 自分で動いた方が環境は変えられるだろうに。
「君はもっと良いことを言えんのか」
「良いことを言おうとして言った言葉は、果たしてそれは良いこと足り得るのか?」
「知らん。でも他人事として処理するよりはマシだと思う」
それは……一理ある。
まあだからって真剣に考えて何か言おうとは思わないけど。肩肘張るような時間は疲れるし。
「あぁそうですか、それはすみませんね」
「その適当さに傷つくんですけど」
「女子高生として疲れた時に話す相手としてはちょうど良いだろ」
「……それってさ、もしもの時は甘えていい的な意味合いもあったりする?」
そう思ったのなら口に出さないで欲しいんですけど。
そういう風に言われるとこっちも恥ずかしいんで。
「愚痴くらいしか聞いてやれんぞ……何だよそのにやけ面は」
「いや~別に~。ただトウヤくんも男の子なんだなぁ、カッコいいな~って思っただけで」
「そいつはどうもありがとう」
お世辞でも嬉しいですわ。
そのにやけ面がなければもっと嬉しかったけど。
「ねぇトウヤくん」
「今度は何だよ?」
「君はさ、もっと自分に自信を持ちなよ」
先ほどまでと変わった声色に視線を前から横へと向ける。
するとそこには腹が立つにやけ面ではなく、眩いばかりの笑顔があった。
「君は……本当にカッコ良いから」
何がカッコ良いだ。
何が自信を持てだ。
俺は俺でしかない。オタクな高校生でしかない。
だからそういうことを言うな。純粋に言い放たれるお前の言葉は破壊力があり過ぎる。俺が俺らしく居られなくなるかもしれない。
「……はは、ちょっと照れるね」
誤魔化そうとしているのかと思った。
が、つかさは帽子を深く被り顔を隠している。ただ微かに見える顔には赤みが差しており、今の言葉が嘘ではないことを示していた。
自分で言っておきながらこういう反応をするのもやめて欲しい。言われたこっちは余計に恥ずかしくなる。
つかさも黙ってしまっただけに沈黙が続く。
こちらから話しかけるのもちょっと違うというか恥ずかしい。もしかするとしばらくはこのままかもしれない。
でもまあ……少なくとも映画を見た後は変わるはずだ。
今はそう信じておこう。
オタクな俺とオタクな彼女 夜神 @yagami-kuroto
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