俺と妹の休日について

幕間 阿佐ヶ谷霧子調査報告(調査員・阿佐ヶ谷本介)

 阿佐ヶ谷霧子、十五才。

 俺——阿佐ヶ谷本介の、血の繋がらない義理の妹である。


 二月生まれの魚座で血液型はB型。

身長は約150cmで体重は不明。

好きな食べ物は種無しブドウとカニクリームコロッケ、スイーツ類。性格は恥ずかしがり屋で、非常に人見知りが激しい。しかし、大胆不敵な所もあり、夢中になると周りが見えなくなる一面も持つ。


 趣味は家事全般と、兄である俺の監視とストーキングという極度のブラコンであり、俺に近付く女の子を片っ端から排除しようとする非常に厄介な習性を持つ。彼氏は無し……の筈だが、もしいたら俺は色んな意味で怒り狂うだろう。


 市立龍鳳高校の特待生で、一年一組に所属しており、友人は今のところ一名確認されている。部活は演劇部に所属しており、衣装の製作と舞台効果を担当しているそうだ。


 それから、これが霧子の最大の特徴であるのだが、霧子は異次元空間を操り、空間を繋げたあらゆる場所を自由に移動したり、他人や物質を移動させることができる能力がある。


 霧子が開く事ができる異次元空間の大きさは最大直径約ニメートルで、空間を通じて移動できる距離は半径約千五百キロとも言われており、その気になれば東京から北海道くらいまでの距離を瞬時に移動できる。


 目視できる場所であれば正確に出入り口を開く事ができるが、本人から目的地が遠い程に出入り口の座標がズレやすくなるらしい。

 余談ではあるが、霧子は普段から頻繁にこの能力を使って移動を行っているせいか、運動不足で運動が苦手である。だが能力を使うのにある程度のエネルギー消費はあるらしく、肥えてはいない。むしろかなりの痩せ型だ。そして、能力の副作用なのか単なる疲労なのか、能力を使いすぎると急に眠ってしまう事がある。


 それから、霧子曰く異次元空間に物を保管しておく事は不可能らしい。異次元空間に何かを入れ、霧子が外にいる状態で入口を閉じてしまうと、次に空間を開いた時にはその物質はどこかに消滅してしまっているとの事だ。それが人間だったらと思うとハッキリ言って怖い。


 その気になれば頑強なセキュリティに守られた大統領を暗殺する事すら可能な能力。霧子はこのとんでもない能力を、掃除機のコードを伸ばしたり、洗濯物を取り込むのに活用している。実に勿体ない。


 それは別に構わないのだが、時として霧子はこの能力を俺と良い感じになった女の子を排除するために使うのだ。おかげで俺は華の高校二年生だというのに、彼女どころか女友達を作る事すらできない。


 神よ、どうかこの純朴で清貧で程々淫靡なる俺に福音を授けたまえ。


 二度目になるがここでもう一度言っておく。

 これはどうして彼女が欲しい俺——阿佐ヶ谷本介と、ブラコンをこじらせてそれを許さない、異次元空間を操るヤバい異妹いもうとの物語である。


 引き継ぎ、阿佐ヶ谷霧子の調査を続行する。

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