3
この冒険譚も、もうすぐ終わりを迎える。俺たちは、洞窟探検同好会は、卒業するのだ。
意外と淡々としていた卒業式を終え、俺たちは部室に集まった。卒業生や教師が感動のお別れ会をする中、少量のスナック菓子とジュース片手に、「お疲れ会」を開いた。
会話が弾む中で、スナックを取ろうとした俺とヘレンの手が触れる。顔を見合わすこともなく、ヘレンは手を引いた。恥ずかしがらなくていいものを。
「皆、これからどうするんだ」
カイトが、珍しく口を開いた。
「俺は、大学デビューする。それで、金髪美女と結婚する!」
冗談めいた口調で自分の夢を語るファルコに、皆はクスクス笑った。
「如何にも馬鹿が言いそうなことだ」
鼻で笑うカイトに、ファルコは笑いながらも、睨みを利かせる。
「じゃあお前はどうするんだよ」
「まあ、ぼくはエリートだから、勿論一流大学に行って……」
そこでファルコはカイトに攻撃する。
あはは、と笑うヘレンは、とても、美しい。
「レイは、どうするの」
戯れる二人を無視して、アルバスが訪ねた。
「俺は、このまま、洞空探検を続けるよ」
「そう、じゃあ、僕も……」
「ヘレンと一緒にね」
アルバスの声と重なる。
「さっき、何て言った?」
アルバスは首を振る。
「いや、何でもないよ、二人は、結局付き合うことになったんだね」
その言葉に耳を赤らめるヘレンを肩に抱き、「うん」と言う。
これでいい。これで、良かったんだ。
このまま、アルバスとは友達でいればいい。
そうすれば、関係が壊れることも無い。
「アルバスは、どうするんだ?」
虚ろな目をして、アルバスは苦笑した。
「まだ、わからない」
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