この冒険譚も、もうすぐ終わりを迎える。俺たちは、洞窟探検同好会は、卒業するのだ。

 意外と淡々としていた卒業式を終え、俺たちは部室に集まった。卒業生や教師が感動のお別れ会をする中、少量のスナック菓子とジュース片手に、「お疲れ会」を開いた。

 会話が弾む中で、スナックを取ろうとした俺とヘレンの手が触れる。顔を見合わすこともなく、ヘレンは手を引いた。恥ずかしがらなくていいものを。

「皆、これからどうするんだ」

 カイトが、珍しく口を開いた。

「俺は、大学デビューする。それで、金髪美女と結婚する!」

 冗談めいた口調で自分の夢を語るファルコに、皆はクスクス笑った。

「如何にも馬鹿が言いそうなことだ」

 鼻で笑うカイトに、ファルコは笑いながらも、睨みを利かせる。

「じゃあお前はどうするんだよ」

「まあ、ぼくはエリートだから、勿論一流大学に行って……」

 そこでファルコはカイトに攻撃する。

 あはは、と笑うヘレンは、とても、美しい。

「レイは、どうするの」

 戯れる二人を無視して、アルバスが訪ねた。

「俺は、このまま、洞空探検を続けるよ」

「そう、じゃあ、僕も……」

「ヘレンと一緒にね」

 アルバスの声と重なる。

「さっき、何て言った?」

 アルバスは首を振る。

「いや、何でもないよ、二人は、結局付き合うことになったんだね」

 その言葉に耳を赤らめるヘレンを肩に抱き、「うん」と言う。

 これでいい。これで、良かったんだ。

 このまま、アルバスとは友達でいればいい。

 そうすれば、関係が壊れることも無い。

「アルバスは、どうするんだ?」

 虚ろな目をして、アルバスは苦笑した。

「まだ、わからない」

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