でも、レイが玉砕した可能性はある。いったい、どちらなのだろうか。そして、このページを抜き取ったのは誰なのだろうか。

 破り取られた三ページは、どこへ行ってしまったのだろうか。

 ボクはまた、冒険譚の続きを読み始めた。 次のページを開こうと思った時、紙束から一枚の写真がはらりと落ちた。拾ってみると、そこには見覚えのある二人の姿。

 ドキンと心臓が高鳴った。

 写真を持つ手に、力が入る。

 ボクは、写真の中の人物に一度会ったことがある。

 いや、一度どころか、毎日を共にしていたではないか。

 やはり、ボクを誘拐したのは、この人だった。

 この写真は、恐らく高校時代のものだろう。二人は若々しく、そして仲睦まじい様子だった。どこかの、やはり見覚えのある洞窟の中で、それは撮られたようだ。

 写真を戻そうと再度冒険譚を捲ったが、そこにあるはずの文章は、ページごと破り取られていた。つまり、レイがヘレンを負った後の記述が無いのだ。もしかしたら、二人は結ばれることになったのかもしれない。

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