コミュ障吸血鬼、ため息を漏らす
アンナは本当にどうしようもないよね。
一生治る気がしない。
アンナがこうなった元凶は、国のトップなんだけど……。
そう考えると、この国、終わってない?
実はそういった趣味がある女王が、国を統治してるんだよ?
今まで上手くいってる時点で政治の面では問題ないけど、女王ということは法律に口出しができるってことで……。
女の子同士の結婚を認める法律を作ってしまうかもしれない問題がある。
「ティアナ、どうしたの? 難しい顔して」
「……アンナが、変態になった元凶、思い出してた……」
「陛下のことを? どうして?」
「……ルネリアの、せいで、アンナは、この先、死ぬまで、変態なんだ、って思って……ごめんね……」
「な、なんでティアナが謝るの?」
「……ルネリアは、一応、友達だから……代わりに、謝る……」
同じ元日本人として、これは謝っておかないといけないことだと思って……。
「私、ティアナに対してしかこんな感情持たないから、べつに謝らなくていいのよ?」
それはつまり、僕が原因ってこと?
元から変態じゃなかったの?
だから僕をここに置いてるんじゃないの?
「ティアナ? 今なにか、失礼なこと考えなかった?」
首を横に振る。
えっ、なんでわかったの? エスパー?
それとも、リオナみたいにスキル?
「……元から、変態じゃ、なかったの? とか、思ってない……」
わざとそう答える。
やっぱり、アンナには本音をぶつけた方がいいと思ったから。
「思ってるんじゃない! えっ、ティアナ、私のことそんな風に思ってたの!?」
即、頭を縦に振る。
それを見て、アンナはこの世の終わりでも見たかのような顔をした。
そして、なにか決意したような顔になった。
「……わかった。私、変態を卒業するわ!」
……なんか宣言し始めた。
変態って、卒業できるものなの?
僕、変態になったことないからわかんないんだけど。
というか、アンナには無理な気がする。
「あなたが変態をやめる? 無理でしょう? ねぇ、お姉様」
同意を求めてきたので頷いた。
そっか、ルルも同じ意見なら、やっぱりアンナが変態から卒業するのは無理としか言えない。
「ちょっと、二人とも! どうして無理って決めつけるのよ! やってみないとわからないでしょう!?」
「お姉様がいる限り、変態じゃなくなるのは無理でしょう?」
「……うん、そんな気がする……」
というか、そうとしか思えない。
僕をただの友達と思えるようにならない限り、無理だと思う。
そもそも、僕が思うに、僕への気持ちを抑えられそうにないんだよね……アンナ。
「そんなことないわよ! ティアナがいたって変態を卒業して見せるわ!」
キリッとした顔で宣言するアンナに向かって、
「……ほんと……?」
わざと上目遣いで訊ねる。
「ティアナの上目遣い可愛い! もっと、もっとして! お願いティアナ! もっとティアナの可愛いところを見せて!」
そう言って僕に抱きついてくるアンナ。
あ、ダメだこれ。
絶対卒業できないやつだ。
「「はぁ……」」
僕とルルのため息が、同時に漏れた。
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